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Hard-earned wisdom: Exploratory processing of difficult life experience is positively associated with wisdom #189

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0. 論文タイトル・URL

Hard-earned wisdom: Exploratory processing of difficult life experience is positively associated with wisdom https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28333530/

1. その論文の目的・どこのリサーチか

トロント大学のニック・ウェストストレート博士が、人生経験をして知恵が身につく人と、そうでない人には、どのような違いがあるのか、ということを調べました。

2. (先行研究とこれまでの問題)

前回の記事では、内省のメカニズムについてまとめました。 このメカニズムを知っていることで、質の高い内省の再現性を高めることができるので、個人的には非常におすすめのフレームとなっております。 そこで今回は、なぜそこまで内省をおすすめしているのか、というお話をしていきたいと思います。

突然ですが、賢い人とそうでない人の違いって何だと思いますか? 心理学の研究では「年齢を重ねると賢くなる」ということが古くから命題として挙げられていますが、 様々な研究から、「年齢を重ねても賢くなるとは限らない」ということがわかっております。 これは実際に、高齢者の方でも賢い人もいれば、はたまた老害とすら呼ばれてしまう人もいるくらいなので、 年を重ねれば賢くなるとは限らないのですね。 1999年のメタ分析では、年齢を重ねることのメリットとしては、経験の増加、精神的な成熟などもあるが、 デメリットとして、認知処理能力の低下、開放性の低下、硬直マインドセットの増加などが起きるため、 トータルして考えると、年を重ねることがで、知恵が身につくとは言えない、と結論付けられていたりもします。

3. その論文の目的(具体的に)

では、賢い人とそうでない人には、どのような違いがあるのでしょうか? ということをしらべてくれたのが今回の研究になります。

4. 方法

他者の推薦によって集められた知恵がある・賢いと評価された26~92歳の参加者に、 ・内省の頻度 ・過去の内省、振り返りを行った理由 ・幸福度 などを調査。それに加えて、 困難な人生経験に関するインタビューを行い、参加者が ・その状況にどう対処したか ・その時どう感じたか ・その出来事が、のちの人生にどんな影響を与えたか ・その経験からどんな教訓を得たか ・今だったらどう対処するか ・同じ境遇の人にどんなアドバイスをするか ・その出来事を振り返って、今はどう感じるか ・現在その出来事について考えたり話したりする頻度はどれくらいか などの質問をし、知恵と内省の関係性を調査しました。

5. 結果

その結果、次のようなことがわかりました。 ・意外なことに、知恵は内省の”頻度”とは無関係であった ・しかし、人生経験から知恵が身につく人は、次のような特徴があった

1.「内省」によって、過去の出来事に対する意味づけをしていたり、過去の経験から、自己成長を実感することができていた。 2.過去の困難な人生経験について、肯定的に解釈することができていたり、困難な出来事を乗り越えた経験があった

つまり、 ・内省して過去から学び、その経験の意味を見出すこと ・困難な人生経験に対するポジティブなリフレーミングができること これこそが、人生経験から知恵を身に着ける賢い人の考え方であったということになります。

6. 結論・まとめ

賢者は必ずといってよいほど内省を行い、そこから「意味」を見出していることがほとんどですよね。 大学の卒業式でスピーチをする著名人を見かけますが、必ずといってよいほど自分の過去の経験から学んだこと、そこから得られた持論を持っています。これは内省を行う人にしか見られない特徴ですよねー。 これがわかると日常会話で賢い人を見分けるのも簡単ですね。 愚者ほど自分の過去の栄光にすがる話をしますが、 賢者は過去の困難な経験を語り、そこから何を学び、自分は何を大切にしているのかを明確に語ることができます。

また研究者は、「内省するから賢くなるのか、賢い人が内省するのか?」という疑問については

因果関係はわからなかったものの、相関関係はあるだろう。内省は知恵につながり、知恵が内省を促進するため、過去を振り返り、その過去から学ぶ力、過去の困難な出来事から意味を見出すことが、人を賢者にする。

と述べておりました。

7. どんな使い方ができる?

内省の方法につきましては前回の記事でまとめましたので、そちらをご確認くださいませー。 質問等ありましたらコメント欄までどうぞー。