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The Relevance between Dependence Tendency on Romantic Relationships and Parent-Adolescent Relationships #107

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0. 論文タイトル・URL

The Relevance between Dependence Tendency on Romantic Relationships and Parent-Adolescent Relationships (恋人への依存性と親子関係との関連性) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/71/10/71_673/_pdf

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2020年、北海道大学が行った恋人への依存性と親子関係に関する研究です。

2. (先行研究とこれまでの問題)

今まで取り扱ってこなかった、恋愛の依存性に関する研究です。

恋人との関係性は、人間関係の1つではありますが友人や職場の人との関係性とは 少し違ったもの。友達でいる分には(職場にいる分には)普通だけど、恋人になったらなんかやばい人だった、みたいな話は少なくないのではないでしょうか。

その中でも「やばいヤツ」と捉えられてしまう要因の1つに、 「依存」という関係性があります。恋愛依存、共依存など、依存にも色々な種類があるのですが、 依存をポジティブに捉える立場の中には依存を「発達の過程」と定義しているものもあるようでして、 ①依存欲求:道具的な価値ではない、精神的なサポートを求める中で恋人を頼りにするタイプ ②依存拒否:親密な関係であっても、依存することへ不安を感じるタイプ ③不適応的依存:自身のなさや恋人との分離不安から、従属的行動(従ってしまう行動)を とるタイプ ④適応的依存:恋人の存在により、安心感が得られるタイプ と4つに分けていまして、 中でも、 ③不適応的依存は、恋人を失ったときに最も精神的健康が保てなくなると言われています。

一般的には恋人に関して安定的(適応的)な依存関係を示すのですが、 依存回避や過剰依存を示す人もいまして、 その違いって何なの?どういう要因があると、恋人に依存的になってしまったり、 不適応的な恋愛関係になってしまうの? ということを、親子関係の視点からの研究になります。

なぜ親子関係という要因が考えられるのか、というと、先行研究では ・暖かい親子関係を形成している青年は、成熟した恋愛観と結びついている傾向がある ・親への依存的行動が多い青年は、そうでない青年に比べて対人関係の適応性が低い

ことがわかっておりまして、 親への依存性が高いと、そもそも対人関係に何らかの問題を抱えやすいっぽい みたいな話があるようです。 シングルマザーで育った子どもや、小さい頃に両親が離婚した子どもは、 精神的なトラブルを抱えやすく、対人関係も不適応的になりやすかったり、 何かしらの依存症を抱えるリスクも増加する傾向があるので、 そこに関係するお話の1つと考えられます。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、 ①大学生における恋人への依存の実態 ②親子関係が恋人への依存性に与える影響 について分析を行いました。

4. 方法

恋人がいる、もしくは恋人がいたことがある男女596名を対象に ・恋愛イメージ尺度 ・恋人への依存性尺度 ・恋愛依存傾向予備尺度 ・親子の依存抑制尺度 を用いて質問紙調査を行いました。

ちなみに、何をもって「依存」や自立としているかについては質問項目に書いておりまして、 ◆依存 ・自分の買い物に親にも付き合ってもらう ・わからないことやできないことは、親にやってもらったり、教えてもらったりする ・欲しいものがあると親に買ってもらう ・嬉しいことがあったら親に聞いてもらいたいと思う

◆自立 ・自分の考えで行動しても親は褒めてくれる ・あまり干渉はしないが、いつも気にかけてくれていると思う ・したいことは何でもさせてくれる

といった感じになっております。

5. 結果

・親に依存傾向のある男性は、恋人に対して、 従属:困った時に恋人の意見を求めたり、恋人の考えに従おうとする(β=0.21) 分離不安:嫌われたくないから恋人の意見に反対しない/恋人との関係が悪くなると他のことに手がつかない/恋人が自分と一緒にいたくないのではないかと不安になる/など(β=0.19) を抱えやすい。

・ただし、依存している場合でも、信頼や期待といった建設的な恋愛関係をできる場合もある(β=0.17),(β=0.15)

・女性においては、親子関係が自立している場合(β=0.20)でも、依存している場合(β=0.16)でも、 恋人と適応的な信頼関係(恋人には自分の弱いところを見せられる、頼ったり頼られたりできる、嬉しいことや楽しいことは、まず恋人に報告したい) を形成できるが、依存傾向が高い場合、 ・恋人に気持ちをわかってほしい ・恋人に心配してほしい など、恋人に対して過度な期待を抱く傾向が見られた。

6. 結論・まとめ

結論として、親子関係が依存的だと恋人との関係も依存的になりやすい ということがわかりました。 親の養育態度は、とりわけ女性よりも男性の恋愛観に与える影響が大きいようです。

理由として研究者は、 「男性は母親からの影響が大きいが、女性は友人や親以外の社会関係の影響が大きいことが考えられる。そのため、親子の関係性が恋人との関係性に反映されやすい」 と述べておりまして、 母親は女の子よりも男の子の方を大切に育てやすく、父親は女の子の方を大切に育てやすい(過保護になる)から、 特に男の子は、母親が子に過保護になりすぎると恋愛観にまで、あまりよくない影響を与えるので, ある程度は自立的に育てる方がこどもの恋愛もうまくいきますよー。 というお話でした。

今回の研究は大学生を対象にしているものの、社会人になってからも精神的な成熟が未発達の場合は これらの傾向が見られる可能性は十分にあります。 社会人になって経済的にはしていたとしても、親との関係性変わらない場合や依存的である場合はこの影響があるということです。例えば、社会人になって5年経っても実家暮らしの男性であれば、親との関係性にも大きな変化はないでしょう。 親が子離れをできていたり、子供が自立できるような教育を受けていればその影響も小さいとは思いますので、 もちろん一概には言えませんが、可能性としては考えられるかと思われます。

7. どんな使い方ができる?

使い方としては非常に便利だと思っていまして、そういった依存的な恋愛関係を築くリスクがある相手と付き合いたくない場合事前に、 ・恋人と付き合う前に、親への依存性をチェックしておく ・特に女性が、男性を見抜く際には母親との関係性(現在仲が良いとかだけでなく、高校~大学生頃の母親との関係性) はチェックしておくといいかも。 もし、 「高校生、大学生のころに、母親が依存的、過保護だった、いまもあまり変わってない」 という話が垣間見えたら、少し気を付けた方が良いかもしれません。

あとは、恋人との関係性をチェックすることもできます。 例えば、 ・恋人との関係が悪くなると、他のことに手がつかなくなってしまう ・自分の弱みを恋人に見せられない ・恋人に頼れない ・恋人には心配してほしい感が強い ・まったく甘えられない ・嫌われたくないから、やりたくないことでも我慢してしまう という話が、以前の恋人と別れた理由だったり、恋人に求めることだったりする場合でも チェックできます。

ただ、これが原因だと本人が認知していて、「次の恋人とは改善していきたい!」 と思っている場合は改善の余地があります。 しかし認知していない場合だったり、別れた理由を、前の恋人が全面的に悪かった、と押し付けている場合は注意ですね。

一見、大人っぽく見えたり、エスコートできる男性だったりしても、 親との関係が依存的であることは十分に考えられるから見た目ではわかりません。 女性の場合も同様で、一見清潔感のある人だったとしても、実は地雷という可能性も否めません。

こればかりは直接話さないとわからないところですので、付き合う前のチェック項目の1つとして参考になればと思います。