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Living with Addicted Men and Codependency: The Moderating Effect of Personality Traits https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5115643/
2016年にイランのシャヒード・ベヘシュティー大学らが行った研究で、依存症の男性との同居と、性格的特徴の関係について調べた研究になります。
今回は共依存に関するご質問をいただいたので、こちらでお答えしようと思います。
共依存という言葉をご存知でしょうか? 定義としては、 ・『依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様』 ・『特定の他者の行動に左右されていて、かつ、「自分は相手の行動をコントロールしなければならない、 という強迫観念にとらわれている人のこと』 とされており、共依存自体が1つの疾患であると言われています。 元々の語源としては「依存症者に依存している状態」を表すことから共依存という言葉が生まれましたが、 近年では、恋愛依存やセックス依存のように、一方が依存症者ではなくても成立する場合もあります。
共依存に限らず依存症と呼ばれるものには、心理的、身体的に事柄への依存を繰り返し、 自らの意志では止められない状態になるので、よく誤解されやすいのは ・「意志力が弱い」 ・「みじめな人」 などと理解されやすいのですが、それはあまり適切な表現ではなく これらは病的な症状の1つであるため、本人が理解していてもやめられなかったり、 依存症のために日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。
例えばアルコール依存症を例に挙げると、 ①アルコール依存症になった男性が存在し、その妻が共依存者となるケースでは、 ②アルコール依存症の男性がアルコールを入手するにはお金が必要なため、妻がアルコールを買ってくるケースも多い。 本当はやめさせたいと思っていても、DVされたり、買うことで機嫌が良くなることを知ると買ってきてしまう。 ③それだけでなく、相手の男性に「必要とされたい」「見捨てられたくない」という認知を抱いていると、 必要とされることで自分の存在価値を見いだすために、自分にはそのような相手が必要であると捉えてしまう。また男性にとってもアルコールに依存しているため、妻の支えがないと生活できなくなっている。 この場合、お互いがお互いに依存しているため、共依存と考えることができる。 という例です。 アルコール依存症の男性の妻は、被害者でもあり、「共犯者」でもあると見なすことができまして、 物質的な依存症は目に見えるので対処の使用がありますが、共依存に関しては一見わかりにくい病気でもあり 厄介な疾患の1つでもあります。
そこで今回は「恋愛」という文脈における依存症や共依存について解説します。 ※ただし「恋愛依存症」という概念はあまり学術的でなかったり、 また、共通する多様な行動、症状、原因、結果、タイプ、感情が存在し、 共依存を定義することは困難であるとされています。(ちなみに診断名でもありません。) この辺はまだ学術的な定義が統一されていないこともあり、エビデンスが薄い部分もあるので、 ここでのお話は参考程度に考えていただければと思います。
◆恋愛における共依存 恋愛における共依存には様々な特徴がありまして、 ・他者支配 ・他者との境界線の欠如 ・自己中心的な行動 ・自己喪失 ・低い自己肯定感や否認 といった特徴を持つケースがあります。 なので、 相手に心配されるために、 ・「事故にあった/ストーカーにつけられてるから助けに来て」と嘘をついたり ・「もう死にたい。いますぐ会いに来て」など 相手を心配させるようなことを言い、相手の気持ちを引こうとしたりします。 (俗にいうメンヘラもこれに当たるケースがありますね。)
これらの行動の理由としては、 乳幼児期、幼少期における養育者との関係や環境が大きな要因であると考えられていまして、 小さい頃に親から認められてこなかった経験や、 逆に過保護に育った場合にも共依存になる可能性があります。 例えば、親が過保護の場合、人間関係の構築に「監視」や「貢ぎ」という認知が育ちます。 すると、日常生活で起こりうる話としては ・友人との待ち合わせの時間を決めて会う約束をしたとしても、逐一相手の現在地や、どの電車に乗ったのかを確認したくなる ・恋人がどこで何しているか常に気になる ・モノを与えることで、そのおかげで愛してもらえると思う(貢ぎ)→条件的な愛 など、自分自身が監視されて育ったために、他者との関係を構築する際にも 監視のシステムが起動することがあります。
