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Emotional contagion in organizational life #151

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0. 論文タイトル・URL

Emotional contagion in organizational life https://www.semanticscholar.org/paper/Emotional-contagion-in-organizational-life-Barsade-Coutifaris/b928b5747e6097a3bba3c3cbc3d054f37d890d3c

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2018年、ペンシルベニア大学の研究で組織における情動感染に関するレビューになります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

今回は情動感染に関する研究になります。今回は初回なので詳細に。

情動感染とは、 ・「ある人から別の人へ気分や感情が移ること」 ・「ある人や集団が、意識的または無意識的に感情状態や行動態度を誘発することで、他の人や集団の感情や行動に影響を与えるプロセス」 と定義されています。また、人々がどう感じるかだけでなく、その後に何を考え、何をするかにも影響を与える社会的影響力の一種である、ともされていまして影響力の大きい心理効果のひとつでもあります。

特徴としては、 ・自動的・無意識的なレベルで発生する情感染は、情動感染を受けた人が、その原因を情動感染によるものだと認識していない ・情動感染を受けた後の行動に影響を与えていることを認識できない

具体的な例を挙げれば、 ・友人が悲しそうなのを見ると、自分も悲しくなる

・組織における研究では、チームメンバーが自分と共通の目標を持っている時には、チームメンバーの幸せな気分を支援のしるし(支援してくれている)と感じるが、チームメンバーが個人の目標を追求しているときには、自分にとって脅威と感じる。 →チームメンバーが個人プレーを始めだすと、そのメンバーのことを脅威に感じる

電車の中で、会社に行くのめんどくさいなあ、仕事行きたくないな~みたいな雰囲気のひとが近くにいると、(自分はそう思っていないかったのに)その気分が伝染する

リーダーが自分のポジティブな気分をフォロワーに伝えることで、フォロワーの気分状態も誘導できる。ポジティブな気分をフォロワーに伝えるリーダーは、グループの協調性にポジティブな影響を与え、ネガティブな気分をフォロワーに伝えるリーダーは、グループの努力を減少させる

フード/コーヒーサービスにおける従業員の接客を対象としたフィールド調査では、従業員の笑顔による感情伝染がサービスの品質評価に影響を与える

視覚情報でも感染はするが、言語情報の方がより感染力は大きい

などが挙げられます。

◆原因・理由/情動感染が起きるプロセス 理由としてはいくつかありますが、 ・ミラーニューロン(目にした行為をあたかも自身のものであるかのように「共鳴する」運動神経細胞)が反応するから ・行動模倣 ・感情の共感 などで説明されます。

◆個人差について とはいえ情動感染の反応にはもちろん個人差もありまして (a)他者への気配りと他者の感情表現を読み取る能力 (b)自分は独立した独自の存在ではなく、他者に相互に依存していると認識していること (c)他者の顔、声、姿勢の表現を頻繁に模倣すること (d)社会的な手がかりやフィードバックに強く影響される意識的な感情体験があるか など、みんながみんな同じように反応するわけではありません。男性よりも女性の方が情動感染を受けやすく、感受性が高い人も影響を受けやすい。また、セルフモニタリングの特性が高い人は、ポジティブおよびネガティブな感情の伝染に大きな影響を受けやすいこともわかっています。

◆情動感染の影響が大きい職場 情動感染の影響が大きい職場としてあげられるのは医療関係者や看護師です。特に患者の感情をそのまま受けてしまったり、感情移入してしまう看護師は、 ・コミュニケーションの低下 ・感情的疲労の増加 ・燃え尽き症候群と正の相関 などがあったりするので、看護師の学校ではそういった対策のための授業もあると聞いたことがありますね。

もちろん医療現場だけでなく、一般的な企業でもありまして ・顧客の感情をキャッチしやすい営業担当者が最も感情的疲労に陥りやすい ・顧客に最高のサービスを提供しようとすることは大切だと考える気持ちが大きい人ほど、感情的疲労を緩和した。 ・親しいメンバーから無意識的な不安が伝染すると、意思決定においてもネガティブな認知や判断を行いやすくなる

といった感じなのだそう。

6. 結論・まとめ

本研究では最終的には組織における情動感染のプロセスをモデル化しているのですが、ざっくりまとめると ①メンバーが感情、気分、または特徴的な感情を表現する

感情伝染のプロセスを動かす感情刺激(通常は人または人のグループ・イベントや外部刺激)があり、その感情刺激が他の個人、グループ、組織、および社会の感情や気分に影響を与える。具体的には ・チームへのコミットメント ・顧客への態度 ・燃え尽き症候群 ・リスク認知 ・リーダーの態度やフォロワーの態度 などがある。

個人差(受け手と送り手の特性など)や、構造的・文脈的要因があり、意思決定や個人のパフォーマンスにも影響を与えている。具体的には、 ・コミュニケーション反応 ・顧客サービスへの評価 ・感情努力 ・グループ対立 ・グループの協調性 ・組織における他者支援行動 ・タスクパフォーマンス などがある。

7. どんな使い方ができる?

という訳で情動感染について初回、いかがでしたでしょうか。 とりわけ今の感染症の世の中においては、情動感染の影響もかなり大きいですよね。 自分が与える感情情報が、相手の感情に対しても影響を与えている、ということを意識するだけでも 人と接する時の態度や感情はもう少し繊細に扱わないといけないなあと、改めて思いました。。。