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I’m a Computer Scientist!: Virtual Reality Experience Influences Stereotype Threat and STEM Motivation Among Undergraduate Women #53

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0. 論文タイトル・URL

I’m a Computer Scientist!: Virtual Reality Experience Influences Stereotype Threat and STEM Motivation Among Undergraduate Women https://link.springer.com/article/10.1007/s10956-019-09781-z https://www.researchgate.net/profile/Christine_Starr/publication/333117067_I'm_a_Computer_Scientist_Virtual_Reality_Experience_Influences_Stereotype_Threat_and_STEM_Motivation_Among_Undergraduate_Women/links/5ce4bc89299bf14d95af55d6/Im-a-Computer-Scientist-Virtual-Reality-Experience-Influences-Stereotype-Threat-and-STEM-Motivation-Among-Undergraduate-Women.pdf

1. その論文の目的・どこのリサーチか

女性が持っているステレオタイプ脅威をVR介入で変化させられるかについて行った研究です。

2. (先行研究とこれまでの問題)

昔から「女子は文系、男子は理系」なんて言葉が言われていましたが、最近ではリケジョなど言われるようにもなり、その境目や差別的な意識も少なくなってきました。ですが、それでも現状、「pSTEM」と言われる、物理化学、技術、工学、数学の領域においては男性の方が多く、女性が少ないというのが現状だったりします(日本だけでなくアメリカでも同様)。先行研究でも、pSTEM領域における女性の成績不振は、ステレオタイプやステレオタイプの脅威と呼ばれる、男性と比較した場合の女性の平均的な自信と関心の低さなど、様々な要因によるものであることがわかってまして、実際の能力自体は変わらないのに、男性の方が数学が得意で女性は苦手、みたいな意識が成績に影響を与えているのだそう。実際にそのバイアスを取り除いてあげてから試験を行ってもらうと、成績にほとんど差がないことがわかったという研究もあります。

3. その論文の目的(具体的に)

そこで本研究では、社会認知理論(人間の行動を個人要因や、個人を取り巻く状況、自己および他者の行動の相互関係の中で捉えることで、人間行動を説明する理論)と期待値フレームワークを用いて、 ステレオタイプの脅威を減少させ、pSTEMのモチベーションを向上させるための可能な自己介入のための空間として、仮想現実(VR; HTC Vive)を用いて、 短時間のVRシミュレーションがpSTEMのモチベーションに与える影響を調べました。

4. 方法

カリフォルニア州の学部生女性79名(アジア系46%、ラテン系32%、白人14%)を対象に、VR空間に入ってもらいます。そこで、 1.”ある領域での能力や成功を反映した部屋”のオブジェクトに自分の名前を書いてもらう 2.仮想オフィスを探索し、「ここが将来的にあなたのオフィスになります」をと言われる この79 名の参加者のうち、43 名が pSTEM のオフィス条件、36名が文系のオフィス条件でした。 つまり、理系で成功している人のオフィスに入ってもらい、そこに自分の名前を入力していくことで、「自分」と「理系で成功した自分」と関連イメージを強めたり、ステレオタイプ脅威を低減させようということを目的にしているのですね。 (論文を開いていただくとその画像が載っているので気になる方は見て見てください。) で、参加者には、 ・Self-pSTEM Implicit Association Test ・Women-pSTEM Implicit Association Test ・Expectancy-Value Beliefs ・ステレオタイプテスト ・pSTEM Course Interest ・Identification(どれほど同一性、没入性を感じられたか) ・などのいくつかの質問をVR体験の前後で回答してもらいました。

5. 結果

このグループ間を比較して何がわかったかと言いますと、 ・2つのグループに有意な差は見られなかった。

・pSTEM VR条件の女性は文系条件の女性と比較して、pSTEM状況におけるステレオタイプの脅威が有意に低く、pSTEMの価値が高く、pSTEMコースへの関心が高いことがわかった。

・いくつかのケースではVRルームに対するリアクタンスがあることがわかり、pSTEM VR条件で低い没入性を報告した女性は、文系条件の女性と比較して、Women-pSTEM Implicit Association Testのスコアが有意に低く、pSTEMへのコース興味が低くなった。

6. 結論・まとめ

何とも残念なことに、pSTEM条件と文系オフィス条件を比較しても、pSTEMへの認識テストのスコアには差がありませんでした。ですが、pSTEM条件の参加者は文系条件の参加者に比べて、ステレオタイプ脅威は減少、pSTEMへの価値観も高く、コースへの関心も高まりました。 つまり、VR空間でpSTEM領域で成功した自分(ないしはそのイメージ)を見たことで、pSTEMへの抵抗感のようなものは減らすことができました。 しかし、没入感の低い場合(同一性が低い場合)は効果がなかったどころがリアクタンス(自分には関係のないことだ)のような反発心さえ生まれてしまいました。

7. どんな使い方ができる?

この研究からわかることとして、没入(同一感)さえさせることができれば、仮に自分が現実に経験しなかったとしても(pSTEM領域で成功するなど)、認知の変化を生むことができるということです。 ゲーム内のアバターとの一体感は思考・価値観の変化まで生じさせる可能性を示唆しています。

とまあ、重要なのは同一感な感じが示されましたが、VR領域では何をするにしても没入感が高いことで効果出やすい(VRでの運動に関する研究も同様)ので、ユーザーもプレイする時には没入感を意識できるとよりおもしろくなるのではないでしょうか~