しかし、当人にとってはそれが当然のことで、 「逆に何がおかしいの?当たり前じゃない?私はそうやって育ったよ?」 と、さも当然のように考えていることも少なくありません。
他にも、「テストでいい点をとった時にしか褒められない」とか 90点だったのに、「なんで100点とれなかったの?」などと言われて育った場合にも、 「いい点数を取らないと親は愛してくれない」という認知形成ができてしまうと、 条件付きでしか愛情は得られないと覚えてしまうので、 これも人間関係構築において何らかの障害を抱える可能性はあります。
ここまでのお話をざっくりまとめると、共依存は基本的な信念に ・相手への支配(コントロール)→不安にさせて気を引くことも。 ・他者に必要とされたいという異常なまでの欲求(自分が必要とされているかがすべてで、自分が必要としている、ということは眼中にない。) ・精神的に不安定な心理状態 ・自己犠牲(恋愛トークにおいては、「一途なんだね」とか「献身的だね」と思われることもありますが、 相手がいないと不安になるために献身的行動を取ることで安心する、という側面があるので一途なのか、共依存的なのかはわからないことがある。) というところが共通的な特徴でありました。
そこで本研究では、依存症の男性と一緒に住むことが、 女性のパーソナリティや、共依存の傾向とどのような関係があるのかを調べることを目的に調査を行いました。
依存症の男性のパートナーの女性70名と、非依存症の男性のパートナーの女性70名を集めて、 それぞれの参加者に ・NEO-Five Factor Inventory(パーソナリティテスト) ・Spann-Fischer Codependency Scale(共依存尺度)※スコアが高いほど共依存度が高い に回答してもらい、それぞれの関係性を調べました。 ※ちなみにここでの依存症の男性は、薬物中毒者の男性をパートナーに持つ女性が対象になっております。
その結果何がわかったかといいますと、 ・依存症の男性をパートナーに持つ女性は共依存である傾向が高かった ・しかしながら、性格的特徴(神経症傾向、内向性、誠実性、開放性)において 有意な差はなかった(特徴的な差はないということ)が、協調性のみ、有意な差が認められた。 ・依存症の男性をパートナーに持つ女性も、非依存症の男性をパートナーに持つ女性も 神経症傾向と共依存と正の相関があった。(r=0.62, r=0.35) ・神経症傾向が高く、開放性が低く、協調性が低い女性は、共依存の傾向を予測していた。 ・ただし、神経症傾向が低ければ(つまり、メンタルの安定性が高い女性は) 依存症の男性をパートナーに持っていたとしても、共依存になりにくかった。
依存症の男性をパートナーに持つ場合、その女性の協調性が低いほど、共依存関係になりやすいことがわかりました。 協調性は夫婦関係の安定性を予測する指標でもあり、 一見すると、協調性が高い女性の方が共依存になりやすい感じがするのですが、 依存症の男性をパートナーに持つ場合、女性の協調性が低いことで夫婦間の関係の安定性が低下するので、 その安定性を維持するために共依存になるのではないか、と考えられます。 つまり、夫婦関係がうまくいかない理由に協調性の低さがあり、 共依存的な関係になることで安定させようとする、ということです。
確かに、どちらかが依存的になれば、建設的な関係性ではなかったとしても維持はできます。 その維持が両者にとって辛いものだったとしても、その関係がなくなることの方が当人たちには 最も避けたいことなので、手放せなくなり関係性にしがみついてしまうのですなー。
また、上の結果には書きませんでしたが、外向性と共依存には負の相関関係が見られたので、 アクティブだったり、人と会話することが好きだったりする女性は共依存になりにくいっぽいという結果でした。
共依存に関しては、共依存者である本人の問題で解決できることも多いです。 根本的な問題として、幼少期に人間関係構築における不適切な愛着スタイルを形成してしまうことが 大きな原因ですので、その原因や自分の特徴(特別なことをしないと親から愛されない、と学習した場合、恋人相手にも同じように接する)などを理解することで、はじめて対処可能になります。
また、共依存が本人の問題であるというのは、本人の「自律性」が大きく影響していることも関係しています。 ・「自分はひとりでも大丈夫。何とかやっていける。」 ・「私には支えてくれる人が他にたくさんいるから、この人がいなくても大丈夫。」 ・「これは私が選んできた選択だから、後悔はしない。」 というように、自律性が高い人ほど共依存になりにくい(外向性や神経症傾向の低さ、開放性の高さも共依存になりにくい) ので、自律性を養っていったり、日常生活を整えて性格的特徴を変化させていくことも有効な手法の1つではあります。
