Open Brian-0202 opened 4 years ago
https://arxiv.org/pdf/2009.11059.pdf
Authors: Xiang-Cun Meng, Zhan-Wen Han, Philipp Podsiadlowski, Jiao Li Published Date: September 23, 2020 Published in: arXiv
Ia型超新星の伴星の候補を示す論文。Ia型超新星の原理に関してはまだまだ様々な説が考えられており、いまだに解明されていない。その中で有力なもののひとつがsingle degenerateモデル(SDモデル)である。このモデルは連星系(2つの星からなるシステム)において白色矮星が伴星から質量降着を受けてある質量(チャンドラセカール質量)を突破することによって爆発するというものである。そこからもわかる通り、この説の立証にとって伴星の発見は重要なのであるが、いまだに決定的なものが見つかっていないのが現状である。そこでこの論文は数年前に発見されたblue large-amplitude pulsators(BLAP)と呼ばれる新しい種類の天体に注目した。SDモデルのシミュレーションで超新星爆発を経ても伴星が生存するシナリオにおいて、このBLAPを再現することができるというのである。
Ia型超新星のスペクトルの分析等から、超新星の元となった星(以下progenitor)は白色矮星であるという説が現在有力である。しかし白色矮星はそれ自身では安定な天体であるから、もしそれがprogenitorであるのだとしたら別の影響がなければならない。すなわちIa型超新星のprogenitorは白色矮星を含む連星系であると考えられている。
Ia型超新星が起こるメカニズムで現在有力なものは2つあるが、いずれもこの連星系を想定している。1つ目はsingle degenerateモデル(以下SDモデル)で、赤色巨星などの質量の大きい星が白色矮星に質量を受け渡すことによって白色矮星が不安定になり、元素の燃焼が暴走的になって爆発に至るというものである。2つ目はdouble degenerateモデル(以下DDモデル)で、2つの白色矮星が合体することによって爆発が起こるというものである。観測によってこれらを見分けたい場合、最もわかりやすい方法は伴星(連星系のうち白色矮星でない方)の検出であろう。SDモデルの場合は超新星爆発後に伴星は残るが、DDモデルの場合は残らないからである。ところがこの伴星探しがいまだにかなり難航している。
最近銀河系内で新たな星の種類が見つかり、その特徴からblue large-amplitude pulsators(BLAP)と名付けられた。観測からこれらは核でヘリウムの合成が起きていて外側の水素の層が薄い星であることが分かっているが、どのようにしてBLAPが生まれたかについては全くわかっていない。本論文ではSDモデルの一種であるcommon envelope windモデル(以下CEWモデル)に着目し、BLAPがIa型超新星爆発において伴星の役割を果たしていた天体である可能性について検討している。なぜならCEWモデルでは伴星はBLAPと同じように核でヘリウムの合成が起き、水素が剥がされるからだ。
URL
https://arxiv.org/pdf/2009.11059.pdf
基本情報
Authors: Xiang-Cun Meng, Zhan-Wen Han, Philipp Podsiadlowski, Jiao Li Published Date: September 23, 2020 Published in: arXiv
概要
Ia型超新星の伴星の候補を示す論文。Ia型超新星の原理に関してはまだまだ様々な説が考えられており、いまだに解明されていない。その中で有力なもののひとつがsingle degenerateモデル(SDモデル)である。このモデルは連星系(2つの星からなるシステム)において白色矮星が伴星から質量降着を受けてある質量(チャンドラセカール質量)を突破することによって爆発するというものである。そこからもわかる通り、この説の立証にとって伴星の発見は重要なのであるが、いまだに決定的なものが見つかっていないのが現状である。そこでこの論文は数年前に発見されたblue large-amplitude pulsators(BLAP)と呼ばれる新しい種類の天体に注目した。SDモデルのシミュレーションで超新星爆発を経ても伴星が生存するシナリオにおいて、このBLAPを再現することができるというのである。
SDモデルとDDモデル
Ia型超新星のスペクトルの分析等から、超新星の元となった星(以下progenitor)は白色矮星であるという説が現在有力である。しかし白色矮星はそれ自身では安定な天体であるから、もしそれがprogenitorであるのだとしたら別の影響がなければならない。すなわちIa型超新星のprogenitorは白色矮星を含む連星系であると考えられている。
Ia型超新星が起こるメカニズムで現在有力なものは2つあるが、いずれもこの連星系を想定している。1つ目はsingle degenerateモデル(以下SDモデル)で、赤色巨星などの質量の大きい星が白色矮星に質量を受け渡すことによって白色矮星が不安定になり、元素の燃焼が暴走的になって爆発に至るというものである。2つ目はdouble degenerateモデル(以下DDモデル)で、2つの白色矮星が合体することによって爆発が起こるというものである。観測によってこれらを見分けたい場合、最もわかりやすい方法は伴星(連星系のうち白色矮星でない方)の検出であろう。SDモデルの場合は超新星爆発後に伴星は残るが、DDモデルの場合は残らないからである。ところがこの伴星探しがいまだにかなり難航している。
BLAP
最近銀河系内で新たな星の種類が見つかり、その特徴からblue large-amplitude pulsators(BLAP)と名付けられた。観測からこれらは核でヘリウムの合成が起きていて外側の水素の層が薄い星であることが分かっているが、どのようにしてBLAPが生まれたかについては全くわかっていない。本論文ではSDモデルの一種であるcommon envelope windモデル(以下CEWモデル)に着目し、BLAPがIa型超新星爆発において伴星の役割を果たしていた天体である可能性について検討している。なぜならCEWモデルでは伴星はBLAPと同じように核でヘリウムの合成が起き、水素が剥がされるからだ。