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研究背景
1980年から北極海の海氷面積は長期的に減少傾向にある
氷の減少により、環境にやさしくそして経済的な北極海航路の利用が可能になりつつある 北極海航路向けの船に加えて情報技術などのソフト面の支援が充実すれば実現可能
予測のスケールと目的 短期(一週間程度):実際に航海をするうえでの意思決定 中期(1ヶ月から半年):航路を利用を決定するうえでの意思決定 長期(数十年スケール):投資するうえでの意思決定
海氷厚の予測ができなかった原因 時間的空間的解像度の高い海氷厚に関するデータが存在しなかった
既存研究
Kimura(2013) マイクロ波放射計による日時の海氷漂流速度をもちいて、海氷の動きをシミュレートすることで下記の海氷の面積分布を予測、厚さは予測できない
使用データ
衛星によるリモセンデータ マイクロ波は微小な水滴に散乱されにくいので上空の気象状況によらず地表面を観測できるが波長が長いため解像度が低い 物体の輝度温度の違いによって物体を識別できる。 海氷は厚さ冠雪表面の状態によって輝度温度が変化するので氷の種類や密接度が推定できる
海氷密接度 ある範囲内の海面で海氷が占める割合 NASA Team Algorithmによって計算 海氷面・一年氷・多年氷からの三種類の電磁波によって輝度温度が形成されると仮定 それぞれ周波数に対する特性が異なる 10km間隔900 * 900の格子データを得た
海氷厚 Krishfield(2014)によって開発されたIJISアルゴリズムを用いて計算 氷の種類を区別したうえでそれぞれの氷にみられる厚さと輝度温度の関係によって推定
メルとポンド(氷が解けて水たまりになっている場所)・海氷密接度30%以下の地点を除外
検証
三つの検証
ブイの実測値との比較 メルとポンドを除外したものの4月から8月における誤差がでかい 6月がピーク 季節変化による補正を行ったIJISアルゴリズムであれば年間を通じで50cm以下の制度でうまくいく
CryoSat-2との比較 CryoSat-2は南極と北極の氷冠観測を目的として打ち上げられたヨーロッパの地球観測衛星 南北両極の氷の季節変化経年変化を観測できる 海氷厚を計測できるものの衛星軌道直下の地点しか計測できない データの提供が限られている 数値的な予測はIJISではできないが相対的な大きさやスケールの分布に関しては概ね一致
経験的な海氷厚の動向との比較 下記の推定結果に不自然な点が多数 メルトポンドが影響か?
各月の海氷厚の関係 春の海氷厚と夏の海氷厚の関係に比べて、秋と夏の関係性の方が強い 8月と9月の北極海全域での信頼できる海氷厚データがないから10月のを予測する
海氷厚分布の予測
5月と10月の海氷厚を見る IJISアルゴリズムによって5月と10月の海氷厚を推定 グリッドを10kmから50kmに拡大 両月で海氷厚が計測できている数をnとしてnに閾値をつけながら相関関係を見ていく nが10の1155地点にたいしてピアソンの積率相関係数について95%の有意水準の無相関検定を行った 36%地点で有意に相関
回帰直線による海氷厚の推定 5月の海氷厚から10月の海氷厚を回帰して海氷厚を求めたものと実測値の比較 2014/10/1 全体的な傾向が予測と実際で異なっている 平年との偏差に注目しても予測はうまく言っているとは言えない 偏差の変化の傾向が一致した海域も半分以下である 2013/10/1 うまく推定できた
年によってばらつく理由 夏の海氷の動きが年によってバラバラだから
描画ソフトferret
H27/2 森 正彦
要旨 2003年から2014年までのマイクロ波放射計AMSR-E AMSR2のデータを用いて厚さを推定し、ブイによる実測値と比較
大きなスケールでの予測は可能だったが、不安定になる夏の予測はできなかった
各月の海氷厚の相関をとってみると5月と10月の間に有意な相関がみられたので5月の海氷厚から10月の海氷厚を予測するモデルを立てた
実際に必要なのは7~9月までの予測