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Employee Recruitment and Its Relationship with Employee Satisfaction: Verifying the Mediating Role of the Employer Brand #167

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0. 論文タイトル・URL

Employee Recruitment and Its Relationship with Employee Satisfaction: Verifying the Mediating Role of the Employer Brand https://www.researchgate.net/publication/327325403_Employee_Recruitment_and_Its_Relationship_with_Employee_Satisfaction_Verifying_the_Mediating_Role_of_the_Employer_Brand

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2018年にセルビアのクラグイェヴァツ大学が行った企業のブランドが採用活動や従業員に与える影響について調べた研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

今回は久々にHR、人材や組織に関する研究から。

世界的に人材不足の傾向が続いていまして、現在多くの企業が人材の募集に力を入れております。 募集ポジションが埋まらない原因としては、 ・応募者が少ない ・応募者の経験不足 ・提示している条件の人材とマッチしない ・企業は主に労働力が安定して見込めるフルタイムの正社員を求める傾向が強く、需要と供給のアンバランスが発生している ・日本の場合は少子高齢化によって、働き手が減少している傾向にある ことが多いとされています。 現在は人材の誘致、育成、定着のための活動は、規模に対して集められる人数が減少するフェーズにあり、 実際のところ、さらなる努力をしても募集ポジションへの応募者数の増加にはつながらない、と言われているんだそうな。 (まあ多少は増えるかもしれませんが、その増加が採用の質に与える影響は、以前よりも小さくなっているということみたい。)

人材や知的資本、タレントが組織の戦略的成功の重要な要因でありつつも、既存の仕組みでは期待通りの結果が得られないという事実に直面し、人事や企業のリーダーは、人材の誘致と維持にプラスの影響を与える他の要因の特定に積極的に取り組んでいるという現状があります。

例えば、これまでには物質的な動機付けである「福利厚生」や「高い給料」は、人材を惹きつけるのに有効でしたが、いまはそうではなくなりつつあり、 その反対に、従業員満足度・企業のブランド、内発的動機付け、ワークライフバランスなどの無形の要因の価値が高まってきています。

もちろん福利厚生や給料は重要なのですが、いくら報酬が高くて、福利厚生がよかったとしても、ぎすぎすしたメンバー、絶対に出社しなければならない環境、上から言われたことだけをこなす毎日の日々などは、これからの若い世代にとっては求めている環境ではなくなってきているため、それだけでは採用や入社の決め手にはなりえないということです。

個人と組織の関係を一致させること(POフィット)が個人が組織に入ったのちに、その組織にとどまる確率を高めると言われており、この適合性の認識は、入社の意思決定の予測因子であり、組織で働く間の個人の行動を方向付け、組織を去るかどうかの意思決定にも影響を与えることがわかっているのだそう。

とはいえ、何がPOフィットになりうるかは、組織や個人によっても異なるため、できるだけ多くの個人にPOフィットする条件・要因を模索する必要があります。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、以下3点を目的としていまして、

→インターネットサイトやSNSを通じた採用は、仕事内容、労働条件、組織文化、必要な資格、知識、経験の交換などに関する様々な情報を候補者に提供することが多い。質を重視した選考プロセスは、従業員の定着率、組織コミットメント、生産性の向上に好影響を与えることがわかっている。

しかし、企業が重要な情報を隠そうとする「ブラインド広告」戦略は、従業員が自分に期待されていることをよく知らず、仕事を受け入れなかったり、すぐに離職したりして、効果的でないことが知られている。

採用プロセスにおいて、従業員が自分に何を期待されているか、また、会社から何を期待できるかについて、関連するすべての情報が提供されると、職場における期待の膨張はなく、仕事の要求を満たすことが容易になり、欠勤率が低下し、会社に対する従業員の信頼と、仕事の満足度が高まる。従業員が満足した結果、業績の向上、効率化、対人関係の改善、変動率の低下、欠勤率の低下などが考えられるため、採用プロセスが従業員満足度に影響を与えるかどうかを目的とした。

→会社のブランドを形成することは、そこで働く人の機能的、経済的、心理的な利益になり、 the “preferred place to work in”=「働く場所として好ましい場所」というイメージを構築するプロセスが会社のブランドをつくるメリットである。ユニークなアイデンティティを構築するプロセスとして、ブランドは、その企業を他とは異なるものにしている企業のコンセプトである(Backhaus & Tikoo, 2004, 502)。つまり、生活と仕事のバランスが取れている、刺激的な報酬がある、質の高い製品やサービスを提供している、やりがいのある仕事である、昇進できる、社会的な貢献ができることがあれば、その企業は魅力的な職場、働きやすい職場となる。

