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A Nudge-Based Intervention to Reduce Problematic Smartphone Use: Randomised Controlled Trial https://link.springer.com/article/10.1007/s11469-022-00826-w
2022年にマギル大学の研究チームが「スマートフォンの使用を減らすために、ナッジを活用できないか?」ということを調べてくれまして、ナッジでスマホの使用を減らすための10の戦略についてまとめておりました。
〇ナッジとは? ナッジとは、行動経済学で使われる有名な言葉で、人の行動や意思決定に影響を与える軽い「刺激」となる手法のことです。 例えば、 ・適度な感覚で並ばせられるためのスーパーのレジの近くの床にある足跡の立ち印 ・コロナ対策で席の間隔を空けるため、銀行の席の待合室に人形を置く ・男子トイレにあるターゲットシール(トイレを汚さないため) ・ゴミを捨てるとお礼を言うゴミ箱(ポイ捨てをされない仕組み)
などなど、ナッジを活用することで、それとなく、人々に取ってほしい行動を促すことができます。 ナッジが効果的であるのは、「そうしよう」という意思決定をほとんどせずに、無意識的に行動してしまうことです。 スーパーのレジの近くの床にある足跡の立ち印に、 「よ~し!今日は足元の印を踏むぞ~!」と考えて並んでいる人はいないでしょう笑 ナッジを自らのスマホに施すことができれば、スマホを使用する時間や頻度が減って、 睡眠の質を改善できるかもしれない、というわけですな。
121名の参加者を集め、半分のグループには通常通りスマホを使用してもらい、もう片方のグループには、スマホの使用時間を減らすのに有効な10個の戦略を2週間実践してもらったんだそうな。
・スマホの使用時間が1.27時間減少! ・一次的な記憶力を司るワーキングメモリーのスコアも改善 ・睡眠の質もやや改善 ・参加者は余った時間を読書や勉強、趣味の時間に充てられるようになったと回答 といった感じで、スマホの使用を減らすことがある程度はできたようなんですね。
サウンド、バナー、バイブレーション、アプリ通知など、通知となる要素をすべてオフにします。一気にすべてオフにすることができればすべてオフにしても良いですし、オフになっていないアプリの通知があった時に、オフに設定するのでもよいです。
おすすめはサイレントモードのような、音もバイブレーションも一切ならないモードです。また、スマホを使わない時には視界に入る場所にも置かないようにしましょう。可能であれば手の届かないところで、遠いところが理想です。
顔認証や指紋認証はロックを解除するのに便利な機能ですが、簡単にスマホを操作できてしまうデメリットもあります。あえてパスワードを使用することで行動障壁(めんどくささ)が高くなり、使用しなくなっていきます。
入眠時は基本的にスマホを遠くに置くようにしましょう。スマホが近くにあるだけで、睡眠の質が下がる、という研究もあります。夜になったら、スマホを手に取りにくいところに置くだけでも使用率は下がります。
前回紹介した研究では、「スマホをナイトモードにしたところで睡眠の質の低下を防いでくれない」という研究を紹介しましたが、この研究でも、ナイトモードが効果がない、ということを踏まえてくれておりまして、代わりに「画面の明るさを下げる」という方法が紹介されておりました。 また、「グレースケール」というスマホをモノクロのような設定にできる機能が搭載されている場合がありますので、iPhone を使用されている方は設定してみてはいかがでしょうか。 ※グレースケールの設定方法:https://newsba-nk.com/iphone-gray
ちなみに、これらの10個のテクニックの中で最も使用率が低かったのが、このグレースケールでした。モノクロにするというのは少しハードルが高いのかもしれません。
すぐに操作できる配置は便利ですが、逆にすぐに操作できてしまうからこそ、使用頻度が増えてしまうということも事実。SNSやYoutube のような良く使うけど時間を奪われてしまうようなアプリは操作しにくいところに配置することをおすすめしております。
ちなみに私の場合は、別のフォルダに隠したりしても時間が経つと慣れてすぐに探しにいけるようになってしまったので、定期的に配置を変えるようにしています。
スマホは便利なので大体なんでもできてしまいますが、やはり画面が小さいので目にも負担をかけやすいです。パソコンでできる作業はスマホの代わりにPCを使用しましょう。
普段から連絡を頻繁に取り合っている人は、返信の頻度を伝えておくようにすることで、自分自身でも「返信の頻度を減らすと言ったから減らそう」と意識するようになります。
