論文リンク

https://www.nber.org/system/files/working_papers/w27102/w27102.pdf

見つけた方法

・Google で「感染症経済学」で検索し、以下ページに到達・https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3470

フォーマット

どんなもの？

感染率、入院率、致死率がグループ間、特に「若年者」、「中年者」、「高齢者」の間で異なる多グループSIRモデルにおいて、標的型ロックダウンを研究
COVID-19パンデミックのベースラインパラメータの値について、米国に適用した場合、リスク/年齢グループを差別的にターゲットにした最適な政策が、最適な一様政策よりも有意に優れていること、また、最も高齢のグループに対してより厳格なロックダウン政策を持つことで、利益の大部分が実現できることを発見した
直感的には、最も脆弱なグループに対して厳格で長期間のロックダウンを行うことは、感染を減少させ、リスクの低いグループに対してはより厳格ではないロックダウンを可能にする
グループ間の距離、テストと契約の追跡、マッチング技術、ワクチンの到着予想時間が最適な政策に与える影響についても研究
全体的に、グループ間の相互作用を減らし、感染者の検査と隔離を増加させる手段と組み合わせたターゲティング政策は、我々のモデルでは、経済的損失と死亡者数の両方を最小限に抑えることができる

先行研究と比べてどこがすごい？

疫学的SIR集団ベースモデルのマルチグループ版を開発し、COVID-19に適用した定量分析を行う
ターゲティングの利益は有意であることがわかった

技術や手法のキモはどこ？

最適制御問題を解き、ターゲティングの可能性がトレードオフをどのように改善するかを検討
どうやって有効だと検証した?

議論はある?

ターゲティングの原理は、政府の政策の経済分析において重要な役割を果たしている
ケースバイケースで実質的な利益を示す必要がある
多くの伝染病では、感染症や重篤な健康合併症のリスクは、人口統計学的グループによって大きく異なる
ロックダウンによる経済活動の防止のためのコストもまた、一般的には人口集団の中で異質である
65歳以上の人の感染による死亡率は、20～49歳の人の約60倍です。このような大きな差があることから、ターゲティング政策の利点を検討する価値がある
人命を救うことが優先される場合（「安全重視」のアプローチ）、経済は長期のロックダウンとGDPの大幅な減少に耐えなければならない
例えば、成人人口の死亡率を0.2％以下に抑えるためには、政策立案者は、ほぼ1年半にわたって経済の全面的または部分的なロックダウンを行い、1年分のGDPの38％に相当する経済コストを負担しなければならない
逆に、経済を優先させ（経済重視のアプローチ）、経済被害を1年間のGDPの10％以下に抑えようとする政策立案者は、1％を超える死亡率を我慢せざるを得ないかもしれない
経済的損失と生命の損失の間のフロンティア（パレート）に注目
経済的損害には、病気による生産性の低下と、ウイルスが原因で死亡した人の生産性の低下が含まれている
最も脆弱な年齢層（高齢者）を他の人口とは異なる扱いにするだけの「セミターゲティング」政策は、「フルターゲティング」政策（若年層と中高年層を異なる扱いにする）とほぼ同等の効果が得られる
最適なターゲットを絞った政策を実施しても、高齢者の死亡率は相対的に高くなる可能性がある
集団離隔とセミターゲット政策により、死亡率0.2%以下という安全性に重点を置いた目標から生じる経済的損失を、1年間のGDPの約16%にまで削減することができる（あるいは、代わりに死亡率をさらに削減することもできる）
2つのグループ間（またはグループ内）のマッチングの数は、2つのグループのサイズの積
この二次技術は、接触と近接がランダムである地理的文脈でのマッチングに適している
他の相互作用（職場での、企業と労働者の間のマッチング、または小集団で行われる特定のタイプのレジャー活動の文脈など）では必ずしもそうではない

