MasatakaYm / Molecular-Simulation

分子シミュレーションの理論や関連するトピックをまとめたノート
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分子シミュレーションノート

はじめに

このノートは, 勉強した分子動力学シミュレーションの基礎と関連知識をまとめ, 理解を深め, そしてどう理解したのかを整理することを目的に作成した.

PDF (Written in Japanese)

目次

執筆状況を示すための指標として、目次に絵文字を添える.

第1部 物理の復習

1. 解析力学の復習

  1. ラグランジュ形式
  2. ハミルトン形式
  3. 拘束条件付きの運動方程式

2. 統計力学の復習

  1. 分布関数、リウビルの定理
  2. 等重率の原理とミクロカノニカルアンサンブル
  3. カノニカルアンサンブル
  4. 定温定圧アンサンブル
  5. 熱力学量: 温度
  6. 熱力学量: 圧力

第2部 分子シミュレーションの方法論

3. 分子動力学シミュレーション事始め

  1. ミクロカノニカルアンサンブルでのシミュレーション
  2. 2体力近似
  3. 周期境界条件
  4. 相互作用のカットオフ
  5. 単位の無次元化・単位換算
  6. 分子動力学シミュレーションの手順
  7. 🍊初期速度の与え方

4. 原子間・分子間相互作用

  1. 生体分子に対する全原子モデル
  2. 様々なポテンシャル関数とその力・ヴィリアルの表式
    1. 結合長ポテンシャル: 調和振動子型
    2. 結合長ポテンシャル: ガウス型
    3. 結合角ポテンシャル: 調和振動子型
    4. フィルター関数
    5. 二面角ポテンシャル: フーリエ級数型
    6. 二面角ポテンシャル: ガウス型
    7. ファンデルワールス相互作用: 12-6型
    8. 静電相互作用
    9. モースポテンシャル
  3. 計算ノート: 力・ヴィリアルの導出

5. 溶液中の静電相互作用

  1. Debye-Huckel理論

6. 長距離相互作用の計算方法: Ewaldの方法

  1. Ewaldの方法
  2. Particle Mesh Ewald (PME)法
  3. 静電相互作用を実装したときのメモ
  4. 付録 (B-spline関数について)

7. 運動方程式の時間発展

  1. 時間積分のアルゴリズム
    • オイラー法, 修正オイラー法
    • ベルレ法, リープフロッグ法, 速度ベルレ法
    • 予測子・修正子法
  2. ベルレ法によるエネルギーの誤差
  3. 時間発展演算子による取り扱い
  4. 時間反転多時間刻み法(RESPA法)

8. シンプレクティック分子動力学法

  1. ハミルトンの正準方程式とシンプレクティック条件
  2. シンプレクティック分子動力学法
  3. シンプレクティック分子動力学法における保存量
  4. 付録: 計算ノート

9. 拡張系の方法

  1. 温度制御: 能勢・Hoover 熱浴
  2. 温度制御: 能勢・Poincare 熱浴
  3. 圧力制御: Andersenの方法
  4. 圧力制御: パリネロ・ラマンの方法
  5. 温度・圧力制御: 能勢・Andersenの方法
  6. 温度・圧力制御: Martyna-Tobias-Klein (MTK)の運動方程式
  7. 温度・圧力制御: 能勢・ポアンカレ・Andersenの方法

10. 拘束条件付き分子動力学法

  1. ホロノミックな拘束条件の具体的な例
  2. 座標に対する拘束動力学: ベルレ法による時間発展とSHAKE法
  3. 速度と座標に対する拘束動力学: 速度ベルレ法による時間発展とRATTLE法
  4. ガウスの最小束縛原理(ガウス束縛法)
  5. ガウス束縛法: 温度制御
  6. 🍊ガウス束縛法: 温度・圧力制御

11. 剛体の分子動力学法

  1. 剛体運動の古典力学的記述
  2. 剛体運動の解析力学的記述
  3. 剛体の回転運動に対する分子動力学アルゴリズム

12. マルコフ連鎖モンテカルロ法

  1. マルコフ連鎖
  2. マルコフ連鎖の平衡分布への収束性
  3. 遷移確率行列の構築法

13. 拡張アンサンブル法

  1. マルコフ連鎖モンテカルロ法
  2. マルチカノニカル法
  3. 焼き戻し法
  4. レプリカ交換法
  5. レプリカ置換法
  6. 🍊定温定圧アンサンブルにおける拡張アンサンブル法