例えば、買い物に行くとき、ジムに行くときなど、スマホがなくても良い状況であればスマホを家に置いておきましょう。またスマホを暇つぶしや音楽を聴く目的で持ち歩く必要がある人もいるかもしれませんが、代わりに音楽プレーヤーを持ち歩くようにしたり、電子書籍ではなく紙の本を持ち歩くこともできます。必要がない時はスマホを置いておくようにしておくようにしましょう。案外何とかなるものです。
ちなみに私もスマホを持ち歩かずに友人と遊びに行ったことがあり、連絡が取れなくて不便に感じるのでは?という不安もありましたが、持ち歩かないことを事前に伝えておくと、いつも時間にルーズな友人が、時間通りに待ち合わせ場所に来てくれたこともありました笑
「これができれば苦労しない!」と思うかもしれません。ですが、これもルール決めをしておくと使いやすくなります。例えば私の場合、お風呂上りにスマホを使用してしまうクセがあったので、お風呂に入る前に玄関の方でスマホを充電するようにしました。 すると、たったそれだけでお風呂上がりのスマホを触らないようになりました。
人間の行動というのは「場所」「状況」に紐づけられていることが多いです。 例えば、起床後に洗面所で顔を洗う行為も、「起床後に」という状況と「洗面所で」という場所に紐づいているため、自然とその行動をしてしまうわけです。つまり、場所や状況に介入を行うことで、それらの行動を妨げることも容易になります。
この研究の強みとして、一度設定してしまえばあとは身を任せるだけで、再設定する必要もなく、勝手に効果が表れ始めることにあります。 まあある程度はスマホを持ち歩かない、とか使用しないように心がける、といったマインドの面も少なからずありますが、 「スマホを使用を別に減らしてもいいか~」くらいに思っている人ほど効果が表れやすいかもしれません。どうぞよしなに試してみてください~。
0. 論文タイトル・URL
A Nudge-Based Intervention to Reduce Problematic Smartphone Use: Randomised Controlled Trial https://link.springer.com/article/10.1007/s11469-022-00826-w
1. その論文の目的・どこのリサーチか
2022年にマギル大学の研究チームが「スマートフォンの使用を減らすために、ナッジを活用できないか?」ということを調べてくれまして、ナッジでスマホの使用を減らすための10の戦略についてまとめておりました。
2. (先行研究とこれまでの問題)
〇ナッジとは? ナッジとは、行動経済学で使われる有名な言葉で、人の行動や意思決定に影響を与える軽い「刺激」となる手法のことです。 例えば、 ・適度な感覚で並ばせられるためのスーパーのレジの近くの床にある足跡の立ち印 ・コロナ対策で席の間隔を空けるため、銀行の席の待合室に人形を置く ・男子トイレにあるターゲットシール(トイレを汚さないため) ・ゴミを捨てるとお礼を言うゴミ箱(ポイ捨てをされない仕組み)
などなど、ナッジを活用することで、それとなく、人々に取ってほしい行動を促すことができます。 ナッジが効果的であるのは、「そうしよう」という意思決定をほとんどせずに、無意識的に行動してしまうことです。 スーパーのレジの近くの床にある足跡の立ち印に、 「よ~し!今日は足元の印を踏むぞ~!」と考えて並んでいる人はいないでしょう笑 ナッジを自らのスマホに施すことができれば、スマホを使用する時間や頻度が減って、 睡眠の質を改善できるかもしれない、というわけですな。
4. 方法
121名の参加者を集め、半分のグループには通常通りスマホを使用してもらい、もう片方のグループには、スマホの使用時間を減らすのに有効な10個の戦略を2週間実践してもらったんだそうな。
5. 結果
・スマホの使用時間が1.27時間減少! ・一次的な記憶力を司るワーキングメモリーのスコアも改善 ・睡眠の質もやや改善 ・参加者は余った時間を読書や勉強、趣味の時間に充てられるようになったと回答 といった感じで、スマホの使用を減らすことがある程度はできたようなんですね。
〇スマホの使用時間を減らすための10の戦略
1.必要のない通知を無効にする
サウンド、バナー、バイブレーション、アプリ通知など、通知となる要素をすべてオフにします。一気にすべてオフにすることができればすべてオフにしても良いですし、オフになっていないアプリの通知があった時に、オフに設定するのでもよいです。
2.携帯電話はマナーモードにし(バイブレーションはオフ)、一日中使わないときは下を向き、視界に入らず、手の届かないところに置く
おすすめはサイレントモードのような、音もバイブレーションも一切ならないモードです。また、スマホを使わない時には視界に入る場所にも置かないようにしましょう。可能であれば手の届かないところで、遠いところが理想です。