ただそれでも、実際の改善はとても難しいもので、 20~30年間、当然のように、しかも親から愛情を得るために培ってきた処世術が不適切な方法だった、 という真実は中々に苦しいものです。 そしてそれを適切な方法に変えていく、ということも今までの自分が否定されたような気分にもなりますし、 中にはそういった愛着スタイルが形成されてしまった原因が親にあることに気づき、 親への怒りや憎しみになってしまう人もいることがわかっています。
では恋愛依存や共依存になっている場合は、どうすれば抜け出せるの? と気になる方もいると思うのですが、 これについては、 ・ここでは扱いきれない程の情報量であること ・恋愛依存や共依存のプロセスは複雑であり、また正しい手法で治療を行わないと リバウンドしてしまったり、逆に精神的苦痛の感覚が強化されてしまう ことがあるため、ここで迂闊に扱うことができないジャンルでもあります。 ですので、本気で治療、改善したいと考えている方は、カウンセラーなどの専門家に相談してください。 もしくは自分自身で取り組みたい、という方や軽度な方は 伊藤明先生の「恋愛依存症~苦しい恋から抜け出せない人たち~」を 参考にしていただければと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※共依存や依存症については有名な言葉でもありますが、 2020年時点ではまだあまり学術的に統一されていない分野でもありまして、 依存、依存症、共依存、共依存症、嗜癖、中毒、アディクション、 Dependence、Dependency、Addiction、Co-Dependent、Co-Dependency、 Co-Addict、Co-Addiction など、語彙も様々であり、心理学や慣習的に用いられるAddictionは 専門用語ではないようなので本記事や本サイトでは精神医学用語である 依存症はDependency ,また、共依存症は Co-Dependency で扱っていきたいと思います(ラベルはこちらで統一しますので、検索の際にはDependency ,共依存症は Co-Dependencyでご利用ください)。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
0. 論文タイトル・URL
Living with Addicted Men and Codependency: The Moderating Effect of Personality Traits https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5115643/
1. その論文の目的・どこのリサーチか
2016年にイランのシャヒード・ベヘシュティー大学らが行った研究で、依存症の男性との同居と、性格的特徴の関係について調べた研究になります。
2. (先行研究とこれまでの問題)
今回は共依存に関するご質問をいただいたので、こちらでお答えしようと思います。
共依存という言葉をご存知でしょうか? 定義としては、 ・『依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様』 ・『特定の他者の行動に左右されていて、かつ、「自分は相手の行動をコントロールしなければならない、 という強迫観念にとらわれている人のこと』 とされており、共依存自体が1つの疾患であると言われています。 元々の語源としては「依存症者に依存している状態」を表すことから共依存という言葉が生まれましたが、 近年では、恋愛依存やセックス依存のように、一方が依存症者ではなくても成立する場合もあります。
共依存に限らず依存症と呼ばれるものには、心理的、身体的に事柄への依存を繰り返し、 自らの意志では止められない状態になるので、よく誤解されやすいのは ・「意志力が弱い」 ・「みじめな人」 などと理解されやすいのですが、それはあまり適切な表現ではなく これらは病的な症状の1つであるため、本人が理解していてもやめられなかったり、 依存症のために日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。
例えばアルコール依存症を例に挙げると、 ①アルコール依存症になった男性が存在し、その妻が共依存者となるケースでは、 ②アルコール依存症の男性がアルコールを入手するにはお金が必要なため、妻がアルコールを買ってくるケースも多い。 本当はやめさせたいと思っていても、DVされたり、買うことで機嫌が良くなることを知ると買ってきてしまう。 ③それだけでなく、相手の男性に「必要とされたい」「見捨てられたくない」という認知を抱いていると、 必要とされることで自分の存在価値を見いだすために、自分にはそのような相手が必要であると捉えてしまう。また男性にとってもアルコールに依存しているため、妻の支えがないと生活できなくなっている。 この場合、お互いがお互いに依存しているため、共依存と考えることができる。 という例です。 アルコール依存症の男性の妻は、被害者でもあり、「共犯者」でもあると見なすことができまして、 物質的な依存症は目に見えるので対処の使用がありますが、共依存に関しては一見わかりにくい病気でもあり 厄介な疾患の1つでもあります。
