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Integrated Geospatial Information Framework 批評 #66

Open hfu opened 6 years ago

hfu commented 6 years ago

Integrated Geospatial Information Framework (E/C.20/2018/16/Add.1) の批評を試みる。まともにコンサルテーションを受けていない以上、事後にはなろうがこのような形の批評は許されるはずだ。また、共通の目的を達成するための建設的な批評の試みである。

ユーザ観点・プロダクト観点の欠如

p. 10 の Figure 2 にフレームワークの全容がある。このうち、VISION と MISSION について。

VISION

持続可能な開発を計測し、モニタし、達成するための地理空間情報の効果的な利用をビジョンとしている。これは、広すぎるし、狭すぎる。そもそも地理空間情報当局その他この世界のプレイヤーの権限を逸脱したことを言っているという点では広すぎる。また、地理空間情報の用途を計測やモニタに限定しているという点では狭すぎる。

地理空間情報の提供者は、その設計においては目指す利用についてしっかりと追い詰めるべきであるが、実際の利用の観点においては、利用目的を限定的に見てはならない。地理空間情報を利用いただくあらゆるユーザに届ける、個別の価値をできるだけ高めていくことが地理空間情報の提供者のビジョンであるべきで、地理空間情報提供の価値向上をそこのけにして、持続可能な開発に直結し、しかも計測・モニタに勝手に仕事を矮小化するのは、遠くの一点を睨んで、まったく足元を見ないビジョンであると思う。

MISSION

can be で緩和はしているが、経済社会環境開発への持続可能な解決策を見つけるため、ということに地理空間情報の用途を矮小化しているのは、無益である。地理空間情報は、地理空間情報のあらゆる利用者の目的を満たすためにある。この目的を果たすため、ユーザ指向・プロダクト指向で徹底的にものを考えていくことが重要である。

持続可能な開発に貢献したいという意思はいうまでもなく立派なことである。しかし、貢献したいとすれば、地理空間情報の人間が勝手に考えるのではなく、その分野の専門家のニーズを能動的に把握して、それに応える製品を作ることが重要であり、地理空間情報分野内部でリーダーシップやコーディネーションやスタンダードを高めたとて、持続可能な開発への貢献は限定的であろう。

まとめ

「地理空間情報が唯我独尊であるかのような表現を捨て、ユーザ指向・プロダクト指向に転換せよ」ということが、私がこのフレームワークから得た結論であると思う。

実際、こういった唯我独尊的なフレームワークを展開してから、サブスタンティブ分野に行ったのでは遅すぎるし、サブスタンティブ分野の現場での実際のニーズを把握するのに、このフレームワークは役に立たない気がする。

外向的に見えてあまりにも内向的すぎる、それが「唯我独尊」という印象を与える。あるいは、主語がない、僭称している、という印象を与える。

Framework の残りの細部は、単に支離滅裂あるいはつぎはぎであるというだけである。

hfu commented 6 years ago

political level と policyt level の間のコミュニケーションギャップがなんども取りざたされているが、このギャップを解消した場合にも劇的な解決はない、むしろ、ポリシー側のポリシーの欠如が露わになるだけである、という教訓をすでに得ている我々にとっては、これは本質的な問題ではない。取り組み得る問題であるが、本質的な問題ではないのである。

偉い人にさえ話せば分かってもらえ、幸せになる、という妄想は捨てたほうが良い。会えたとて、あなたは何を話して何を取りに行くのか、それが明確になっていなければ時間の無駄でご迷惑をおかけするだけである。逆に、話すべき一言を持っているのであれば、その一言だけを持って会いにいけば良い。その一言の外に理論は必要ない。

hfu commented 6 years ago

テクノロジーレビューと書いているが、テクノロジーはレビューすれば解決するような生易しいものではない。というより、technology is the easy part、というセリフを出すために必死でテクノロジーの手当てをするのがプレフェッショナルの領分である。そして、UN-GGIM や世界銀行はプロフェッショナルの集団である。