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Daytime Napping and the Risk of Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality: A Prospective Study and Dose-Response Meta-Analysis https://academic.oup.com/sleep/article/38/12/1945/2417964
2015年、東京大学が行った昼寝と心血管疾患による死亡リスクに関するメタ分析です。
昼寝はパフォーマンス改善に効果的だよ! みたいな話は最近どんどん有名になってきています。日本ではまだ少ないですが、推奨する企業も増えてきています。 じゃあどう効果的なん? というと、 ・エピソード記憶 ・情動調節 ・手続き記憶 ・注意力 など幅広い認知能力の向上につながっているよー、てな感じ。 以前紹介した論文では、 普段から昼寝をしているかどうか(週3日以上)でなければ効果は得られにくいよー という報告もあり、やるなら継続、習慣的にできるといいかも みたいな結果でした。
で、最近の研究のメタアナリシスでは、睡眠時間と心血管疾患の関係を調べていまして、
短時間の睡眠でも長時間睡眠をとっている人でも、心血管疾患のリスクは上がる! という報告もありまして、適切な睡眠時間を確保した方がよさそう という結果になっております。 ちなみに心血管疾患とは何かというと、 ”動脈硬化によって血管の内腔が狭窄し臓器への酸素を豊富に含んだ血液の供給が不足する疾患”
簡単に言えば動脈硬化(血管が硬くなって)により血管が狭くなり、きれいな血液(酸素を豊富に含んだ血液)が 隅々まで行き届かなくなり、細胞が死んでしまう。 その結果、脳梗塞や高血圧、心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こすリスクがあるわけです。
つまり、睡眠が心血管疾患と関係しているなら、昼寝も心血管疾患に何らかの影響があるんじゃない? ということ。 そこで本研究では昼寝と心血管疾患の関係を調べるためにメタ分析を行いました。
血管疾患・心臓病・冠状動脈疾患・心筋症・心不全、脳血管疾患、末梢血管疾患と昼寝・シエスタ 関する論文でメタ分析を行った結果、2963件の論文から適格な11件の研究が抽出されました。
・昼寝の時間が60分以上を越えると、心血管疾患のリスクが有意に上昇した ・高齢者(65歳以上)の場合は、60分以上の昼寝が心疾患のリスクと密接に関係していた ・0~30分/日の昼寝は心血管疾患のリスクの低下と関連していたが、45分を超えたあたりから急激に増加した
まとめると、 ・45分以上の昼寝は心血管疾患のリスクを高める ・30分未満であればむしろリスクの低下に関係していた というのが結論でした。
これまでの研究で昼寝は確かに、パフォーマンス改善・向上には効果的という話はありましたが、 あくまでも心血管疾患のリスクとの関係性は調べていません。昼寝が良いか、といえば正確に答えるなら 「どれくらい眠るか時間による」が答えになりますね。 疾患のリスクの低下だけでなく、ストレスの軽減、血圧の低下、認知機能の回復もできると考えると、 30分未満ならやはり推奨しても良さそう。
もう少し突っ込んだ話をすれば、昼寝が効果的というのは、午前中の方がパフォーマンスが高いことと 同じような原理で、起床から1時間~3時間後は、ゲームでいうとHPが回復しきった状態のようなもの。 その状態はパフォーマンスも高いですよね。(すっきり起きることができていればですが。) 昼寝はある程度メリットがありますが、昼寝を肯定的に思っていない (寝るつもりがなかったのに寝てしまった、、、みたいな)場合には、むしろそれがストレスになってしまうので、 短時間の昼寝はよし。くらいに考えておけばいいのではないでしょうか。
0. 論文タイトル・URL
Daytime Napping and the Risk of Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality: A Prospective Study and Dose-Response Meta-Analysis https://academic.oup.com/sleep/article/38/12/1945/2417964
1. その論文の目的・どこのリサーチか
2015年、東京大学が行った昼寝と心血管疾患による死亡リスクに関するメタ分析です。
2. (先行研究とこれまでの問題)
昼寝はパフォーマンス改善に効果的だよ! みたいな話は最近どんどん有名になってきています。日本ではまだ少ないですが、推奨する企業も増えてきています。 じゃあどう効果的なん? というと、 ・エピソード記憶 ・情動調節 ・手続き記憶 ・注意力 など幅広い認知能力の向上につながっているよー、てな感じ。 以前紹介した論文では、 普段から昼寝をしているかどうか(週3日以上)でなければ効果は得られにくいよー という報告もあり、やるなら継続、習慣的にできるといいかも みたいな結果でした。
で、最近の研究のメタアナリシスでは、睡眠時間と心血管疾患の関係を調べていまして、
短時間の睡眠でも長時間睡眠をとっている人でも、心血管疾患のリスクは上がる! という報告もありまして、適切な睡眠時間を確保した方がよさそう という結果になっております。 ちなみに心血管疾患とは何かというと、 ”動脈硬化によって血管の内腔が狭窄し臓器への酸素を豊富に含んだ血液の供給が不足する疾患”
簡単に言えば動脈硬化(血管が硬くなって)により血管が狭くなり、きれいな血液(酸素を豊富に含んだ血液)が 隅々まで行き届かなくなり、細胞が死んでしまう。 その結果、脳梗塞や高血圧、心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こすリスクがあるわけです。
3. その論文の目的(具体的に)
つまり、睡眠が心血管疾患と関係しているなら、昼寝も心血管疾患に何らかの影響があるんじゃない? ということ。 そこで本研究では昼寝と心血管疾患の関係を調べるためにメタ分析を行いました。
4. 方法
血管疾患・心臓病・冠状動脈疾患・心筋症・心不全、脳血管疾患、末梢血管疾患と昼寝・シエスタ 関する論文でメタ分析を行った結果、2963件の論文から適格な11件の研究が抽出されました。
5. 結果
・昼寝の時間が60分以上を越えると、心血管疾患のリスクが有意に上昇した ・高齢者(65歳以上)の場合は、60分以上の昼寝が心疾患のリスクと密接に関係していた ・0~30分/日の昼寝は心血管疾患のリスクの低下と関連していたが、45分を超えたあたりから急激に増加した
6. 結論・まとめ
まとめると、 ・45分以上の昼寝は心血管疾患のリスクを高める ・30分未満であればむしろリスクの低下に関係していた というのが結論でした。
これまでの研究で昼寝は確かに、パフォーマンス改善・向上には効果的という話はありましたが、 あくまでも心血管疾患のリスクとの関係性は調べていません。昼寝が良いか、といえば正確に答えるなら 「どれくらい眠るか時間による」が答えになりますね。 疾患のリスクの低下だけでなく、ストレスの軽減、血圧の低下、認知機能の回復もできると考えると、 30分未満ならやはり推奨しても良さそう。
7. どんな使い方ができる?
もう少し突っ込んだ話をすれば、昼寝が効果的というのは、午前中の方がパフォーマンスが高いことと 同じような原理で、起床から1時間~3時間後は、ゲームでいうとHPが回復しきった状態のようなもの。 その状態はパフォーマンスも高いですよね。(すっきり起きることができていればですが。) 昼寝はある程度メリットがありますが、昼寝を肯定的に思っていない (寝るつもりがなかったのに寝てしまった、、、みたいな)場合には、むしろそれがストレスになってしまうので、 短時間の昼寝はよし。くらいに考えておけばいいのではないでしょうか。