2019/02/18 エンジニアリング組織論への招待

[aloerina01]

読んだので概要と感想メモ。

1章 思考のリファクタリング

• エンジニアリングとは「不確実性の削減」を実現していくこと
  • 根源的に不確実性のあるとものとは「未来(環境不確実性)」と「他人(通信不確実性)」
  • 環境不確実性は「行動と観察」で対応していく
  • 通信不確実性は「コミュニケーション」で対応していく
  • これらとどう向き合っていくかを、個人・チーム・プロダクトなど様々な視点からアプローチした本
• 漠然とした指示でも動けるチーム＝大きな不確実性を削減できるチーム＝自己認識化されたチーム
• 不確実性がある＝不安を伴う＝無意識のうちに攻撃or逃避してしまう、ということを理解する
• 不確実性に向き合う3つの考え方
  • 論理的思考の盲点(人は論理的思考ができない瞬間がある)
  • 経験主義と仮設思考(仮設と検証(経験)の繰り返しで不確実性を減らしていく)
  • システム思考(Treeなどの全体図ではなく、要素同士の関係性に注目する)
• 理性主義と経験主義という2つの考え方の違い
  • 知識と知識から導く理論で固める理性主義＝最初にすべての要件を固めるウォーターフォール
  • わからないことを行動で突き止める経験主義＝市場での検証を繰り返すアジャイル
• 人間の不確実性を受け入れる＝コミュニケーションの不確実性を理解する
  • 情報の非対称性(情報の偏り、自分は知っていて相手は知らない等)
  • 限定合理性(自分にとっての正解が全員にとっての正解とは限らない)
• 具体例のカレーの寓話

2章 メンタリングの技術

• 1章で学んだ「思考のリファクタリング」を使って対象の思考を徐々に変えていく方法論
• 自己効力感を持つ状態を目指してメンタリングする(フィードバックループをつくる)
  • 自己効力感＝自分から考えて行動した結果を認められ、「自立的に行動するのは楽しい」と思うこと
• メンタリングは「階段をのぼる手助けをする行為」
  • 階段を認識させる
  • 壁にはしごをかける
  • 階段をのぼりたいと思わせる
• そのための3つの手法
  • 傾聴
  • 可視化
  • リフレーミング
• アクノレッジメント＝承認
  • 成果を認めるだけではなく、存在することに対して、行動に対して、理解し受け入れること
  • 存在承認＝挨拶する、前に行ったことを覚えている、など、居てくれてありがとうという気持ち
  • 行動承認＝ポジティブな行動をとったときに褒めるなど
  • 結果承認＝結果に対して主観を込めて褒めるなど
  • 言葉で褒めるだけでなく、行動や態度で相手の存在を認めることをアクノレッジメントという
• 自己開示＝ストーリーテリング
• 自己開示によって「自分が知っていて相手が知らない」ことを減らす
• フィードバックによって「相手が知っていて自分が知らないこと」を減らす
• こうしてお互いが知らないことを減らして互いに開示し合う＝心理的安全性につながる

3章 アジャイルなチームの原理

• アジャイルは3倍の成功率、1/3の失敗率
• プロジェクトマネジメントは「プロジェクトを完了(終了)させること」が目的
  • スケジュールの不安があり、方法深確実性がある(どのようにつくるか)
• プロダクトマネジメントは「プロダクトを継続させること」が目的
  • マーケット不安があり、目的不確実性がある(何をつくるか)
• 実際の現場では両方の不安・不確実性がある＝どちらも未来に関する不確実性(環境不確実性)
• これに経験主義的に立ち向かうチーム＝アジャイルなチーム＝チームマスタリーを得ているチーム
• チームマスタリーを得ている状態とは
  • 情報の非対称性が少ない
  • 認知の歪みが小さい
  • チームより小さい限定合理性がない
  • 対人リスクをとれていて心理的安全性が高い
  • 課題・不安に向き合い不確実性を効率よく削減できる
  • チーム全体のゴール認識レベルが高い
• 知識が定着していくSECIモデル
  • 暗黙知が形式知になり、形式知が浸透し暗黙知になり・・・といったループ
• 行動と結果のループで学ぶ＝シングルループ
• 行動と結果に加え、その前提を見直していくループ＝ダブルループ
• 前提を変える＝リフレーミング
• スクラムは振り返りのためのフレームワーク
• 仕事を依頼する側と受ける側、という体制では「プリンシパルエージェント問題」が起き得る
  • プリンシパルエージェント問題＝発注者と受注者の情報の非対称性、限定合理性が働く。無自覚な攻撃に対して防衛が働く。といった状態。
• 情報非対称性は「ビジネスサイド」と「開発サイド」とかでも起きる
  • 生業としている知識を否定されると、アイデンティティへの攻撃に感じ、心理的安全性が下がる
• 重要なのは、役割で関係性を縛らないこと
  • メンバー各々が「今自分は何をすべきか」と考えて行動できる状態が良い

4章 学習するチームと不確実性マネジメント

• 3つの不確実性と対応方法(逆に言えば、不確実性が生まれるポイントにもなり得る)
  • 目的不確実性：要求と仮設検証の手法
  • 方法不確実性：スケジュール予測と見積もりの手法
  • 通信不確実性：振り返り手法
• 総作業時間/人数＝必要な時間・・・？
  • これは愚かな見積もり
  • 実際にはコミュニケーションコストとか諸々かかる
  • プロジェクトにかかる時間は、総作業時間の立方根に比例すると言われる
  • 総作業時間/人数＝理想工期
  • 作業同士の依存関係による無駄＝制約スラック
  • 見積もりの不確実性を吸収するための時間＝プロジェクトバッファ
• 制約スラックを削減する＝2種類の制約を取り除いていく
  • リソース制約＝「この作業は彼にしかできない」というもの
  • 依存制約＝「この作業が終わらないとあの作業を着手できない」というもの
• バッファの見積もり＝不安の量。不安の認識の差があるとバッファが多すぎ・少なすぎ、と対立する
  • 対応するには「間に合うか否か」ではなく「スケジュール予測が収束していくかどうか」を管理する
  • 何が不安なのかを洗い出し、切り離していく

[aloerina01]

カレー作りの寓話がピックアップされてた https://qiita.com/hirokidaichi/items/355b5534746363130e61

この具体話を念頭に起いておくと、キーワードの理解がはかどりやすかった。