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Modification of First Impression Formation and “Personality” by Manipulating Outer Appearance #141

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0. 論文タイトル・URL

Modification of First Impression Formation and “Personality” by Manipulating Outer Appearance https://www.researchgate.net/publication/312560559_Modification_of_First_Impression_Formation_and_Personality_by_Manipulating_Outer_Appearance?enrichId=rgreq-2ceff3119c4a73e28655f6087ad14d3a-XXX&enrichSource=Y292ZXJQYWdlOzMxMjU2MDU1OTtBUzo5NzY2MzEzMDkwMjUyODJAMTYwOTg1ODQ1Nzg2MQ%3D%3D&el=1_x_3&_esc=publicationCoverPdf

1. その論文の目的・どこのリサーチか

シャリテー・ベルリン医科大学が2017年に行った研究で、見た目の簡単な操作によって「人格」の認識がどの程度するかを調べた研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

人は見た目で判断される!というのは昔から言われていまして、 心理学ではメラビアンの法則なんかが有名。ざっくりいうと「視覚、聴覚、言語情報のうち、55%は視覚から情報を得ている」というのがメラビアンの法則ですが、 ビジネスの界隈では「見た目が重要だから見た目、大事にしようぜ」みたいな話をされる時は、やたらとメラビアンの法則を使って話したがる人もいます(笑)そのくらい外見は重要だということなのでしょう。

外見を変えることで他人からどのように認知され、どのように反応するかを調べる実験は色々なものがありまして、ロマンチック・レッドの研究は聴いたことがある方もいるのではないでしょうか。例えば、 ・赤いTシャツを着たり、赤系統の化粧品を使っているウェイトレスは、男性からより多くのチップを受け取る。 ・男性は女性が緑や青のシャツを着ているときよりも、赤いシャツを着ているときの方がより親密な質問をしたり、近くに座ったりする。 といったもの。他にも外見操作の研究では、 ・眼鏡をかけている人は他の参加者に比べて、より知的で、勤勉で、正直で、信頼できると評価された ・魅力、能力、創造性、狡猾さ、外向性、意地悪さ、信頼性、知性などの知覚は、異なる表情を設定することで印象を操作できる ・ビッグファイブに基づく性格判断も、写真の姿勢や表情の違いによって印象が変化する

などがあったりします。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、同じ人物に異なる見た目の服装や髪型、メイクアップなどを変えて、他者からの印象がどのように変わるのかを調べました。

4. 方法

92名の参加者に2枚の見た目が異なる女性の写真を見てもらい、 ・Bipolar Minimal Emotional Dysfunction Scale(その人の性格的特徴を9段階で判断してもらう尺度。控えめ、おだやか、うるさい、など) に回答してもらいます。 ちなみにこの2枚のカラー写真には同じ女性が異なる服装で写っていまして、 ・写真A:髪を後ろで束ねて、眼鏡をかけ、黒のTシャツ ・写真B:髪を巻いて、コンタクトレンズをつけ、赤いブラウス AとBではおそらくメイクも変えているっぽいので、パッと見では同一人物とはわからないのではないかなーという感じでした。

5. 結果

その結果何がわかったかといいますと、 ・写真の女性は同じ人物であるにも関わらず、その印象評価は有意に異なっていた

髪の毛を巻いた方の写真は、より開放的で信頼感のある印象を与え、 髪の毛を後ろで束ねた写真は、より控えめで真面目で反抗的な印象を与えたと考えられた

その印象は年代や性別に関係なかった(だいたいどんな人でも、同じようにその人物を評価したということ)

6. 結論・まとめ

とてもシンプルな実験ではあるのですが、この研究でのおもしろいところは、 人によって受ける印象はそこまで違わず、だいたいみんな同じ第一印象を抱くということだと思います。

ただし、長時間一緒にいたり、よく分析したり会話するなどによっては人によって判断材料が増えるので 印象形成に個人差が出てくるかもしれません。しかし、パッと見の印象であれば個人差は小さく、ほとんどの人が似たような印象を受けるということ、なのではないかと思われます。 ただこれも難しいもので、第一印象はコンマ数秒で無意識に判断しているのが人間ですので、第一印象がネガティブなものになってしまうとその後の印象形成が困難になってしまう場合もあります。それだけ第一印象は大切ということですなー

7. どんな使い方ができる?

第一印象が大切といわれても「そんなの相手の判断によるんだから、どうしようもないじゃないか!」と文句を言いたくなる気持ちもわかります。 しかし研究者はこれを逆手にとっていまして、

同じ人物」が外見によって、社交性、信頼性、雰囲気などの判断を含めて全く異なる2つの「人格」として認識される。 したがって、どのような人格特性を見せたいかは、見せる側の手に委ねられているのです。

と述べておりまして、「だいたいみんな同じように判断するなら、どう見せたいかもコントロールできるのでは?」ということ。 例えば、 ・和服を着ていたら「おっとりしてそう、優雅だ、佇まいが美しい」 ・ボーイッシュな雰囲気をしていたら、「少しやんちゃそう」「外向的」「スポーツ好きそう」 ・筋肉ムキムキな人がピンクの服を着ていれば、「某お笑い芸人みたいな人」 などなど、少ない情報量しかない場合、その情報だけで無意識に相手を判断することになるため、印象形成が極端になる、というのはなるほどなお話でした。

ただ、人間関係を構築する際には多くの場合、事前情報があったり判断材料も多かったりするため、 一概に今回の研究のような環境が頻繁にあるとも限りませんし、おびえる必要もないかと。 服装、髪型、メガネ、メイク、表情などで印象は簡単にコントロールできる反面、 相手の印象を「自分が」判断する時も簡単に判断していることもあります。

個人的には、あまり第一印象に気を遣いすぎてしまうと疲れるので、