Open dk-morinibu opened 1 month ago
第一の課題は、チームがプロダクトゴールを一つに定めて注力できていないことでした。理由は、そのチームがプロダクト開発と全チームが利用するプラットフォームの両方を担当していたことです。そのため、中期間のゴールを設定できず、アドホックな対応を続けるという状況に陥っていました。これを解決するためチームトポロジーの考えを導入し、そのチームをストリームアラインドとプラットフォームチームに分けました。これによって、プロダクト開発とプラットフォームの開発の境界を明確にし、各チームがプロダクトゴールに注力できるようになりました。(SM がチームトポロジー研修で学んだことを活かした)。
第二の課題は、各スクラムチームが定めたプロダクトゴールが局所最適化していたことです。各々のチームは自律的にプロダクトゴールを定めコミットできていると認識していましたが、お互いのゴールが相手チームに及ぼす影響、それによるビジョンへの影響を考慮できていないことが明らかになりました。他のチームがどんな方針でプロダクトゴールを決めていて、どのような課題に直面しているのかを知らず、各々が完全に独立してビジョンにコミットしているような状態でした。この課題解決のためエグゼクティブメタスクラム(EMS)の考えを参考に、PO 同士による定例ミーティングを行うようにしました。
第三の課題は、この POミーティングによる判断が、各スクラムチームが考えている技術獲得の戦略、負債解消の計画、メンバーのモチベーションとの摩擦を産んだことです。この問題解決のため、まずは透明性を高め判断材料を拡大する必要があると考え、EBM を参考により広い範囲の情報を共有することにしました。そのためには、EMS の場に PO だけでなくスクラムチームから他のチームに知っておいてほしい状況を説明する人が参加することにしました。例えば、そもそも各チームはどのような負債があって、どういう計画を立てており、なぜその解消を行っているのか、を共有することで、他チームがどのような状況にあるのかを知ることができました。また、今後獲得していきたい技術や、メンバーのモチベーションについても共有することで、他チームの状況を知ることにしました。
複数のスクラムチームがどのように連携するか、というのは度々議論されるタフなテーマではないでしょうか。
本発表は、 共通のビジョンに向かって複数のスクラムチームが自律的に協力して行動するためには、どのようなことが必要となるのか、私たちの経験した課題とその解決方法を共有することで、各スクラムチームが連携するためのヒントを提供します。 特定の大規模アジャイルのフレームワークに則った実績の紹介ではなく、発生した課題に対して解決方法を考え実践し検査してきた結果をお伝えします。
私たちの方針は端的にいうと、チーム間の疎結合と自律性を維持しつつ必要な観点でお互いチームの状況を考慮する、というものです。具体的には、各チームが一つのプロダクトゴールに注力できるようにチームトポロジーを考慮してチームを分け、各チームが全体最適の立場からゴールを設定できるようにEBMに基づく情報をチームを跨いで共有し、透明性を高めて各々の納得性を重視してきました。このような対応をしてきた判断理由や背景を共有いたします。
まず私たち内製化組織は、スプリントゴールの改善に焦点をあてプロダクト価値へのコミットを高めてきました。(RSGT2024)。その後、チームの自己組織化が進んだ結果、プロダクトゴールやチーム全体(内製化組織)のあり方に対してメンバーの意識が向かいました。メンバーの意欲も高く、アウトカムを意識して事業価値を高めているという良い状態ではありましたが、実際には課題が存在していることが明らかになりました。
第一の課題は、チームがプロダクトゴールを一つに定めて注力できていないことでした。 理由は、そのチームがプロダクト開発と全チームが利用するプラットフォームの両方を担当していたことです。 そのため、中期間のゴールを設定できず、アドホックな対応を続けるという状況に陥っていました。 これを解決するためチームトポロジーの考えを導入し、そのチームをストリームアラインドとプラットフォームチームに分けました。これによって、プロダクト開発とプラットフォームの開発の境界を明確にし、各チームがプロダクトゴールに注力できるようになりました。(SM がチームトポロジー研修で学んだことを活かした)。
第二の課題は、各スクラムチームが定めたプロダクトゴールが局所最適化していたことです。 各々のチームは自律的にプロダクトゴールを定めコミットできていると認識していましたが、 お互いのゴールが相手チームに及ぼす影響、それによるビジョンへの影響を考慮できていないことが明らかになりました。 他のチームがどんな方針でプロダクトゴールを決めていて、どのような課題に直面しているのかを知らず、 各々が完全に独立してビジョンにコミットしているような状態でした。 この課題解決のためエグゼクティブメタスクラム(EMS)の考えを参考に、PO 同士による定例ミーティングを行うようにしました。
第三の課題は、この POミーティングによる判断が、 各スクラムチームが考えている技術獲得の戦略、負債解消の計画、メンバーのモチベーションとの摩擦を産んだことです。 この問題解決のため、まずは透明性を高め判断材料を拡大する必要があると考え、EBM を参考により広い範囲の情報を共有することにしました。そのためには、EMS の場に PO だけでなくスクラムチームから他のチームに知っておいてほしい状況を説明する人が参加することにしました。例えば、そもそも各チームはどのような負債があって、どういう計画を立てており、なぜその解消を行っているのか、を共有することで、他チームがどのような状況にあるのかを知ることができました。また、今後獲得していきたい技術や、メンバーのモチベーションについても共有することで、他チームの状況を知ることにしました。
この場で透明性を高めることで、各チームが各々の方針を理解して認識している、という状況を形成しました。 例えば、あるチームが負債解消としてフレームワークの改修をしているのは、次の案件を新しい技術で開発することで開発速度を上げ学習サイクルを高めることである、という戦略を共有することで、他チームの方針に対する理解が生まれました。 この前提のうえで、各チームがプロダクトゴールを定めることで、お互いの方針を尊重しつつ、プロダクト価値を最大化するための行動を取ることができるようになりました。
プロダクトゴールはあくまでスクラムチームとして自律的に決めるものとして、 そのための情報共有を事業、技術、メンバーの観点から行うことで、モチベーションを高く保ちながら、プロダクト価値を最大化するための行動を取ることができるようになりました。