Running Lean ―実践リーンスタートアップ

[zerebom]

どんな本

スタートアップのプロダクト開発において、リソースを使い切る前にプランA(=最初のプラン)からうまくいくプランへと反復的に移行する体系的プロセス、"Running Lean"についての本。
具体的には以下のようなことが順に書かれている。

1. リーンキャンバスという一枚のワークシート用いて、ビジネスモデルを構築する方法
2. 複数のリーンキャンバスを比較し、最良のビジネスモデルを選択する方法
3. リーンキャンバスをもとに顧客にインタビューをし、製品・ビジネスモデルの改善を計る方法

本は下記の４部構成になっている。

1. ロードマップ
2. プランAを文書化
3. プランで最もリスクの高い部分を見つける
4. プランを体系的にテストする

この本で学習できること

• ソリューションを決定する前に解決に値する課題を見つける方法
• 初期の顧客を見つける方法
• 資金調達の時期
• 顧客が欲しいと思うものを構築・計測
• 製品市場フィットを改善する方法

対象読者

何か不確定な新しい試みに挑戦し、成功させたい人。 リソースの少ないスタートアップにおけるプロダクト開発で考えるべきことやその手順を学びたい人。

• ビジネスマネージャー
• スタートアップ創業者
• 起業家志望者
• プロダクト開発者
• etc

目次

1. ロードマップ
   1. メタ原則
   2. Running Lean の実例
2. プランAの文書化
   1. リーンキャンバスの作成
3. プランで最もリスクの高い部分を見つける
   1. ビジネスモデルの優先順位
   2. 実験の準備
4. プランを体系的にテストする
   1. 顧客インタビューの準備
   2. 課題インタビュー
   3. ソリューションインタビュー
   4. バージョン1.0をリリース
   5. 計測の準備
   6. MVPインタビュー
   7. 顧客ライフサイクルの検証
   8. 昨日の押し売りはやめよう
   9. 製品・市場フィットの計測
   10. 結論

読書メモ

順に読んでいって重要そうな部分をメモする

ロードマップ

プランAを文書化する

事業計画書は頭の中で考え続けていても「現実歪曲フィールド」を強化するにすぎない。
1枚のリーンキャンバスに書き出して、誰かと共有をしよう。

最もリスクの高い部分を見つける

スタートアップには以下の３つのステージがある。 それぞれのステージにある山場に対して適切に対処する。

1. 課題/解決フィット
   解決に値する課題はあるか
2. 製品/市場フィット
   誰かに必要とされるものを構築したか
3. 拡大
   どうやって成長を加速させるか

課題/解決フィット時のリスク

• 顧客が必要としているか(必要性)
• お金を払うか(成長性)
• 解決可能か(実現性)

→定性的な顧客観察とインタビューを用いて解決。
このフェーズでMVP(実現最小限の製品)に必要な機能を見極める

製品/市場フィット時のリスク

MVPが構築できたらがどれだけ課題を解決しているかを計測する。
このフェーズで顧客に登録してもらい、定着させ、お金を払ってもらう必要がある

拡大時のリスク

プランを体系的にテストする

一連の実験によりプランをテストする。

1. 構築
   アイデア、仮説を用意し、テストする成果物を作る
2. 計測
   顧客の反応を定性的・定量的に計測
3. 学習
   仮説の検証や反証の学習に行う

リーンキャンバスのスケッチ

よいUVP(独自の価値提案)の作り方

• 変わったものにする
• アーリーアダプターをターゲットにする
• 成功ストーリーに注目(機能より、利点に注目)
• 言葉をよく選ぼう
• 誰が・何を・なぜに答えよ
  ex)ビジネスの計画よりも構築に時間を使いましょう
  ex)あなたのユーザーを情熱的な顧客に変えます
• 優れたUVPを調べる

即効性のある明快な見出し= 顧客が望む結果+明確な期限+未達時の代案
ex)「焼きたてのピザを30分以内にお届け出来なければ無料にします」

チャネルの決め方

主に以下のような特徴を検討すると良い

• 無料/有料
• イン/アウトバウンド
  顧客に見つけてもらうか、接触を試みるか
  インタビューを除き、広告などのアウトバウンドはまだ止そう
• 直販/自動化
  初期は学習のため、直販し後に自動化しよう
• 直接/間接
• 紹介の前に定着

収益の流れとコスト構造

収益

課金させるなら初日からさせるべし

• 最初に作るMVPは、課金させられるような課題を解決するべきだから
• 学習が遅れるから

コスト構造

製品を市場に送り出すまでにかかるコストをリストアップする

• インタビュー代
• MVPの構築とローンチ
• 資本金の消費率
  など

主要指標

• 獲得/アクティベーション/定着/収益/紹介

圧倒的優位性

ex)

• 内部情報
• 専門家の支持
• チームやフォウンダーの信頼
• 既存顧客・SEO
• コミュニティ

プランで最もリスクの高い部分を見つける

複数ビジネスモデルを作成したら、リスクを定義しそれぞれを比較する。
スタートアップでのリスクは以下の3つのカテゴリに絞られる

• 製品リスク
  正しい製品を作る
• 顧客リスク
  顧客への経路を作る
• 市場リスク
  実現可能なビジネスを作る

ビジネスモデルの比較

十分に大きな市場を持ち、製品の周りにビジネスを構築でき、
その製品を必要とする顧客に近づけるようなビジネスモデルを見つけ出す。

このために比較する要素

1. 顧客の不満レベル
2. 近づきやすさ
3. 価格と粗利益

プランを体系的にテストする

顧客インタビューの準備

アンケート調査も、フォーカスグループもいらない。
顧客インタビューが一番大事

なぜ？

• インタビューは正解が用意されている
• フォーカスグループはセレクションバイアスの元

インタビューのコツ

• 台本を用意しよう
• 終わった後すぐ文書化
• 近しい人から始める
• 地元で始める

課題インタビュー

学習すべきこと

• 何を解決するのか
• 競合はどこか
• 誰が困っているのか

ソリューションインタビュー

学習すべきこと

• 誰が困っているのか
• 課題をどのように解決するのか
• どのような価格モデルにするのか

価格は聞くのではなく、伝える。 それについて感想を求める。

バージョン1.0をリリース

製品開発は学習の妨げになることをよく理解する。
そのため、要求からリリースの頻度を短くすることが大事。
翻ってMVPの縮小化が大事。そのためには

1. 白紙から始める
2. 最上位の課題から取り組む
3. あれば嬉しいみたいなのはいらない