Days 18 ここまで

感染者の検出と隔離は不完全であると仮定
状態変数の追加を避けるために、感染した個体の検出と隔離が可能かどうかは、感染した直後に決定
症状が現れたり、検査や追跡の努力によって感染していることが発見されたりするために起こることもある
回復した感染者は、少なくともパンデミックの残りの期間、ワクチンと治療薬が到着するまで免疫があると仮定
感染症の感染率に影響を与えるロックダウンと社会的遠ざかり対策について考える
議論を単純化するために，これらのすべてを "ロックダウン "政策としてラベル付け
グループjの個体は，彼らがロックダウン中でないときにwjを生産し，ロックダウン中にξjwjを生産する
パラメータξjは，家庭生産と市場生産の相対的な生産性を捉える
ξj > 0の場合，いくつかの生産的な仕事は，家から行うことができる．
完全なロックダウンは，(1 - ξj)wjに等しい損失を生じる
15 各グループについて，ロックダウンは必ずしもオール・オア・ナッシングではない
Lj(t) を，Lj(t) = 1 が完全なロックダウンを指定し，Lj(t) = 0 がロックダウンなしを指定して，「ロックダウン」にあるグループ j のシェアを表す
Lj(t)の中間値∈(0, 1)は、それほど極端ではない状況を表す
一つの解釈は、各瞬間tにおいて、グループjから（過去のすべてのイベントから）独立してランダムな割合Lj(t)が引き出され、ロックダウンに送られるというもの
これは、一部の財が必要不可欠と判断され、生産を停止できないことを捉えているのかも
あるいは、一部の人が職場に行くのを監視して阻止するのは難しいかもしれない
また、仮に完全なロックダウンが可能で、誰も働けないような状態になったとしても、それによって人と人との相互作用や伝染がすべてなくなるわけではないと仮定
特に、ロックダウンLj(t)は実際の作業をLj(t)だけ減少させるが、感染性相互作用におけるグループjの存在は因子1 - θjLj(t)だけ減少させると仮定する（θj≦1）
これは、人が路上に出ても許されていて、すれ違ったときに感染が起こるからかもしれないし、人がロックダウンや検疫に背いたり、社会的にお互いを訪問することで縁側でカンニングしたりするからかもしれない
また、感染者が最近触った物に誰かが触れた時のように、直接人と人が触れずに起こる感染を捕らえることもある
基本的に、いくつかの理由から、ロックダウンは感染を除去するのに十分な効果がなく、θj < 1はこの非効率性の尺度である
単純化するために、現在感染しているすべての人のための治療法も同じ日に利用可能になると仮定

α＝１の定数リターンの場合は、ロックダウンしていない人の総数が２倍になっても、各個人の接触数は影響を受けないと仮定
これを疫学では「頻度依存性」と呼んでいます
α＝２の２次マッチングの場合は、接触者数が２倍になることを前提
二次マッチング技術では、より高密度に占有された環境ほど、密度に厳密に比例して接触数が増えると仮定
これは疫学では「密度依存性」と呼ばれています
ロックダウンがない場合、与えられた地域では、α=2とα=1の差は実際には小さい
ロックダウンの存在下では、α = 2とα = 1の間には、非自明な違いがある
ロックダウンは二次関数 (1 - θL) 2 の代わりに係数 1 - θL で新規感染に影響を与えることがわかる
したがって、ロックダウンによって相互作用する母集団を半分にする、すなわち、(1 - θL) = 1 2 にすると、α = 2 の場合は4分の1、α = 1 の場合は2分の1の新規感染を減少させる効果がある
通りを歩いたり、スーパーで買い物をしたりすると、密度が高くなるほど相互作用が発生します
しかし、職場や友人との相互作用は、各人が時間を作り、親密に交流できる同僚や友人を一定の数だけ探すので、規模的には一定のリターンに近いかもしれません
要約すると、現実はこれらの両極端の間のどこかにある可能性が高く、αは1と2の間の中間的な値であることを示唆

Days 19 ここまで

ロックダウンが群間で一様になるように制限されている場合と、群間で微分されている場合を考慮
考慮すべき2つの目的があり、2つの間のトレードオフが我々のフロンティアを与える
最初の目的は，パンデミック中の総（過剰）死亡を最小化すること(Lives Lost = ∑j Dj(T))
第2の目標は，総経済損失を最小化すること(Economic Losses = Z T 0 ∑ j Ψj(t) dt)
経済的損失と生命の間のフロンティアを特徴づけること
フロンティア全体を特徴づけ、死亡数や経済的損失によってフロンティア上のポイントを記述している点が他のアプローチと違う
むしろ、フロンティアを特徴づけることで、社会（政策立案者）が直面する困難な選択のメニューを記述する
直感的には、ワクチンがより早く到着すると、F(t)の分布が上にシフトし、インテグラントで表されるロックダウンからの将来のフローコストが発生しなくなるため、コストが下がります
最適なロックダウンの正確な形は複雑ですが、死亡率と経済的損失を減らすために計画者が利用できる代替戦略について、いくつかの大まかな概念と側面を議論することは有用
第一に、計画者はワクチンを保留することもできる
第二に、彼に到達するための多くの方法がある
年齢に応じた政策のターゲティングに焦点を当てている
20 歳未満は分析に含めていない
ベースラインでは、若年層と中年層の一人当たりの所得が等しいと仮定し、wy = wm = 1.25とすることで正規化
65歳以上の20％しか雇用されていないという事実と、その平均的なフルタイム週収をもとに、wo = 0.26とする
ξ=0.7とし、これは在宅勤務が平均で70％の生産性の損失をもたらすことを示唆している
この数字は、すべての非必須労働者の通年のロックダウンがGDPの約50％の減少につながるように選択されている
感染した個体の分離に失敗する確率は、すべてのグループでηj ≡η = 0.9であることを示唆
ベースラインでは、回復してロックダウンを回避して職場に戻ることが許可された個体が完全に識別されていると仮定し、κj = 1 とする
このケースは、このような「イミュニティカード」の就労許可証を発行することがモデル上明らかに効率的であるため、興味深い (が、現実的ではない)
ICUの必要性が表1の死亡率に比例すると仮定
ICUの収容能力の制限による集団感染率の死亡率への影響をモデル化
ワクチンが到着する前に、感染を回避してワクチンを待つのか、それとも感染をあきらめて群れの免疫を求めるのかを判断
計画問題は、地平線t∈[0, T]上の最適制御問題
この問題を週単位の時間間隔に離散化し、経済に焦点を当てた制約と安全に焦点を当てた制約と運動則のいずれかの条件で経済コストの総和を最小化して、ロックダウンの最適な初期値と各週の増分変化を求める
解は、内点解アルゴリズムを実装したIPOPT(Wächter and Biegler, 2006)と呼ばれる非線形計画法を用いて求められる

