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2020.6.14 素朴な問題を深く考える:意思決定の科学 #41

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第39回:2020年6月14日(日)14:00~15:30 素朴な問題を深く考える:意思決定の科学 講師:服部泰宏准教授(MBAコア科目 Individuals and Groups担当)

本セミナーでは、経営学の一大トピックである意思決定(decision making)を取り上げたいと思います。最適な決定をするための条件とは何か、それは実際に可能か、決定に際して選択肢が多い/少ないとどういうことが起こるか・・・ そういった素朴な問題について考えることを通じて、MBAの講義の雰囲気を感じてもらうとともに、「アカデミックに考える」ということを疑似体験してもらいたいと思っています。

当日のプログラムは以下です。

14:00-14:05 挨拶、概要説明 14:05-15:05 講演(服部准教授) 15:05-15:30 質疑応答、アンケート、その他

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<例> 情報:今日は大雨だ 意思決定:学校へ行こう 行動:駅に向かう

意思決定って何をしているのか

(1)問題となる状況の認識    →「できることなら自分が学びたい分野で、最も良質の教育をしている大学に行きたい」 (2)問題解決のための選択肢の考案    →インターネット、広告、雑誌などを駆使して、できるだけ多くの大学の情報を集めリストを作る (3)選択肢のなかから特定の案を選択    →全てを受験することができないから、複数の中から自分がエントリーするところを選ぶ

意思決定は妥協の産物

何を決めるにしても、理想的には複数の選択肢の中から目標の達成にとって最適なものを選びたい (例:全ての大学の中でもっとも自分に適していて、就職率が高く、楽しいキャンパスライフを送ることができる大学だけにエントリーしたい)

<完全な意思決定を行うための条件> ①問題がはっきりしていること  →なんのために学校にいくのか ②選好がはっきりしていること  →優先順位がはっきりしていること(資格、仲間、地域) ③その選好が一定であること ④選択肢が全てわかっていること  →ハードルが高い ⑤時間や費用の制約がないこと  →いろいろありそう

完全な意思決定は難しいのではないか

命題1:私たちが人生において行う多くの決定は、「最適」とは程遠いものである

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選択肢の多さには、良い面も悪い面もある

私たちは直感的には「選択肢は大いに越したことはない」と思ってしまう

命題2:選択肢の多さが私たちにとってマイナスになることがある

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「真面目」な人がはまる、キャリア意思決定のトラップ

命題2:選択肢の多さが私たちにとってマイナスになることがある →あらゆる選択肢を考えるのも悪くはないが、それよりも(親からであっても、他人からであっても)自分達に与えられた選択肢の中で、(実際には難しくても)最適な選択をしようと努力すること

命題1:私たちが人生において行う多くの決定は、「最適」とは程遠いものである →何かを選ぶ時点で「最適」にならないからこそ、それを選んだあとで・・・(書ききれなかった)

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もうひとつ、集団の中の意思決定について

集団圧力 個人としては正しい判断ができていたはずなのに、集団の多数意見に負けて正しい判断ができなくなること 見ず知らずの人同士ですら、そうした傾向がある

経営学の挑戦

GTD(getting things done)

<経営学で学ぶこと> (1)オーソリティ(権威) (2)メンバー同士のコミュニケーション (3)意思決定基準の事前確定 (4)組織への忠誠、同一化 (5)育成、メンバーの成熟

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Q&A

Q:本日のご講演に関して読むべき文献を、どこかでご紹介いただけますと幸いです。 A:意思決定のバイアスなど、行動経済学の文献に乗っている   宮川先生の本などは入門がある

Q:服部先生は様々な興味深いテーマを研究されていますが、研究テーマはどのように発見されているのでしょうか。 A:コアなものを持ちながら、そこからピボットする感じで考えている

Q:例えば就職活動や転職活動で、複数社から内定がでており、企業選びの軸とも照合してどこも合っている。 最後は何で決めるといいのでしょうか。 A:サイモン的状況でいうと、いずれも満たしているから難しいですね。   軸ごとにプライオリティがあると思う。   研究者の中で点数化して決めることもある、定量的になる

Q:ジャム売りの実験のように、実験を通して新たな知見を生み出す方法を学ぶ機会は、MBAのコースワークの中にありますか?また、入学前に身につけておくべき研究法のKSAOはありますでしょうか。 A:平日の昼にある大学院のコースワークにありそう(MBAではない)   MBAはオーソドックスに使っていけるものが多い   実験やシミュレーションは他のコースでみてもらう感じになる    KSAO: 人材アセスメントを行う際に、その職務に要求される能力要素として設定されるもので、能力測定や能力開発に活用される。知識(Knowledge )、技能(Skills )、能力(Aptitudes , Abilities)、その他の特徴(Other Characteristics )の頭文字をとったもの。近年、コンピテンシーが流行しはじめてからはコンピテンシーより細かな概念と位置づけられているようだが、その分析方法や評価方法はコンピテンシーの中でも活用されている。    Q:アッシュの実験では、被験者とサクラの年齢や(見た目などから判断されるような)地位などは統制されていたのでしょうか? 実際の職場では、関係性に影響されるような部分も大きいと思いますので。 A:当時はまだ統計が進んでいない時代だったので厳密な統制はできていなかったように思う   サンプリングバイアスはあると思うけれど、あの時代なりの統制はとっていたと思う

