2.「何が~」や「どんな~」を使って、「経験」や「事象」について考える
・内省することを決めたら、それに対して、「What」「How」で自問し、適切な内省になっているかどうかを、以下4つのポイントで考える。
a. 問題を批判的に考える:自分の答えや思考が、本当にそうであるか、例外はないか、と内省している内容に対して疑いをもって思考するb. 注意深く考える:見落としている要素はないか、振り返っている最中にふとよぎった思考を見落としていないか
c. 探索的に考える:答えらしきものにたどり着いても、簡単に飛びつかず、複数の視点やパターン、角度から考える。自分が知りえない情報を探しにいく。
d. 継続的に考える:自分の納得のいく答えにたどりついたとしても、そこで終わりにせず、暫定解として保留する
→内省した時点での答えを出すことは良いが、自分の人生のステージや経験によって「自分にとっての答え」や「自分にとっての意味づけ」は変化し続けるので、考えることを終わりにしない。
0. 論文タイトル・URL
What is reflection? A conceptual analysis of major definitions and a proposal of a five-component model https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25413911/
1. その論文の目的・どこのリサーチか
2014年にモントリオール大学が、内省とは何か?ということをまとめてくれた論文になります。
2. (先行研究とこれまでの問題)
「ビジネスパーソンには内省が大事だ!」 なんて話を耳にする方も多いのではないでしょうか。内省とは、「自分の考えや言動、行動について深く省みること」を意味しておりまして、要は自分の行動を振り返り、その時、自分はどのように考えていたのか、なぜそのように行動したのかを考え、 次の行動に活かすための思考と言えます。 「反省」との大きな違いとして、反省はネガティブな経験に対して行われるものですが、内省はポジティブ・ネガティブな経験に問わず行われるものでもあります。また、何らかの事象について考えることもあるため、思考の対象となるのは経験だけとは限りません。 しかしながら、「具体的にどうやって内省するのが良いのか?」と調べると、やれ「具体的な行動のプランを作成する」だとか、やれ「深く見つめなおす」だとか、まあ根拠のあるお話が全く記載されていないのですよね。
3. その論文の目的(具体的に)
そこで2014年にモントリオール大学らが、内省に関するメタ分析を行い、430件の論文から最も引用数の多い15件の論文を抽出して、「内省のメカニズムとは何か?」ということをまとめてくれました。
5. 結果
そして内省のメカニズムとは、以下の5つの要素に分けられるということがわかりました。 1.「思考」と「行動」を振り返り ・考える事象や対象を定めて、それについて自分の思考と行動を振り返る ・経験について振り返る →「その時」に自分はどのように考えて、どうしてその行動をしたのか、など。 ・事象について振り返る →例:自分が集中できる状態とはどんな状態であるか。自分の過去の集中できている時の過去の状況について考える
2.「何が~」や「どんな~」を使って、「経験」や「事象」について考える ・内省することを決めたら、それに対して、「What」「How」で自問し、適切な内省になっているかどうかを、以下4つのポイントで考える。 a. 問題を批判的に考える:自分の答えや思考が、本当にそうであるか、例外はないか、と内省している内容に対して疑いをもって思考する b. 注意深く考える:見落としている要素はないか、振り返っている最中にふとよぎった思考を見落としていないか c. 探索的に考える:答えらしきものにたどり着いても、簡単に飛びつかず、複数の視点やパターン、角度から考える。自分が知りえない情報を探しにいく。 d. 継続的に考える:自分の納得のいく答えにたどりついたとしても、そこで終わりにせず、暫定解として保留する →内省した時点での答えを出すことは良いが、自分の人生のステージや経験によって「自分にとっての答え」や「自分にとっての意味づけ」は変化し続けるので、考えることを終わりにしない。
3.概念フレームを見つける 1~2のステップで経験や事象について振り返ると、自分の経験や事象に対する新たな発見や共通点を見つけることができるが、 「なぜ自分はその結論に至ったのか」、という根底にある枠組みや、価値観を見つけることが「内省」の構造である。 概念フレームの多くは、自分の知識や過去の経験、成功体験、トラウマ、価値観(大事にしている考え方)などに依存していて、自分がその思考に至るには何らかの経験があるため、概念フレームを見つけるとそこから思考が構成されていることに気づけるようになる。
4.視点を変える ・概念フレームを見つけ、自分の思考・行動を振り返ったら、視点を変える ・そもそも内省することは、初めから「自分に持っていなかった視点を獲得すること」でもあるため、新しい発見をしても視点を変えなければ、利己的な視点のままとなってしまう。 ・別の研究では、「内省とは、リアプレイザルの連続である」と定義しているものもあるくらいなので、視点を変えることは内省のコアな要素とも言える
5.自分の行動を変える ・1~4のプロセスを経て、自分の出した答えが、自分とどのように関連しているかを認識し、どのように行動を変化させるのかを考える
6. 結論・まとめ
これが内省のメカニズムとなります。 こうやって内省の仕組みについて知ることで、質の高い再現性のある内省をすることができるようになるので、ここは押さえておきたいですなー。 内省において特に重要になってくるのは質問の仕方です。 内省をするときには、「なに」「どのように」の疑問詞を使って質問を投げかける方が質の高い内省をすることができることがわかっています(これについてはまた別の研究をご紹介します)。 なので、2のステップで経験について思考し、3のステップでそのように考えた理由、自分の中にある思考のフレームに気づくことができると、一段階俯瞰した視点から経験を捉えられるようになったり、自分が大事にしている価値観・考え方に気づくことができるようになるわけです。
7. どんな使い方ができる?
どんな場面でも内省は活用することができるでしょう。 ・仕事でうまくいった経験、いかなかった経験 ・自分が飲み会が嫌いな理由 ・上司からのフィードバックされたこと ・恋人との喧嘩 ・勉強 人間関係から自分の経験、事象の思考まで様々なことに活用することができます。 今回は内省の具体的な方法についてまとめましたが、次回はなぜ内省が重要であるかについてまとめていきたいと思いますーそれでは。