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日本語組版の特徴 ラテン文字組版との違いを主に
日本語組版になじみのない読者にとって参考になるように,ラテン文字を使用した組版と比べた場合の日本語組版の主な違いをまとめておく.
1 日本語組版に使用する文字の種類が多い. 日本語に使用される文字には,漢字,平仮名および片仮名がある.これだけではく,これらと行中で混ぜて使用されるものにラテン文字,ギリシャ文字,キリル文字などがある.
2 日本語組版に使用する文字の種類が多いだけではなく,同一の言葉について複数の表記方法がある. 現代表記と一般にいわれている表記法があるが,それはある程度は共通化された表記法ではあるが,その中でも複数の表記法がある. 現代表記と限定しない場合,漢字には,多くの異体字があり,平仮名の表記方法にも複数の方法がある.漢字に送り仮名がつく場合があるが,送り仮名は,ある意味で漢字の読み方を示すために付けられるものであるので絶対的な方法があるわけではなく,複数の方法がある.外来語をカタカナで示す場合も,多くの異表記が行われている.
3 漢字,平仮名および片仮名を使用した文字列では,原則として語を区切るものはない. ラテン文字では語間にスペースを挿入するが,日本語組版では語間にスペースを挿入しない.漢字は主に概念を表す部分に使用し,平仮名は補足的に付く部分に使用する.この使い分けで,ある程度の語は認識でき,不足する部分には,読点を使用することで補われる. ただし,主に平仮名を使用した文章では,語間または文節の区切りにスペースを挿入する分かち書きも一部では行われている.また,アクセシビリティ向上のために分かち書きが必要になることもある.
4 漢字・仮名とラテン文字の設計において,その方法は基本的に異なる. ラテン文字にはベースラインがあるが,漢字・仮名にはない.もちろん文字を行に並べた場合,見た目でそろっている,重心がそろっている必要がある(寄り引きという)が,縦組でいえば,原則として文字の中心をそろえれば,だいたいにそろって見える.
5 語間を区切るスペースが挿入されないことから,2行にわたる分割は,ルールに従って行われる. この2行にわたる分割のルールは,ある程度は共通のルールはあるが,いくつかの異なるルールも存在している.
6 句読点などの約物は,ラテン文字組版で使用されている約物と共通のものが多い.ただし,日本語組版では,コンマやピリオド,パーレンなどででは日本語組版用の文字が使用されている. 日本語組版ではコンマやピリオド,パーレンなどでの行中に占める幅は,全角とするのが原則である(文字そのものの前または後ろにアキを持っているといってもよい).一部では全角としない組版も行われているが,それは多くはない.
7 日本語組版では,横組と縦組が採用されている. 印刷物,例えば書籍における横組と縦組についての網羅的な統計は存在しないが,それぞれが半分くらいであろうといわれている. アラビア数字,数式やラテン文字の使用が多い理工学書は,一般に横組,経済学分野でも横組は増えている.文学では,多くが縦組である. 一般に,原稿の内容や読者対象を考慮して横組と縦組の組方向を決めるが,常に同じ答えになるわけではなく,そこにはある種のあいまいさを含んでいる. なお,横組と縦組の組方向により,約物の使用法や数字の表記法において異なる場合もある.
8 日本語組版における行長は,一般に文字サイズの整数倍に決めることが多い. 日本語組版で使用する漢字と仮名の文字の外枠は,一般に正方形であり,この文字の字間をベタ組にすることが多いので,文字を行に配置する場合,行長に半端がでないようにするためである.
9 日本語組版における行間は,ラテン文字組版に比べ,より広くする場合が多い. ラテン文字にはアッセンダーとデッセンダーがあるので,行間を“ゼロ”とする場合もあるが,日本語組版で行間を“ゼロ”とする場合は,ごく限られたケースである. この行間を適切に設定することが,日本語組版における読みやすさに大きく影響する.
10 行のそろえについても,日本語組版では,行頭・行末そろえにする場合が多い.
