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The importance of being resilient: Psychological well-being, job autonomy, and self-esteem of organization managers #177

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0. 論文タイトル・URL

The importance of being resilient: Psychological well-being, job autonomy, and self-esteem of organization managers https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886919306713

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2018年に、コロラド大学のDonald G. Gardnerが自律性、自尊心、レジリエンスが主観的幸福に与える影響について調べた研究です。

2. (先行研究とこれまでの問題)

働く人が職場でいきいきと働けるためには様々な要素がありますが、その1つが自尊心です。 自尊心は個人的な要因だけでなく、周囲との関係性によってつくられるものでもありまして、 ・周りからいじめられていたり、 ・お前は仕事ができないやつだと言われたり、 ・勉強ができないやつだと言われ続けたり、 周囲の人からそのような評価を受ければ、当然のことながら自尊心は低下していきます。

ゆえに、組織・企業も自尊心が形成される場としてなりえるわけです。 そのような企業・組織における自尊心のことを、OBSE:Organization-based self-esteemと言いまして、 OBESは従業員の組織に対するエンゲージメントやパフォーマンス、幸福度とも関連していることがわかっています。

では、どんな人はOBSEが高いのか、という疑問が浮かぶわけです。 研究者は「レジリエンスが高い人である!」と述べてりまして、 「人生における問題の解決や回復に日常的に成功している人(=レジリエンスが高い人)は、日常的に成功を経験し、自尊心の構成要素である有能感を感じられるようになる。つまり、レジリエンスは成功体験を増やし、それが自尊心につながるのです。」 ということなのだそうな。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、 ・自律性が高まる→レジリエンスを媒介として→OBSEが向上する という仮説をもとに研究を行いました。

4. 方法

674名の参加者を対象に、 ・自律性 ・OBSE (組織ベース型自尊心(OBSE:組織の中で自分自身が有能で重要な価値ある一員であると信じる度合い) ・レジリエンス ・主観的幸福感 を測定したところ、次のようなことがわかった。

5. 結果

・自律性、OBSE、レジリエンスはすべて、主観的幸福感と有意な相関があった(p < 0.01)

・レジリエンスは自律性、OBSEと有意な相関があった(p < 0.05)

・レジリエンスの高い参加者において自律性は、自律性とOBSEの関係を強めることも弱めることもなかった。 レジリエンスが高い人は、自律性が高くても低くても、OBSEの大きさに変化はほとんどなかった (レジリエンス高×自律性高=6.47, レジリエンス高×自律性低=6.23)

・しかし、レジリエンスが低い人は、自律性が高いとOBSEも高かった。 このことから自律性を発揮することでレジリエンスが低くても高いOBSEを維持することでできる。 (レジリエンス低×自律性低=4.57, レジリエンス低×自律性高=6.09) スクリーンショット (106)

6. 結論・まとめ

レジリエンスも自律性も高いに越したことはありませんが、多くの人がレジリエンスが高いわけではありません(鍛えることはできるけど)。それよりも自律的に行動するだけでも、OBSEは高められるとのこと。 つまり、 主体的に行動する>自信が持てるようになったり、仕事でチャンスが生まれたりする>主体的に行動しているのでポジティブな感情になり>それが成功体験になったりしてOBSEが向上(自律的に行動しているだけでもOBSEは向上)>結果として主観的幸福やエンゲージメントが向上 という流れになるっぽいですね。 研究者も、レジリエンスか自律性のどちらかが高ければ良いとコメントしているので 自律的・主体的に行動する方が、自尊心を高めながら、より新しい環境にも適応しやすいのではないでしょうか