そこで今回は「恋愛」という文脈における依存症や共依存について解説します。 ※ただし「恋愛依存症」という概念はあまり学術的でなかったり、 また、共通する多様な行動、症状、原因、結果、タイプ、感情が存在し、 共依存を定義することは困難であるとされています。(ちなみに診断名でもありません。) この辺はまだ学術的な定義が統一されていないこともあり、エビデンスが薄い部分もあるので、 ここでのお話は参考程度に考えていただければと思います。
◆恋愛における共依存 恋愛における共依存には様々な特徴がありまして、 ・他者支配 ・他者との境界線の欠如 ・自己中心的な行動 ・自己喪失 ・低い自己肯定感や否認 といった特徴を持つケースがあります。 なので、 相手に心配されるために、 ・「事故にあった/ストーカーにつけられてるから助けに来て」と嘘をついたり ・「もう死にたい。いますぐ会いに来て」など 相手を心配させるようなことを言い、相手の気持ちを引こうとしたりします。 (俗にいうメンヘラもこれに当たるケースがありますね。)
これらの行動の理由としては、 乳幼児期、幼少期における養育者との関係や環境が大きな要因であると考えられていまして、 小さい頃に親から認められてこなかった経験や、 逆に過保護に育った場合にも共依存になる可能性があります。 例えば、親が過保護の場合、人間関係の構築に「監視」や「貢ぎ」という認知が育ちます。 すると、日常生活で起こりうる話としては ・友人との待ち合わせの時間を決めて会う約束をしたとしても、逐一相手の現在地や、どの電車に乗ったのかを確認したくなる ・恋人がどこで何しているか常に気になる ・モノを与えることで、そのおかげで愛してもらえると思う(貢ぎ)→条件的な愛 など、自分自身が監視されて育ったために、他者との関係を構築する際にも 監視のシステムが起動することがあります。
しかし、当人にとってはそれが当然のことで、 「逆に何がおかしいの?当たり前じゃない?私はそうやって育ったよ?」 と、さも当然のように考えていることも少なくありません。
他にも、「テストでいい点をとった時にしか褒められない」とか 90点だったのに、「なんで100点とれなかったの?」などと言われて育った場合にも、 「いい点数を取らないと親は愛してくれない」という認知形成ができてしまうと、 条件付きでしか愛情は得られないと覚えてしまうので、 これも人間関係構築において何らかの障害を抱える可能性はあります。
3. その論文の目的(具体的に)
ここまでのお話をざっくりまとめると、共依存は基本的な信念に ・相手への支配(コントロール)→不安にさせて気を引くことも。 ・他者に必要とされたいという異常なまでの欲求(自分が必要とされているかがすべてで、自分が必要としている、ということは眼中にない。) ・精神的に不安定な心理状態 ・自己犠牲(恋愛トークにおいては、「一途なんだね」とか「献身的だね」と思われることもありますが、 相手がいないと不安になるために献身的行動を取ることで安心する、という側面があるので一途なのか、共依存的なのかはわからないことがある。) というところが共通的な特徴でありました。
そこで本研究では、依存症の男性と一緒に住むことが、 女性のパーソナリティや、共依存の傾向とどのような関係があるのかを調べることを目的に調査を行いました。
4. 方法
依存症の男性のパートナーの女性70名と、非依存症の男性のパートナーの女性70名を集めて、 それぞれの参加者に ・NEO-Five Factor Inventory(パーソナリティテスト) ・Spann-Fischer Codependency Scale(共依存尺度)※スコアが高いほど共依存度が高い に回答してもらい、それぞれの関係性を調べました。 ※ちなみにここでの依存症の男性は、薬物中毒者の男性をパートナーに持つ女性が対象になっております。
5. 結果
その結果何がわかったかといいますと、 ・依存症の男性をパートナーに持つ女性は共依存である傾向が高かった ・しかしながら、性格的特徴(神経症傾向、内向性、誠実性、開放性)において 有意な差はなかった(特徴的な差はないということ)が、協調性のみ、有意な差が認められた。 ・依存症の男性をパートナーに持つ女性も、非依存症の男性をパートナーに持つ女性も 神経症傾向と共依存と正の相関があった。(r=0.62, r=0.35) ・神経症傾向が高く、開放性が低く、協調性が低い女性は、共依存の傾向を予測していた。 ・ただし、神経症傾向が低ければ(つまり、メンタルの安定性が高い女性は) 依存症の男性をパートナーに持っていたとしても、共依存になりにくかった。