[コメント : 在宅勤務, 医療現場の限界? なども考慮に入れられている]

全体を通して、我々の主な焦点は、最適な一様政策（3 つの年齢層すべてを対称的に扱う）、最適なセミターゲット政策（高齢者層を若年層と中年層とで異なる扱いにする）、最適な完全ターゲット政策（3 つの年齢層すべてを異なる扱いにする）によるトレードオフの比較に置かれている
これらのトレードオフを、失われた人命と経済的損害の間のフロンティアでまとめる
ターゲティングは、救われた命と経済的損害の両方の面で大きな利益をもたらす
フロンティアの凸形状は、一方の目的を追求して他方の目的を犠牲にした場合のリターンが減少することを表している
最適な一律政策による経済的損害は、1 年間の GDP の 37.3％に相当する（この損害の 36.3％は現在の損失であり、残りの 1％はパンデミックで死亡した人々の生産的貢献の放棄によるものである
経済的損害を1年間のGDPの10％以下に制限する「経済に焦点を当てた」最適一律政策
この場合、約0.83％というかなり高い割合の人口がこの病気のために死亡することになる
最も重要なことは、ロックダウンが高齢者グループに対して非常に厳しく、それ以外の人口に対してははるかに厳しくないことで、ロックダウンは安全性に焦点を当てた最適一様ポリシーよりも急速に減少し、すぐに終了します
また、注目すべきは感染の時間経過です。安全性に焦点を当てた最適なセミターゲット政策では、高齢者グループ（ワクチン到着までロックダウン状態にある）はワクチンを待ち、残りの集団（その曲線は再び平坦化されており、ワクチン到着までには、ワクチン直前の感染の増加から分かるように、集団全体の免疫はまだ存在しません）は部分的にワクチンを待ちます。
若年層と中年層の非対称的な扱いが、高齢者層を厳格にロックダウンして最も脆弱な人々を保護し、それ以外の人々の感染曲線を適度にフラットにすることで得られる利益よりもはるかに小さな利益を生み出す
安全性を重視した完全標的型政策では、若年者よりもウイルスによる死亡率が高い中高年者が、より厳しく、より長くロックダウンされていることが浮き彫りになっている
完全目標化政策の下で老人に厳しいロックダウンが行われているのは、主に老人の死亡率が高いからなのか、それとも経済参加率が低いからなのかということである
高齢者をさらに、経済的貢献のない退職者（高齢者の約8割を占める）と、若年・中年と同程度の生産性を持つ勤労者（残りの約2割を占める）の2つのグループに分け、高齢者の死亡率と経済参加率を考慮して、高齢者の死亡率と経済参加率を算出