だそうで、企業が離職の防止や従業員のコミットメント、モチベーションを高めたいと思うのであれば、ブランディングは必須でやった方がいいですよ!ってことみたい。 まあ実際のところ「ディズニーで働いてる」とか「Googleで働いてる」とか「スタバで働いてる」人と、無名で誰にも知られていない会社で働いている人の会社への意識を比べたら、会社へのコミット率も変わってきそうなものですなぁ。。。"この企業"で働いているという意識が、従業員の満足度に影響を与える可能性は小さくなさそう。

→これは上2点を合せたもので、ブランディングが採用にも影響を与えて、候補者の意思決定にも影響を与えるかどうかってことですな。それだけでなく、ブランディングによってその企業独自の採用プロセスなんかも生まれる可能性もあるので、ブランディングが採用や従業員満足度にも影響を与えるのではないか?ってことですな。

これらを明らかにすることを目的としております。

4. 方法

180社の企業を対象に、経営者と従業員が、従業員の採用プロセス、企業のブランドの強さ、満足度について評価しました。 ・5項目は従業員の採用について (会社は、優秀な人材を惹きつけるために、さまざまな戦略を用いているか、 会社は、創造的思考力を持つ人材を引き入れようとしているか、など。) ・10項目は企業のブランドについて測定 └私にとって、勤めている会社は雇用主として魅力的である、とか └自分周り人は、私が働いている会社を働きやすい職場だと思っているなど ・独立変数である従業員満足度は10項目で測定 従業員数250人以上の企業が最も多く(44.4%)、次いで50〜250人の企業(35%)となっています(10名程度の小規模の企業ではブランドを確立するのが難しいという判断)。

5. 結果

採用のプロセスとブランドの関係の強さには相関があった(R2=0.509)

採用活動と従業員満足度の相互依存性が認められ、R2の値は前のモデルよりもやや悪い値を示していた(R2=0.460)

企業のブランドは従業員満足度に中程度の相関が見られた(R2 = 0.577)

企業のブランドは、採用活動と従業員満足度の媒介要因となっていた(R2 = 0.615)

6. 結論・まとめ

個人的にはアンケートの質問紙が少し雑に感じましたねー。なんでも従業員満足度以外はろくに先行研究にある尺度や妥当性のある尺度を使用していなかったもので、精度としては少々低めかもしれませんなーというのが正直なところ。

研究者のコメントとしては、

採用」と「ブランド」の変数は、従業員満足度にプラスの影響を与えることができ、それは、会社が魅力的な職場であるというイメージを作るための重要な前提条件である。このことは、新しい人材を組織に引き寄せる可能性を高め、労働市場における現在の人材とスキルの不足という問題を解決する可能性がある。

とのことでした。また、「ブランドへの投資が、従業員の採用に含まれる、事前の選択基準に対する個人の同意の度合いを高めたり、個人の企業に対する同一性の度合いを高めることを説明するものである」 とも述べておりまして、見解としては、

ブランディングに力を入れることは、結果的に外部に向けた採用活動にもメリットはあるし、 会社のブランドを確立することは、中で働く従業員に対しても、「この会社で働いていることを誇りに思う」という意識形成にもつながるのでいいんじゃね?

みたいな結論になるかと。

7. どんな使い方ができる?

ということで、研究の精度はまあまあでしたが、企業がブランディングに力を入れることは、採用にも従業員にもメリットが大きそうなので、ブランディングに力を入れることは大事なんだなーと思いました。 確かに、名前があまり知られていない会社で働いている知人は仕事をやめたいと話していましたし、 例えばカフェの業界でも、ドトールは価格、スタバは空間を提供しているとわかりますが、 某漢字表記のカフェが、他の漢字表記のカフェとどう異なっているか、と聞かれたら答えられない方も多いのではないでしょうか。 つまり飲食店やアパレル、銀行、病院、IT業界などなど、様々な業界において、

他の同業他社との違いがわからないこと、 ・コンセプトがわからないことは致命的 と言っても過言ではない、ということですなー。耳の痛いお話でございましたが、 ブランディングに取り組んでいない企業様はこの機会にぜひとも、といった感じですね~。ではでは。