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Relationally Charged: How and When Workplace Friendship Facilitates Employee Interpersonal Citizenship #129

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0. 論文タイトル・URL

Relationally Charged: How and When Workplace Friendship Facilitates Employee Interpersonal Citizenship https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2020.00190/full

1. その論文の目的・どこのリサーチか

中国の西南大学が2020年に行った研究で、職場の友人関係と支援行動に関する研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

これまでの研究で職場に友人がいると仕事の生産性は爆上がりするぞ!と言われてきておりまして、 Gallup社が行った調査によると、職場に親友がいる人は、そうでない人に比べて、より幸せで健康的であるだけでなく、 仕事へのコミットメントが7倍も高いそう。 組織研究では、職場の友情が、仕事の意義の強化(Mao et al., 2012)、 チームメンバーの交換(Tse et al., 2008)、幸福感(Craig and Kuykendall, 2019)、イノベーション(Lu et al., 2017)など、 従業員と組織の両方にポジティブな影響を与えることがわかっていたりと、職場に友人がいることで、個人にも組織にも有益なのですな。

ただ、友人がいるとこうした利点はありますが、どのような要因が影響しているのかについてはあまりよくわかっていないそう。 職場に友達はいるけど、そこまでメリットを感じていなかったり、「何ならすぐにでも転職したいとすら思ってます」、みたいな人に役立ちそうですね。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、 ◆職場の友人関係は、相互支援行動と関係があるのか?

相互的対人関係によって生まれる心理的なエネルギーが、従業員のパフォーマンスにどのような影響を与えるのか? ・職場の友人のために仕事がんばろ! ・○○さん達がすごく頑張っているから、自分も頑張るぞ!みたいなこと

関係性によるエネルギーは、友人関係と支援行動を媒介する要因になるか? ということを調べてくれました。

4. 方法

83のグループからの620人の従業員のサンプルを収集し、彼らに対して ・職場の友情尺度(同僚に会えることは、仕事が楽しみである理由の1つである) ・関係依存自己構築尺度(自分に近しい関係性は、自分自身を構築する要因の1つになっている:RISC)といった項目 ・関係エネルギー尺度(職場の友人と交流すると元気が出る) ・インターパーソナルシチズンシップ(質問されなくても、従業員同士は助け合っているかどうか) を質問しました。

5. 結果

その結果何が分かったかと言いますと、 ・関係性によるエネルギー(職場の友人関係によって生まれる感情や活力・モチベーションなど)は、 友人関係の質と支援行動を媒介する要因になっていた。

他者との関係性において自分自身を構築する考え方(RISC)を持っている人ほど、 職場の友人関係を大切にしており、支援行動も多かった。

6. 結論・まとめ

ということでまとめると、 ・職場での友人関係を築いていると、支援行動も増えるし、仕事へのエネルギーも高まるぞ!

・RISCの考え方を持っている人ほど、職場での友人関係を築きやすいし、支援行動も増えるぞ! という結果でした。

この研究の一番のポイントはRISCの有無でして、このRISCの考え方やパーソナリティを持っている人ほど 関係性を築きやすいんだそう。

RISCについては概念が少し難しいのですが、質問項目を見ると ・親しい人が何か重要なことを成し遂げると、自分も嬉しい気持ちになる ・自分のことを考える時、親しい友人や家族のことを考えることが多い ・誰かが自分の友人や家族を傷つけると、自分も傷つく人間関係の構築と、そのつながりの維持に関わる目標を優先する ・意思決定プロセスにおいて他者を考慮する傾向が強く ・適切な行動の実施や対人関係の調和の促進といった共同体の規範を促進する傾向がある こういった内容になっていました。

7. どんな使い方ができる?

そうなるとRISCの考え方を持てると素敵なものですが、これに関してはパーソナリティや価値観の問題もあるので、 無理に変えることは難しいでしょう。 活用のコツとしては行動から思考を変えることが望ましいので、 ・とりあえず同僚や職場の先輩・後輩が困っていたらサポートしてみる ・困っていなくても実は困っているかもしれないので声をかけてみる ・相手が頑張ってきた背景を知っていると、その成果や結果が出たときに自分も嬉しくなることがあるので、 相手の頑張っていることや取り組んでいることについて聴いてみたり、SNSを通じて知っておく などは比較的実行しやすいかなあーと。

自分に余裕がないとサポートなんてできないよ!」 というご指摘もありそうですが、これは心理学的には逆で、ボランティアに関する研究では余裕がない時ほどサポートすることで、 「あ、自分は誰かをサポートできるくらい余裕があるんだ。」という認知を持つことができることもわかっています。 難しい内容ではあると思うので、できそうな方は心がけてみるといいかもしれないです~