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Emotional versus cognitive rumination: are they differentially affecting long-term psychological health? The impact of stressors and personality in dental students #154

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0. 論文タイトル・URL

Emotional versus cognitive rumination: are they differentially affecting long-term psychological health? The impact of stressors and personality in dental students https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25100273/

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2014年にアーヘン工科大学が感情的反芻と認知的反芻の違いについて調べた研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

反芻思考とは、「自分の感情や苦痛の原因、意味、結果について繰り返し思い悩むネガティブな思考スタイル」のことで 反芻思考というと「よくないもの」「反芻思考は止めた方がいい」というように言われてきました。

これまで扱ってきた研究でも ・反芻思考を止めるには自分の思考に気づくトレーニングをしよう!社会不安を抱えている人はネガティブな自己認知を形成しやすく、反芻も行いやすいのでマインドフルネスやセルフコンパッションが大事! みたいな話もしてきましたが、いずれも反芻思考は自分の内側で生まれるネガティブな思考の習慣なので自分で止めるしかない、という結論がほとんどでした。

しかし、本研究では少し違った視点がありまして、まず反芻思考には2種類あるぞ!というのだから驚き。 そも反芻思考は ・感情型反芻思考(Affective Rumination):心の中でストレス要因が繰り返し表現され、ストレスとなる出来事が自分の思考や感情の中で継続されること ・問題解決型反芻思考(problem-solving pondering):特定の仕事関連の問題に対する解決策について感情を伴わずに長時間考えること に区別することができて、私たちが一般的に考える反芻思考というのは感情型反芻思考で、ネガティブな出来事やストレス、不安などに対して考えを堂々巡りしてしまうことでした。

それに対して問題解決型反芻思考というのは、繰り返し考えてしまう性質自体は変わらないけれど、繰り返される思考が感情にフォーカスしているのではなく、問題解決に焦点が当たっているタイプの反芻思考なんだそうな。 先行研究でも、問題解決型反芻は負の感情による持続的な覚醒がほとんどないため、全体として健康への悪影響が少ないこともわかっていまして、感情的な反芻でなければ反芻思考をしても比較的大丈夫かも、という希望も見えつつあります。

とはいえ、他の研究やレビューによると、 ・「心理的ストレッサーの慢性的な活性化」という点においては、どちらの反芻思考も健康に悪影響を及ぼす可能性はある ・問題解決型反芻が、ポジティブな結果になったり(回復につながる)、ネガティブな結果(反芻によるメンタルへの悪影響)になる両方の結果が確認されている とも言われていまして、一貫した結果は出ていないのだそう。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、 ・仕事のストレス要因が、2つの反芻思考によって心理的健康状態にどのような影響を及ぼすのか ・パーソナリティ特性(神経症傾向と誠実性/勤勉性)が、仕事のストレスや2種類の反芻思考とどう関係しているのか を調べました。

4. 方法

119名の参加者のデータを対象に ・ワークストレスの測定(Dental Environmental Stress Questionnaire (DES) ・仕事に関係する反芻思考尺度(Work-Related Rumination Questionnaire (WRRQ)) 感情的反芻の質問としては、 「仕事をしていない時に仕事のことで悩むことがある」「暇な時に仕事のことを考えると緊張する」など。 問題解決型反芻の質問としては 「暇な時に仕事の問題の解決策を考える」「仕事が終わった後に自分の成果をどうすればいいか考える」など。 ・性格特性(Big-five inventory(Rammstedt & John, 2005)短縮版) ※神経症傾向と誠実性のみについて回答 これらについて回答してもらいました。

5. 結果

その結果何がわかったかといいますと、 ・仕事上のストレス要因は、感情面(情動を伴う)および認知面(問題志向)の両方で反芻的思考と明確に関連していた

しかし「うつ傾向」に悪影響を及ぼしたのは、感情型反芻思考だけだった

・感情型反芻思考は6ケ月後のうつと正の関係がある

神経症傾向が低い参加者(メンタルが安定している参加者)では仕事のストレスが増えると感情型反芻思考が増加した(普通の反応)が、神経症傾向が高い参加者は仕事のストレスの高低に関わらず高いレベルの感情型反芻を報告した

神経症傾向は感情型反芻を緩和する効果がある

一方、誠実性は問題解決型反芻との関係を緩和しなかった。つまり誠実性の高低によって反芻思考には影響を与えない

6. 結論・まとめ

ということで、先行研究で見られていた問題解決型反芻の悪影響は見られず、感情型反芻思考は半年後のうつの予測につながりました。 つまりまとめると、 ・仕事でストレスがあれば、問題解決型反芻も感情型反芻も自然と増えるので、そこは諦めるしかない

だが、問題解決型反芻思考であれば、反芻思考をしてもメンタルに問題はない! (ちなみに仕事量の増加に伴い、問題解決型反芻も増加したが、これは適応的な反応であり実際に問題を解決した後にはリラックス状態に移行できる可能性が高い)

神経症傾向が高い場合はデフォルトで反芻しやすいので、神経症傾向が高い人は注意

こんな感じでした。

7. どんな使い方ができる?

ちなみに人間の反芻思考はどうあがいても自然発生するものだから避けられんって話は最近の研究でも言われていた話なので、 せめて自分の反芻思考がどちらのタイプなのか気づけるだけでもかなり大きいかと。

以前の研究では、「反芻していることに気づこう!」って話をしていましたが、 ここに「今自分がしているのはどちらの反芻だろうか?」という要素を加えることで、 反芻思考の内容の解像度があがったり、「気づいて逸らす」ことや「反芻思考の受容」 みたいなこともできそう。これがどのくらい使えそうなのか試してみたいところですなー。それでは。