日本語組版の特徴 ラテン文字組版との違いを主に
日本語組版になじみのない読者にとって参考になるように,ラテン文字を使用した組版と比べた場合の日本語組版の主な違いをまとめておく.
1 日本語組版に使用する文字の種類が多い. 日本語に使用される文字には,漢字,平仮名および片仮名がある.これだけではく,これらと行中で混ぜて使用されるものにラテン文字,ギリシャ文字,キリル文字などがある.
2 日本語組版に使用する文字の種類が多いだけではなく,同一の言葉について複数の表記方法がある. 現代表記と一般にいわれている表記法があるが,それはある程度は共通化された表記法ではあるが,その中でも複数の表記法がある. 現代表記と限定しない場合,漢字には,多くの異体字があり,平仮名の表記方法にも複数の方法がある.漢字に送り仮名がつく場合があるが,送り仮名は,ある意味で漢字の読み方を示すために付けられるものであるので絶対的な方法があるわけではなく,複数の方法がある.外来語をカタカナで示す場合も,多くの異表記が行われている.
3 漢字,平仮名および片仮名を使用した文字列では,原則として語を区切るものはない. ラテン文字では語間にスペースを挿入するが,日本語組版では語間にスペースを挿入しない.漢字は主に概念を表す部分に使用し,平仮名は補足的に付く部分に使用する.この使い分けで,ある程度の語は認識でき,不足する部分には,読点を使用することで補われる. ただし,主に平仮名を使用した文章では,語間または文節の区切りにスペースを挿入する分かち書きも一部では行われている.また,アクセシビリティ向上のために分かち書きが必要になることもある.
4 漢字・仮名とラテン文字の設計において,その方法は基本的に異なる. ラテン文字にはベースラインがあるが,漢字・仮名にはない.もちろん文字を行に並べた場合,見た目でそろっている,重心がそろっている必要がある(寄り引きという)が,縦組でいえば,原則として文字の中心をそろえれば,だいたいにそろって見える.
5 語間を区切るスペースが挿入されないことから,2行にわたる分割は,ルールに従って行われる. この2行にわたる分割のルールは,ある程度は共通のルールはあるが,いくつかの異なるルールも存在している.
6 句読点などの約物は,ラテン文字組版で使用されている約物と共通のものが多い.ただし,日本語組版では,コンマやピリオド,パーレンなどででは日本語組版用の文字が使用されている. 日本語組版ではコンマやピリオド,パーレンなどでの行中に占める幅は,全角とするのが原則である(文字そのものの前または後ろにアキを持っているといってもよい).一部では全角としない組版も行われているが,それは多くはない.
7 日本語組版では,横組と縦組が採用されている. 印刷物,例えば書籍における横組と縦組についての網羅的な統計は存在しないが,それぞれが半分くらいであろうといわれている. アラビア数字,数式やラテン文字の使用が多い理工学書は,一般に横組,経済学分野でも横組は増えている.文学では,多くが縦組である. 一般に,原稿の内容や読者対象を考慮して横組と縦組の組方向を決めるが,常に同じ答えになるわけではなく,そこにはある種のあいまいさを含んでいる. なお,横組と縦組の組方向により,約物の使用法や数字の表記法において異なる場合もある.
8 日本語組版における行長は,一般に文字サイズの整数倍に決めることが多い. 日本語組版で使用する漢字と仮名の文字の外枠は,一般に正方形であり,この文字の字間をベタ組にすることが多いので,文字を行に配置する場合,行長に半端がでないようにするためである.
9 日本語組版における行間は,ラテン文字組版に比べ,より広くする場合が多い. ラテン文字にはアッセンダーとデッセンダーがあるので,行間を“ゼロ”とする場合もあるが,日本語組版で行間を“ゼロ”とする場合は,ごく限られたケースである. この行間を適切に設定することが,日本語組版における読みやすさに大きく影響する.
10 行のそろえについても,日本語組版では,行頭・行末そろえにする場合が多い.