6. 結論・まとめ
依存症の男性をパートナーに持つ場合、その女性の協調性が低いほど、共依存関係になりやすいことがわかりました。 協調性は夫婦関係の安定性を予測する指標でもあり、 一見すると、協調性が高い女性の方が共依存になりやすい感じがするのですが、 依存症の男性をパートナーに持つ場合、女性の協調性が低いことで夫婦間の関係の安定性が低下するので、 その安定性を維持するために共依存になるのではないか、と考えられます。 つまり、夫婦関係がうまくいかない理由に協調性の低さがあり、 共依存的な関係になることで安定させようとする、ということです。
確かに、どちらかが依存的になれば、建設的な関係性ではなかったとしても維持はできます。 その維持が両者にとって辛いものだったとしても、その関係がなくなることの方が当人たちには 最も避けたいことなので、手放せなくなり関係性にしがみついてしまうのですなー。
また、上の結果には書きませんでしたが、外向性と共依存には負の相関関係が見られたので、 アクティブだったり、人と会話することが好きだったりする女性は共依存になりにくいっぽいという結果でした。
7. どんな使い方ができる?
共依存に関しては、共依存者である本人の問題で解決できることも多いです。 根本的な問題として、幼少期に人間関係構築における不適切な愛着スタイルを形成してしまうことが 大きな原因ですので、その原因や自分の特徴(特別なことをしないと親から愛されない、と学習した場合、恋人相手にも同じように接する)などを理解することで、はじめて対処可能になります。
また、共依存が本人の問題であるというのは、本人の「自律性」が大きく影響していることも関係しています。 ・「自分はひとりでも大丈夫。何とかやっていける。」 ・「私には支えてくれる人が他にたくさんいるから、この人がいなくても大丈夫。」 ・「これは私が選んできた選択だから、後悔はしない。」 というように、自律性が高い人ほど共依存になりにくい(外向性や神経症傾向の低さ、開放性の高さも共依存になりにくい) ので、自律性を養っていったり、日常生活を整えて性格的特徴を変化させていくことも有効な手法の1つではあります。
ただそれでも、実際の改善はとても難しいもので、 20~30年間、当然のように、しかも親から愛情を得るために培ってきた処世術が不適切な方法だった、 という真実は中々に苦しいものです。 そしてそれを適切な方法に変えていく、ということも今までの自分が否定されたような気分にもなりますし、 中にはそういった愛着スタイルが形成されてしまった原因が親にあることに気づき、 親への怒りや憎しみになってしまう人もいることがわかっています。
では恋愛依存や共依存になっている場合は、どうすれば抜け出せるの? と気になる方もいると思うのですが、 これについては、 ・ここでは扱いきれない程の情報量であること ・恋愛依存や共依存のプロセスは複雑であり、また正しい手法で治療を行わないと リバウンドしてしまったり、逆に精神的苦痛の感覚が強化されてしまう ことがあるため、ここで迂闊に扱うことができないジャンルでもあります。 ですので、本気で治療、改善したいと考えている方は、カウンセラーなどの専門家に相談してください。 もしくは自分自身で取り組みたい、という方や軽度な方は 伊藤明先生の「恋愛依存症~苦しい恋から抜け出せない人たち~」を 参考にしていただければと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※共依存や依存症については有名な言葉でもありますが、 2020年時点ではまだあまり学術的に統一されていない分野でもありまして、 依存、依存症、共依存、共依存症、嗜癖、中毒、アディクション、 Dependence、Dependency、Addiction、Co-Dependent、Co-Dependency、 Co-Addict、Co-Addiction など、語彙も様々であり、心理学や慣習的に用いられるAddictionは 専門用語ではないようなので本記事や本サイトでは精神医学用語である 依存症はDependency ,また、共依存症は Co-Dependency で扱っていきたいと思います(ラベルはこちらで統一しますので、検索の際にはDependency ,共依存症は Co-Dependencyでご利用ください)。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー