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Chronotype: implications for sleep quality in medical students #187

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0. 論文タイトル・URL

Chronotype: implications for sleep quality in medical students https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31140322/

1. その論文の目的・どこのリサーチか

2019年に中国医科大学が、睡眠の質に及ぼすクロノタイプの影響を分析した研究になります。

2. (先行研究とこれまでの問題)

生物は24時間周期の昼夜の変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。 ヒトにおいては、体温調節やホルモン分泌など、体の基本的な機能は約24時間のリズムを示し、 この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれています。

サーカディアンリズムは、光や温度変化のない安静な状態においても認められることから、生物は体内に時計機構を持っていることが明らかとなり、「体内時計」とも呼ばれます。体内時計は一人ひとり異なっており、その個人ごとの傾向を「クロノタイプ」といいます。

クロノタイプは、朝型・夜型などに分類されますが、基本的には個人の生活習慣の影響を大きく受けています。 夜にスマホやゲームをすることが多く入眠時刻が遅ければ自然と夜型に近づいていきますし、 朝起きるのが得意な人は、もともと朝に予定を詰め込む習慣があったり、 早朝から仕事がある職に就いている人であれば、自然と朝型になっていくわけです。

大学生であれば、1限の授業があれば朝から通学しますが、特に行きたくもない授業で、義務でもなければサボる人も出てきます。 そういう人ほど2限以降の授業を取るようになり、だんだん起きるのが遅くなったり、2限からだからといって、夜遅くまで出歩いても大丈夫、と考える人もいるでしょう。そうして夜型の生活習慣になっていくことで、体内時計も夜型にシフトしていくわけです。 これに対し、朝起きるのが生まれつき得意な人や、性格的にまじめで授業をサボるのは良くない!と考える人は、1限の授業でも遅刻しないように準備したり、もともと早起きが苦ではないので生活習慣も朝型になり、健康的な生活習慣を送るでしょう。 このように、クロノタイプは個人の生活習慣の影響を大きく受けているわけです。

他にも、医学生を対象とした研究では、医学生は勉強や仕事量のために睡眠時間を削っているため、学業に必要な過程で睡眠を優先的に考えていないことが多く、その結果、試験前の数週間は、ひどい気分の落ち込みを伴い、睡眠不足の習慣が身につくことがあり、このような行動が睡眠時間の減少や、睡眠時間の遅延など、睡眠の質に影響を与えており、日中機能と睡眠の質の低下を引き起こしていることがわかっています。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、睡眠の質に及ぼすクロノタイプの影響を分析し、健康状態を良好に保つために、早寝早起きなどの健康的な生活習慣をすることで、睡眠の質を向上させることができるかどうかを調べました。

4. 方法

5497名の医学生を対象に、 ・睡眠の質 ・クロノタイプ ・普段のライフスタイル を調査しました。

5. 結果

・朝型の学生は他のクロノタイプの学生と比較して睡眠の質(入眠潜時や睡眠時間の長さ)が良かった。 ・SNSを多用している人ほど、睡眠時間も短くなり、睡眠の質が低いことが分かった。 ・睡眠の質が良い学生は、睡眠の質が低い学生に比べて。健康的な生活習慣を送っていた。 ・対人関係、健康的な行動への配慮、ストレスマネジメントなど、より健康的なライフスタイルに取り組んでいる人ほど、睡眠の質が向上していた。中でも、ストレスマネジメントは他の健康行動よりも睡眠の質と強く関連していた。 ・クロノタイプが朝型に近いほど睡眠の質が高く、夜型に近づくほど睡眠の質が悪いことが分かった。

6. 結論・まとめ

この結果だけ見れば、「まあそうでしょうなー」という結論でしかないのですが、もう少し深ぼって考えてみるとおもしろいことがわかります。

クロノタイプが朝型に近づくと睡眠の質が良くなるということはどういうことだと思いますか? 例えば、夜型の人が朝型に近づいていくためには、まず現状の入眠時刻から早い入眠時刻にシフトしていく必要が出てくるので、 必然的に「現時点における理想的なクロノタイプ」に合わせた睡眠を行う必要が出てきます。 例えば、毎日1:30~8:30に睡眠している人であれば、理想的なクロノタイプはもう少し早くなるため、 0:30~8:30に睡眠する方が睡眠の質は改善していくでしょう。 そうして少しずつ睡眠時間を早めていくことになります。

つまり、こういうことです。 1.クロノタイプに沿った睡眠をする 2.自然と入眠時刻が早くなり、睡眠時間も増えることで、睡眠の質が改善する 3.少しずつ朝型にシフトしていくことで、睡眠の質もよくなっていく

これは理想的な流れではありますが、実際に私もクロノタイプに沿った睡眠をするようになってから、睡眠の質が改善し、Oura Ringでの睡眠スコアも改善されていきました。 これは、クロノタイプに沿った行動をすることで入眠時刻が早くなり、睡眠時間が増え、 かつ入眠前の行動も瞑想や読書をするようになった(健康的な生活習慣)ことで、 睡眠効率が良くなったり、規則的な睡眠習慣に変わっていったためです。

ちなみにクロノタイプに沿った時間に眠るだけでは睡眠は改善せず、入眠前にスマホやPCをがっつり行ってからクロノタイプ通りに寝ても睡眠の質は低くなったので注意してください。 クロノタイプ通りに眠り、かつ健康的な睡眠習慣・生活習慣をすることが、朝型に近づいていく方法であり、 そうして睡眠が改善していくということでした。