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Psychological safety climate and workplace bullying in Vietnam’s public sector #63

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0. 論文タイトル・URL

Psychological safety climate and workplace bullying in Vietnam’s public sector https://www.researchgate.net/profile/Diep-Nguyen-23/publication/312646102_Psychological_safety_climate_and_workplace_bullying_in_Vietnam%27s_public_sector/links/5a9a2181aca2721e3f2df36f/Psychological-safety-climate-and-workplace-bullying-in-Vietnams-public-sector.pdf

1. その論文の目的・どこのリサーチか

エディスコーワン大学の2017年の論文です。 心理的安全性風土と職場おけるいじめに関する研究です。

2. (先行研究とこれまでの問題)

近年では心理的安全性(Psychological safety)という言葉が日本でも使われるようになりました。 組織において、従業員が言いたいことを言えたり、自分はここにいてもいいんだ、と思えるような心理的に安心・安全だと思える組織の風土のことを指します。

よく勘違いされがちなのは、仲が良い組織です。仲が良いからと言って心理的安全性が高いとは言えません。 同僚や組織を信頼し、自分の意見に耳を傾けてもらえることや、言うべきことや言いにくいことを言ったとしても、周りから避難されたり、仲間外れにされることがないような職場であることなので、「必要なことだけど、本人が傷つくことだから/職場の雰囲気を悪くするから言えない」のであれば、心理的安全性が高いとは言えないのですね。 "A shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking." (このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い) Edmondson (1999) Administrative Science Quarterly. 44(2) 嫌われたり、関係が破綻したりするようなリスクであっても、心理的安全性ではどのような発言や指摘をしても問題がない状態」を意味している、と言われています。

その心理的安全性ですが、特にアジア圏では最近広まってきた言葉なので、あまり研究が進んでいないこともあり、公的機関(公共組織)における心理的安全性の研究はほとんどありません。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、ベトナムの公的機関で働く274名のマネージャークラスではない従業員に対し質問紙調査を行い、組織の心理的安全性に関する調査を行いました。

4. 方法

実験は質問紙調査で行い、ベトナムのホーチミン市にある公共機関に勤務する役員274名にアンケートに回答してもらいます。 測定した指標は、 ・心理的安全性風土 ・POS(知覚された組織的な支援)(項目の例としては、「私の組織は私の意見を気にかけてくれている」など) ・いじめ ・エンゲージメント ・Well Being

5. 結果

その結果何がわかったかといいますと、 ・心理的安全性が高いと感じている場合は、いじめも少なく、エンゲージメントスコアも高い(β=-.12、p < 0.05) ・心理的安全性は、組織支援・職場でのいじめ・エンゲージメント・Well Beingのすべてと有意に相関があった ・心理的安全性とPOSが従業員のエンゲージメントと幸福度の予測因子となっていた

6. 結論・まとめ

心理的安全性が職場のいじめやエンゲージメント、幸福度と関係していることがわかりました。 逆にいうと、心理的安全性が高ければ、いじめも起きにくいし、エンゲージメントも高まるということでもあります。 心理的安全性を確保する方法として研究者は、

”心理的な危害を防ぐためには、従業員に健康問題や心理的安全性について話し合う自由を与えるべきである。管理者が心理社会的な危険性を認識し、従業員がこれらの問題について話しても安全だと感じれば、ストレス、疲労、うつ病などの負の結果を減少させるために、即座に対策を講じることができる。さらに、職場でのネガティブな行動につながる可能性があるため、仕事の要求は抑制する必要があり、従業員は自分の仕事をよりよく遂行し、職場でポジティブな感情を醸成するためのリソースを必要としている。したがって、管理者は、従業員に資源の適切な提供を確保し、心理的ストレス(DollardとBakker 2010; Lawら2011; SchaufeliとBakker 2004)に貢献する仕事の要求を減らすべきである”。

とコメントしておりまして、 ・マネージャークラスの人が心理的安全性が低いことのリスクを認識すること ・従業員が言いたいことを言えるような場を作ったり、信頼関係を構築するための取り組み(1on1マネジメントなど)を行うこと ・仕事を与えすぎないこと ・自己コントロール感を与えること こんなところかな~と思います。まずは心理的安全性を妨げている要因がどこにあるのかを組織で分析したり、アンケートを取ったりすることもいいかもしれません。

7. どんな使い方ができる?

かと言って心理的安全性を高めましょう!と言っても何をしてよいかわからないでしょうし、簡単なことではないと思います(それができているなら日本の企業は働き心地の良い職場で溢れかえっているはずです笑) まず大前提として必要なことは、

・トップ層、マネージャークラスが職場の心理的安全性を正しく理解すること ・そのための研修を行うこと(わからないと実践すらできないため) ・積極的に現在の職場環境を、従業員のために変えたいと思っていること ・管理職と従業員の間で双方向のコミュニケーションシステムを構築し、従業員が組織内でのケアや守られるための方針、手順、慣行を共通に理解すること

などが挙げられます。そのための方法は各組織に合ったやり方でよいと思いますが、心理的安全性の重要性や具体的な理解(言葉だけではなく、正しい認識とそのための改善)を組織全体で進めることではないでしょうか。 一部の人のムーブメントで終わるのではうまくいかないでしょう。 組織が大きくなっていくほど難しくなっていくのだと思いますが、心理的安全性が高い状態を作り出せれば、あらゆる指標が良くなります。頑張って変えていきたいところです。