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Do Nice Guys—and Gals—Really Finish Last? The Joint Effects of Sex and Agreeableness on Income http://ww.timothy-judge.com/documents/Doniceguysandgalsreallyfinishlast.pdf
2012年にノートルダム大学が行った協調性と収入に関する研究です。
これまでの研究でも収入と協調性に関する研究は行われてきておりまして、多くの研究で 協調性が高い人は収入が低いということが示されております。 この事実だけ聞くと意外なもので、協調性の高い人は周りとうまくやっていくことが上手なので、 収入も高くなりやすいのでは？と感じます。 しかし、実際のところはそうではありません。 協調性が高いからこそ、議論で余計な発言をしなかったり、周りのために自己犠牲的な行動が多かったり、 挑戦的な行動を好まない場合もあります。 そうした点から協調性が低い人に比べて昇給の機会が少ないことも言われております。
しかし、これまでの研究では、 ・仕事や職業の特性をコントロールしていない ・そもそも女性の就ける仕事の収入が低い ・協調性の高い男性の方が、名声のある仕事を追求しにくいからではないか？ などの影響を調査されていなかったので、こうした点を考慮した研究が行われました。
研究は全部で4つ行われていますが、ざっくりまとめると、 ・性別と協調性が収入に与える影響について ・ほかのBig5特性との関係 ・バックラッシュ効果（性別のステレオタイプと逆の行動）をする傾向が、能力に対する評価に影響を与えているのかどうか などを調べました。
ここでは研究1のみ紹介します。 研究1では560名の男女のデータを対象に、 ・協調性や外向性などの性格特性 ・性別 ・職歴 ・収入 などを調査。いずれの調査でも十分なサンプルデータが用いられています。
・協調性が高い男性は、協調性の低い男性に比べて収入が低く、その傾向は女性のパターンよりも大きかった ＝女性の協調性の高い人と低い人を比べた場合よりも、収入の格差が大きいということ。
・しかも、女性においては、協調性の高低が収入に影響を与えていなかった。
・男女の職業における違いを考慮してもこの傾向は見られた
・協調性の標準偏差が1上がるごとに、男性の収入は18.31％（9.7ドル＝1300～1400円くらい）多く稼いでいることがわかった。 女性の場合は5.47％（1.8ドル）に過ぎないので、ほとんど変わりない。
とはいえ、こちら2012年の研究ですが、研究者は男女の共働き世代が増えることで、 協調性と収入の男女差も小さくなることを予想しておりました。 そこで本質的な問いは、「なぜ協調性が収入に影響を与えるのか？」ということになりますが、その原因として次のように整理しております。 １．協調性が高い人は給与面でマイナスになることも少なく、解雇される経験も少ない。人間関係も良好だし、向社会的行動も多い。そのため、一見すると協調性の高い人の方が収入がよさそうに感じる。
２．しかし、協調性が低い人の場合、他人に嫌われることをあまり恐れないため、 ・温かみがないことでより有能であると認識されやすい ・他人を強く批判することで、好意的な評価をする人よりも有能であると評価されやすい ・給与交渉に積極的なので昇給しやすい ・仮に解雇されても、失業を機に昇進のチャンスがある仕事を探したり、次の職場でより良い賃金を得るために交渉したり、 仕事を失うことを利点に変えることができるのかもしれない
協調性が低い人は以上のような行動を取るために、協調性が低い人よりも実際は収入が高い傾向にあるということみたいですなー。 ですが、協調性が高い人もご安心ください。協調性が高いことは確かに周囲とうまくやっていく力もあるので、 心理社会的な側面としては受ける恩恵もあります。要するにあまり波乱万丈な人生になりにくいので、平穏が保てるということですね。
かといって、収入が低くなることが不安だから協調性を低くしようというのはナンセンス。 性格特性も変えられないことはありませんが、協調性は本人の気質に近いところもあるので、 無理に変えようとするよりも、収入面で不安があるのであれば、長期投資や副業などに挑戦してみるのも良いかもしれませんねー。
0. 論文タイトル・URL