Q:困難な意思決定のポイントは、直感的で人とのご縁でした。正しく決定することも大事ですが、VUCAの時代には決定した意思を信じることも大事だと思います。このあたりは、経営学的にはどのように考えられているのでしょうか? A:ほおっておくとカオスになるので、しっかりやっていきましょう。   これが正しいんだということも大事   直感的なものやフィーリングも大切と言われているけれど、科学的にまだ進んでいない

Q:中小企業の人事をしております。「意思決定の能力を提供する」というような話がありましたが、経営者に意思決定の能力を提供する手段としては、どういった方策があるでしょうか? A:意思決定をするためには何をすべきか、目標目的はなんでしょう

Q:状況に応じて変わるとは思いますが、選択肢がいくつぐらいあると多いと言えるのでしょうか。その基準・指標などはあるのでしょうか。 A:大事なのは数ではなく、わたしたちにとって、基準にとって比較、精査できるものであるか、比較できる数であるか

Q:意思決定という文脈では「直観」をどのように取り扱っているかをお聞かせいただけませんでしょうか。本日のお話は、どちらかというと論理的に結論を導く議論であるように理解しました。 A:王道の研究ではそうだけれど、最近は直感、フィーリングが注目されてくるように感じました  

Q:服部先生の研究テーマである採用学に関連して質問です。今年就職活動を始めるのですが,企業がとりたい人材,入社後に優れた成績を残す人材の特徴を教えていただきたいです。 A:このファクターがあれば活躍するというのがジェネラルにある単純な話ではない。   個人が何を持っていればいいというのではない。ジェネラルでは大事だけど、個社との適合性だとおもう

Q:集団の中の意思決定は、会社の役員会などでも同様なんですかね?選択肢の最適な数は研究でどれぐらいが最適とかありますか? A:偉い人の決定、集団圧力はある

Q:服部先生は採用学をはじめ、多彩な研究をされていると思いますが、主たるディシプリンは今日紹介された心理学になるのでしょうか。また経済学や社会学も解こうとする問題に応じて使われているのでしょうか。 A:組織行動やHRは種としているのはサイコロジー   考え方のは経済学をメインに分析している   社会学は問題の原因や人間にある場合は利用したり、折衷的

Q:神戸大学MBAを卒業された方々の論文を読みたい場合、どのようなアクセス方法が御座いますでしょうか? A:HPに論文がある

Q:復習のために本日のスライドのデータをPDFでいただきたいのですが、可能でしょうか? A:チャットのファイル送信で

Q:完全な意思決定の条件の①に関わりますが、意思決定において「問題をはっきりさせる」ということがまず重要(そもそも問題設定をミスするとどんな選好や打ち手を考えても「問題」は解決しないため)かと思います。この問題設定に関する研究、フレームワークや研究知見などはございますでしょうか。 A:意思決定の入門テキストを読んでもらうと良い   意思決定がメインになるものはあまりない   ここをフレームワークとして学問的に研究するというのは難しく、それ以降を研究していく方が多い

Q:講義の中で「最適」という語句が出てきましたが、この講義で用いられた「最適」の定義を教えて頂ければ有難く、よろしくお願いいたします。例えば、判断時では「最適」だったが、その後の環境変化により「最適」でなくなることもあると思うのですが、いかがでしょうか? A:客観的にみたときにその人が満足したりハッピーになったり

Q:経営学の、特にODやHRMの研究は、心理学の理論を援用することが多い、ということかと思いますが、経営学独自の理論をつくる、というような動きはありますか? A:もちろん   数は多くないし、まだ自分で作ってはないけれど

Q:本を読む、ことと他の学びの機会を取りに行く意思決定の相関、これを集団でかかわりあいながら高めたいと思っています。こういうことの実現には組織への同一化と個の成熟の一致がすごくヒントかなと思いましたが、先生はいかがでしょうか。 A:学びにいくというのは個人主義的で良いと思う

Q:意思決定についてですが,将来,上司がAIになれば意思決定はヒトと比べて正確な意思決定ができるのでしょうか? そのような研究はなされていますか? A:そういう研究は始まっているとは思う   今まで採用してきた中で正解があって、そういう人を再度採用していくという点においてはでいそうだけど、新しい才能の人を採用していくには直感も必要。並存。

  

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