第3部 分子モデリング

14. 分子モデリング

  1. 濃度換算
  2. 水の初期配置について
  3. 一般化螺旋集合 (GSS: Generalized Spiral Set)
  4. RESPAC: 粗視化粒子に小数電荷を割り当てるアルゴリズム
  5. 🍊水のモデル
  6. 🍊トポロジーの判定: 結合原子リストから結合角・二面角・インプロパーを判定する

第4部 分子シミュレーションの解析方法

15. 最重法

  1. 単ヒストグラム再重法 (Single-Histogram Reweighting Technique)
  2. 多ヒストグラム再重法 (WHAM: Weighted Histgram Analysis Method)
  3. 多状態ベネット受容比法 (MBAR: Multistate Bennett Acceptance Ration Estimator)
  4. リウェイティング tips

16. 関数近似と補間法

  1. 線形最小二乗法
  2. スプライン補間

17. 主成分解析 (Principal Component Analysis; PCA)

  1. 主成分解析の基礎
  2. 主成分解析のタンパク質への応用
  3. PCAの計算例

18. タンパク質の二次構造判定: Dictionary of Protein Secondary Structure (DSSP)

  1. 水素結合による構造
  2. 幾何構造

19. 自己相関関数

  1. 自己相関関数の定義
  2. 解析的に自己相関関数が計算できる関数の例
  3. 🍊自己相関関数と物理

20. 慣性半径

21. 最小二乗偏差(RMSD: Root Mean Square Deviation)

  1. 並進移動の計算
  2. Lagrange未定乗数法を使う場合
  3. 特異値分解を用いた方法
  4. 四元数を用いる方法
  5. 補足: 四元数

22. 溶媒接触表面積(SASA: Solvent Accessible Surface Area)

23. 熱力学量の算出

  1. 熱力学量
  2. Hwleyの方程式

参考文献

本ノートは総合研究大学院大学の講義, 分子科学研究所奥村Gのセミナー資料を参考にしている。

  1. 総合研究大学院大学 物理科学研究科, 大学院講義 理論化学 (2015).
  2. 総合研究大学院大学 物理科学研究科, 大学院講義 生体分子シミュレーション入門 (2016).
  3. 福井大学 大学院工学研究科, 分子科学特別講義 分子動力学シミュレーション (2018) (講師: 奥村久士).

以上の講義・セミナー資料に関連する日本語の出版物として

  1. 奥村久士. 第1回:能勢の熱浴と能勢・フーバー熱浴. アンサンブル, Vol. 10, No. 4, pp. 29-33, 2008.
  2. 奥村久士. 第2回:シンプレクティック解法と能勢・ポアンカレ熱浴. アンサンブル, Vol. 11, No. 1, pp. 35-40, 2009.
  3. 奥村久士. 第3回:速度スケーリング法, ガウス束縛法, ベレンゼン熱浴. アンサンブル, Vol. 11, No. 2, pp. 43-46, 2009.
  4. 奥村久士. 第4回:アンダーセンの方法と能勢・アンダーセンの方法. アンサンブル, Vol. 11, No.3, pp. 22-26, 2009.
  5. 奥村久士. 第5回:パリネロ・ラーマンの方法, 圧力一定のガウス束縛法, 圧力一定のベレンゼンの方法. アンサンブル, Vol. 11, No. 4, pp. 26-30, 2009.

があげられる.

分子シミュレーションの教科書として定評のある, 以下の文献も参考にした.

  1. 上田顯, 分子シミュレーション --古典系から量子系の手法まで --. 裳華房, 2003.
  2. 岡崎進, 吉井範行. コンピュータ・シミュレーションの基礎 第2版 --分子のミクロな性質を解明するために--. 化学同人, 2000.
  3. 吉川大弘, 石渕久生, 三木光範, 廣安知之, 岡本祐幸. 計算科学講座 超多自由度系の最適化. 共立出版, 2013.
  4. Mark E. Tuckerman. Statistical Mechanics: Theory and Molecular Simulation. Oxford University Press, 2010.
  5. Daan Frenkel and Berend Smit. Understanding Molecular Simulation: From Algorithms to Applications. Academic press, 2002.
  6. Michael P Allen and Dominic J. Tildesley. Computer Simulation of Liquids: Second Edition. Oxford University Press, 2017.

謝辞

このノートの作成に貢献してくれた以下の皆様に感謝します。