3.Touch ID/Face ID(指紋認証/顔認証によるロック解除)を無効にし、代わりにパスワードを使用する。
顔認証や指紋認証はロックを解除するのに便利な機能ですが、簡単にスマホを操作できてしまうデメリットもあります。あえてパスワードを使用することで行動障壁(めんどくささ)が高くなり、使用しなくなっていきます。
4.夜間や就寝時は携帯電話をマナーモードにし(バイブレーションはオフ)、手の届かない場所(部屋の反対側など)に置く
入眠時は基本的にスマホを遠くに置くようにしましょう。スマホが近くにあるだけで、睡眠の質が下がる、という研究もあります。夜になったら、スマホを手に取りにくいところに置くだけでも使用率は下がります。
5.携帯電話の輝度を下げ、グレースケール(白黒)に設定する
前回紹介した研究では、「スマホをナイトモードにしたところで睡眠の質の低下を防いでくれない」という研究を紹介しましたが、この研究でも、ナイトモードが効果がない、ということを踏まえてくれておりまして、代わりに「画面の明るさを下げる」という方法が紹介されておりました。 また、「グレースケール」というスマホをモノクロのような設定にできる機能が搭載されている場合がありますので、iPhone を使用されている方は設定してみてはいかがでしょうか。 ※グレースケールの設定方法:https://newsba-nk.com/iphone-gray
ちなみに、これらの10個のテクニックの中で最も使用率が低かったのが、このグレースケールでした。モノクロにするというのは少しハードルが高いのかもしれません。
6.ソーシャルメディアやEメールアプリ(Instagram、SnapChat、Facebook、Gmail、Outlookなど)をホーム画面の外のフォルダに隠す(あるいは削除する)
すぐに操作できる配置は便利ですが、逆にすぐに操作できてしまうからこそ、使用頻度が増えてしまうということも事実。SNSやYoutube のような良く使うけど時間を奪われてしまうようなアプリは操作しにくいところに配置することをおすすめしております。
ちなみに私の場合は、別のフォルダに隠したりしても時間が経つと慣れてすぐに探しにいけるようになってしまったので、定期的に配置を変えるようにしています。
7.PCでできる作業は、なるべくパソコンで行う(ソーシャルメディア、ウェブ検索、Eメールなど)
スマホは便利なので大体なんでもできてしまいますが、やはり画面が小さいので目にも負担をかけやすいです。パソコンでできる作業はスマホの代わりにPCを使用しましょう。
8.家族、友人、同僚に、直接電話がかかってこない限り、返信の頻度を減らすことを伝えておく
普段から連絡を頻繁に取り合っている人は、返信の頻度を伝えておくようにすることで、自分自身でも「返信の頻度を減らすと言ったから減らそう」と意識するようになります。
9.スマホを必要としないときは、家に置いておく
例えば、買い物に行くとき、ジムに行くときなど、スマホがなくても良い状況であればスマホを家に置いておきましょう。またスマホを暇つぶしや音楽を聴く目的で持ち歩く必要がある人もいるかもしれませんが、代わりに音楽プレーヤーを持ち歩くようにしたり、電子書籍ではなく紙の本を持ち歩くこともできます。必要がない時はスマホを置いておくようにしておくようにしましょう。案外何とかなるものです。
ちなみに私もスマホを持ち歩かずに友人と遊びに行ったことがあり、連絡が取れなくて不便に感じるのでは?という不安もありましたが、持ち歩かないことを事前に伝えておくと、いつも時間にルーズな友人が、時間通りに待ち合わせ場所に来てくれたこともありました笑
10.携帯電話をできるだけ使わない
「これができれば苦労しない!」と思うかもしれません。ですが、これもルール決めをしておくと使いやすくなります。例えば私の場合、お風呂上りにスマホを使用してしまうクセがあったので、お風呂に入る前に玄関の方でスマホを充電するようにしました。 すると、たったそれだけでお風呂上がりのスマホを触らないようになりました。
人間の行動というのは「場所」「状況」に紐づけられていることが多いです。 例えば、起床後に洗面所で顔を洗う行為も、「起床後に」という状況と「洗面所で」という場所に紐づいているため、自然とその行動をしてしまうわけです。つまり、場所や状況に介入を行うことで、それらの行動を妨げることも容易になります。
6. 結論・まとめ
この研究の強みとして、一度設定してしまえばあとは身を任せるだけで、再設定する必要もなく、勝手に効果が表れ始めることにあります。 まあある程度はスマホを持ち歩かない、とか使用しないように心がける、といったマインドの面も少なからずありますが、 「スマホを使用を別に減らしてもいいか~」くらいに思っている人ほど効果が表れやすいかもしれません。どうぞよしなに試してみてください~。