Do Nice Guys—and Gals—Really Finish Last? The Joint Effects of Sex and Agreeableness on Income http://ww.timothy-judge.com/documents/Doniceguysandgalsreallyfinishlast.pdf
1. その論文の目的・どこのリサーチか
2012年にノートルダム大学が行った協調性と収入に関する研究です。
2. （先行研究とこれまでの問題）
これまでの研究でも収入と協調性に関する研究は行われてきておりまして、多くの研究で 協調性が高い人は収入が低いということが示されております。 この事実だけ聞くと意外なもので、協調性の高い人は周りとうまくやっていくことが上手なので、 収入も高くなりやすいのでは？と感じます。 しかし、実際のところはそうではありません。 協調性が高いからこそ、議論で余計な発言をしなかったり、周りのために自己犠牲的な行動が多かったり、 挑戦的な行動を好まない場合もあります。 そうした点から協調性が低い人に比べて昇給の機会が少ないことも言われております。
しかし、これまでの研究では、 ・仕事や職業の特性をコントロールしていない ・そもそも女性の就ける仕事の収入が低い ・協調性の高い男性の方が、名声のある仕事を追求しにくいからではないか？ などの影響を調査されていなかったので、こうした点を考慮した研究が行われました。
3. その論文の目的（具体的に）
研究は全部で4つ行われていますが、ざっくりまとめると、 ・性別と協調性が収入に与える影響について ・ほかのBig5特性との関係 ・バックラッシュ効果（性別のステレオタイプと逆の行動）をする傾向が、能力に対する評価に影響を与えているのかどうか などを調べました。
4. 方法
ここでは研究1のみ紹介します。 研究1では560名の男女のデータを対象に、 ・協調性や外向性などの性格特性 ・性別 ・職歴 ・収入 などを調査。いずれの調査でも十分なサンプルデータが用いられています。
5. 結果
・協調性が高い男性は、協調性の低い男性に比べて収入が低く、その傾向は女性のパターンよりも大きかった ＝女性の協調性の高い人と低い人を比べた場合よりも、収入の格差が大きいということ。
・しかも、女性においては、協調性の高低が収入に影響を与えていなかった。
・男女の職業における違いを考慮してもこの傾向は見られた
・協調性の標準偏差が1上がるごとに、男性の収入は18.31％（9.7ドル＝1300～1400円くらい）多く稼いでいることがわかった。 女性の場合は5.47％（1.8ドル）に過ぎないので、ほとんど変わりない。
6. 結論・まとめ
とはいえ、こちら2012年の研究ですが、研究者は男女の共働き世代が増えることで、 協調性と収入の男女差も小さくなることを予想しておりました。 そこで本質的な問いは、「なぜ協調性が収入に影響を与えるのか？」ということになりますが、その原因として次のように整理しております。 １．協調性が高い人は給与面でマイナスになることも少なく、解雇される経験も少ない。人間関係も良好だし、向社会的行動も多い。そのため、一見すると協調性の高い人の方が収入がよさそうに感じる。
２．しかし、協調性が低い人の場合、他人に嫌われることをあまり恐れないため、 ・温かみがないことでより有能であると認識されやすい ・他人を強く批判することで、好意的な評価をする人よりも有能であると評価されやすい ・給与交渉に積極的なので昇給しやすい ・仮に解雇されても、失業を機に昇進のチャンスがある仕事を探したり、次の職場でより良い賃金を得るために交渉したり、 仕事を失うことを利点に変えることができるのかもしれない
協調性が低い人は以上のような行動を取るために、協調性が低い人よりも実際は収入が高い傾向にあるということみたいですなー。 ですが、協調性が高い人もご安心ください。協調性が高いことは確かに周囲とうまくやっていく力もあるので、 心理社会的な側面としては受ける恩恵もあります。要するにあまり波乱万丈な人生になりにくいので、平穏が保てるということですね。
7. どんな使い方ができる？
かといって、収入が低くなることが不安だから協調性を低くしようというのはナンセンス。 性格特性も変えられないことはありませんが、協調性は本人の気質に近いところもあるので、 無理に変えようとするよりも、収入面で不安があるのであれば、長期投資や副業などに挑戦してみるのも良いかもしれませんねー。