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The impact of frequent napping and nap practice on sleep-dependent memory in humans #87

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0. 論文タイトル・URL

The impact of frequent napping and nap practice on sleep-dependent memory in humans https://www.nature.com/articles/s41598-018-33209-0

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2018年にカルフォルニア大学が昼寝の頻度と昼寝の訓練が、記憶力に与える影響について調べた研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

みなさんは昼寝をしていますか?

日中の昼寝は記憶プロセスを促進する上で、夜間の睡眠と同等の効果を発揮することあります。昼寝によるパフォーマンスの向上は、エピソード記憶、情動調節、手続き的スキル、注意力など幅広い認知能力で効果が認められています。 また、昼寝は創造性や生産性の向上、スポーツ選手ならパフォーマンス向上、シフトワークに伴う疲労への対処法としても支持されておりまして、昼寝大事だよね~というのが最近の睡眠界隈ではよく言われております。

ですがこのように昼寝の効果が実証されているにもかかわらず、多くの人が昼寝をしているわけではありません。 National Sleep Foundation Sleep Health Index (2014)によると、アメリカの成人53%が定期的に昼寝をしており、過去7日間に少なくとも1回は昼寝をしていると定義されていまして、まあ何をもって「昼寝をする人」または「昼寝をしない人」と定義するかについては、明確な定義はされていないものの、アメリカでも週1回昼寝をする人は53%なので日本ではもっと少ないことが想定されます。

昼寝と夜の睡眠の違いについて言えば明確な違いが1つあります。 まず基本的な夜の睡眠からお話すると、夜の睡眠は眠りにつくと一気に深い睡眠に入っていきます。これは徐波睡眠(SWS)と言われていまして、いわゆるノンレム睡眠です。そして浅い睡眠であるレム睡眠とノンレムを繰り返しながら起床に近づいていくわけです。

そして昼寝の睡眠は浅い睡眠であるレム睡眠で完結できるので寝ぼけたような気だるさがなく目覚めることができます。ただ、昼寝で30分を超えるような睡眠をしてしまうと深い睡眠まで落ちてしまい、その段階で起こされてしまうと目覚めが悪い起床になってしまうので注意が必要なのですね。長時間の昼寝をする場合は、一度眠りが浅くなる60~90分のタイミングで起床できると比較的スッキリ目覚めることができると言われております。

3. その論文の目的(具体的に)

本研究の目的は、週に1回以上の昼寝を推奨する人(nap+)が、昼寝をほとんどしない人(nap-)と比較して、昼寝依存性の記憶統合などの昼寝の成果に違いがあるかどうかを調べること、さらに昼寝をしたことがある人とない人を対象に、4週間の「昼寝の習慣」(週に3回以上の昼寝)または「昼寝の制限」を行うことで、睡眠の生理機能やパフォーマンスの向上に影響があるかどうかをクロスオーバー方式で検証しました。 つまるところ昼寝を普段からしているかどうかで昼寝の効果に違いがあるか?ということです。

5. 結果

・昼寝をした人は、しなかったグループに比べて知覚学習課題のスコアが有意に高かった(d  = 0.49) ・4週間の昼寝の実践または制限を行っても、パフォーマンスや睡眠中の脳の活動に変化は現れなかった。 ・昼寝前に比べて、昼寝10分後でわずかに眠気が減少したり、覚醒度が高まった。 ・10分間の昼寝と90分の昼寝を比較すると、90分の昼寝を行ったグループの方が覚醒度がたかかった。 ・普段から昼寝をしているグループは簡単な算数の問題(DST)の回答速度が速くなった。 ・普段から昼寝をしていないグループはDSTの回答速度は速くなったものの、正答率に変化はなかった。 ・普段から昼寝をしている人としていない人では、昼寝時の睡眠メカニズムに違いがあり、浅い睡眠時において脳の学習に関する部位の働きを調節していた。 ・普段の昼寝の頻度が高いグループは認知課題のパフォーマンスが高い。

6. 結論・まとめ

少し複雑になってしまったのでまとめますと、 ・昼寝をしない人と比べるとパフォーマンスは高い(改善される)ように見えたが、普段から昼寝をしている(週三日以上)かどうかによる。(眠気は改善するけどね。) ・昼寝を普段からしている人が昼寝を制限しても、昼寝から得られる認知的なメリットは減少せず、 昼寝を増やしても、昼寝に関連する知覚学習は増加しない。 ・昼寝の頻度が低い人はSWS(ノンレム睡眠:深い睡眠)を多く含む昼寝をする。普段から昼寝をする人は学習に関する脳の構造が違っている。

7. どんな使い方ができる?

昼寝はパフォーマンス向上の効果が強くうたわれていましたが、普段から昼寝をしているかどうかの影響が大きく、眠気は改善するものの、パフォーマンス向上とまで言えるかというと△ また昼寝に対する主観的な評価も影響している部分があるようですので、より昼寝の恩恵を受けたいのであれば、週三日以上の昼寝を心がけてみることと、昼寝に対する抵抗感が少ない方が良いですね。 また、この研究では言されていませんでしたが、睡眠不足の場合は昼寝によって睡眠不足を補えるみたいなので、 前日あまり眠れなかったという場合は20分程度、もしくは90分程度の昼寝を追加してみるのも良いかもしれません。

ただ、昼寝をしない人は起床後にグダグダしやすく、起床後の行動が遅いため昼寝をする時間が確保できず、仕事をしなければいけないという報告もあるようなので、昼寝に対する主観的な認知がポジティブなものにならない人は無理に昼寝をしようとしなくてもいいんじゃないの? と思ったりしました。昼寝に興味がある方はまず週1日からはじめて、週3日以上、20分以下の昼寝をする習慣をつくれると脳のつくりも変わっていくみたいなのでぜひおためしあれええ。