Days 20 ここまで

複数のリスクグループを持つ我々のモデルでは、グループ間の相互作用を減らす政策の意味を調査することができる
高齢者は、たとえ厳格なロックダウン下にあっても、若者や中高年との交流から感染するからである
このような削減を達成するためには、規範に基づく介入（高齢者の高齢者訪問の頻度を減らす）や法律に基づく介入（スーパーや薬局での高齢者専用の時間帯の指定や、介護施設での訪問や就労を制限するなど）など、様々な政策手段がある
グループ・ディスタンシングは一様な政策を改善するが、全体の構造は変わらないことがわかる
若年者と中年者を短期間で限定的に隔離し、高齢者をかなり厳しく隔離することで、感染を非常に低く抑え、全体の死亡率を0.2%に抑えることができます
集団間距離とテストトレーシングの組み合わせのおかげで、セミターゲット政策は現在、1年間のGDPのわずか7%の経済的コストで0.2%の死亡率目標を達成しています
よりリッチなマッチング技術を検討するもう一つの重要な理由は、免疫を持つ個体が感染から感染しやすい個体を守るという強力な形態の「群集免疫」が二次マッチングでは起こらないということです
フロンティアのコントラストは、政策立案者が直面しているトレードオフは、マッチング技術の規模に対するリターンの増加がより限定的な場合には、さらに悪化することを示しています
最初に、我々はCOVID-19政策に関する疫学の文献のいくつかに倣い、ICUのキャパシティに厳しい制約を課す
ICUのキャパシティをオーバーランさせることは非常にコストがかかり、容認できないからである
どちらのケースにおいても、ターゲットを絞った政策は、アウトカムを大幅に改善し続けている
生産的に在宅で働ける若年・中年労働者はコストをかけずに固定することができ、残りの労働者は在宅での生産性が低いため、優先的に解放されるからである
高齢者グループがロックダウンから外れることで、余暇をより楽しんだり、支出を通じて経済活動に貢献したりすることができるため、追加的な利益が得られる可能性があります
最適な政策は、約9ヶ月後に高齢者をロックダウンから解放し始め、高齢者の経済的・社会的活動の価値が高まったことから恩恵を受けます
しかし、一旦高齢者がマッチング・プールに参加すると、感染が増加し始め、3ヶ月後には、このグループに対するロックダウンが再び強化されます。高齢者がロックダウンに戻った瞬間に、若いグループのロックダウンのタイムパスに変曲があることも興味深い。
この小節の様々な演習は、ターゲティングによって得られる大きな利益についての定性的な結論が非常に堅固であることを示している
既存のエビデンスでは、年齢層間で入院率と死亡率に非常に大きな差があることが示されているため、標準的なSIRモデルに複数のリスクグループを導入する一般化はCOVID-19パンデミックの文脈において重要である
異なる人口集団を対称的に扱う最適一様政策は、政策決定者が直面している厳しい選択を強調している
ターゲットを絞った政策の方が、より良い社会的成果が得られる
リスクに差があるグループに対する差動的なロックダウンは、政策のトレードオフを大幅に改善し、経済的損害や過剰死亡、あるいはその両方を大幅に削減することが可能になる
免疫がどの程度持続するのか、その基本的な繁殖率、グループ別の基本的な死亡率、ICUの過剰生産能力による追加的な死亡率のペナルティ、新しい治療法やワクチンがどの程度効果的なのか、また、ロックダウンによって引き起こされる正確な経済的損害についても、かなりの不確実性がある
在宅勤務が職場の交流を代替できる程度や、現在の措置がサプライチェーンや労働者と企業の関係に与えるノックオン効果については、まだ十分に理解されていないこともあります
ロックダウンがもたらす社会的・経済的な損害に対する生命の価値についても、コンセンサスが得られていない。このような理由から、我々が本研究で得られた定性的な結論、すなわち、対象を絞った政策によって、失われた人命と経済的損害のトレードオフが大幅に改善されるということを強調している
例えば、高齢者の親族との面会を一時的に減らしたり、老人ホームをより良く保護し、異なる人口層が食料品店や薬局に行く時間帯を分離するような規制によって、高齢者層とそれ以外の人口との間の「社会的距離」を拡大することで、死亡者数を人口の0.02％まで減少させ、経済的損害を1年間のGDPの約7％まで削減することが可能である
自発的な行動変化が最適政策の目的のいくつかをすでに達成している可能性があるということである（例えば、自発的な社会的遠距離化や個人の在宅勤務の代替など）

Days 21 ここまで

osuossu8 / paper-reading

[2020] OPTIMAL TARGETED LOCKDOWNS IN A MULTI-GROUP SIR MODEL #19

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どんなもの？

先行研究と比べてどこがすごい？

技術や手法のキモはどこ？

どうやって有効だと検証した?

議論はある?

65歳以上の人の感染による死亡率は、20～49歳の人の約60倍です。このような大きな差があることから、ターゲティング政策の利点を検討する価値がある

第二に、彼に到達するための多くの方法がある

フロンティアのコントラストは、政策立案者が直面しているトレードオフは、マッチング技術の規模に対するリターンの増加がより限定的な場合には、さらに悪化することを示しています

この小節の様々な演習は、ターゲティングによって得られる大きな利益についての定性的な結論が非常に堅固であることを示している