Writer-Life-Committee / authors-note

「作家の手帖 準備1号」プロジェクトのリポジトリです。
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「作家の手帖(特集:原稿料)」企画書ワーキングドラフト

はじめに

きっかけ

未払いの原稿料があります。ひとつは書き手として。連載予定の第1回目を渡したあと、その編集者からの返信は途絶えました。もうひとつは読み手として。ぼくは次号が出せずに消えた雑誌の編集者でした。刊行が止まって、だれにも対価を支払えませんでした。

じぶんの失敗をぼくはまだ許せません。なのに、どちらもよくある話だと思っていました。でも、ちがう時代・地域の商慣行を知るにつれて、当時のぼくが、ありふれた悪習から脱け出せずにいただけだと知りました。

ほどなくして、たくさんの方が声をあげるようになりました。たとえば、編集と経営の独立をめぐるトラブル、掲載権・配信権の誤用・濫用、違法な無償の(または低賃金の)労働、ジェンダー格差に根ざした社会的暴力について。どのできごとも、とてつもなくひどい悪人がいるというより、慢性的な制度疲労が、不運なひとを苦しめているようでした。

同人誌「特集:原稿料」というフレーズを思いついたのは、それから数年後の秋のことです。思いがけない反響を受け、インディーの出版企画として「作家の手帖」に名を改め、自分で、考えていることを、自由な気持ちで書いてみたい方を募ることにしました。

狙い

「作家の手帖」は、ひとつの原稿が世に出るまでの「表舞台と裏方仕事」に光を当てて、将来のために語り継ぎながら、こんな時代に文筆業を成り立たせるのにうってつけの「方法」はあるのかを考え、それをみんなで試してみます。

目次には(広義の)原稿の制作工程をそのまま組み込みます。企画から選考、契約、取材、執筆、編集、校閲、印刷、広告、販売まで。まずはこのうち6章分だけ作ります。それから、1章ごとに少なくとも1記事が掲載されるまで、数記事ずつ制作します。

手間はかかりますが、先に目次案を公開し、原稿募集をします。前もって契約を結び、着手金を受けとってから執筆していただきます。素案、草稿、初稿、校正稿をつくります。どれも、仕上がったらGitHubオープンリポジトリに「表示・非営利・改変禁止」で公表します。

読者になってくれた方には、完成稿をまとめたPDF/epubへのアクセス権、参加者コミュニティの案内、勉強会の招待状をお届けします。勉強会は非公開で、夏休みが終わるまでに、1度だけ行います。ご家庭で印刷・製本できる、ささやかなデジタルアーカイヴとなることを夢見て。

野心的な構想の持ち主にも、業界事情に一家言あるひとにも、匿名でしか声をあげられないひとにも、等しく開かれた、ひとつの・ちいさな・まとまったテキストを「準備する」ことから始めます。いくつかの先輩的文献も紹介したいです。

読み・書きの成果を、次の原稿に投資する。その循環が、いまの日本語圏できちんと回せるのか。控えめな収支計画で検証します。文字単価は5円以上で、営業利益率は5%以上になる原価設計を試みます。

この文書について

「作家の手帖(特集:原稿料)」の企画案を説明します。この文書はまだワーキングドラフトです。話が進むにつれて、編集長(笠井・小澤)が更新していきます。

概要

書誌情報

「作家の手帖」(「10日間で作文を上手にする方法」シリーズ)(編集:笠井康平、小澤みゆき、2021、文筆生活向上委員会) Author's note issue : a fee. Kouhei Kasai, Miyuki Ozawa ed. How to write a good in 10 days. 2021. https://writer-life-committee.GitHub.io/authors-note/,

着想

想定読者

働き、学び、遊びながら、読み・書き続けたいすべてのひと

ポリシー

「自分ひとりの部屋」の作り方を知り、災害につよい「家」としての作家になって、つらい時代が訪れても、どうにかやっていく自信をつける。

内容

コンセプト

ヘッドコピー(案)

じぶんの「つづき」を書こう。

目次・構成案

  1. 企画趣旨:この企画書/事務書類/先輩的文献の紹介(★)
  2. 調査・研究:市場動向/産業構造/価格相場/労働環境(★)
  3. 創業・参加:開業届/法人格/事業計画/助成・補助金/保険/規約・制度
  4. 原稿料:文字単価/署名/著作権/CCライセンス/印税/リテイク(★)
  5. 企画・考案:取材/着想/借景/発想法/整理術/ひな型/アウトライナー(★)
  6. 契約・交渉:決裁/見積/合意形成/発注/納品/検収/請求/支払
  7. 選考:基準/システム/書評/選評/批評/受賞(★)
  8. 執筆:文体/語句/構文/内容/構成/倫理
  9. 翻訳:翻訳/翻案/二次利用/二次創作
  10. 編集権限:管理/編集/掲載/出版/著作者隣接権/派生物
  11. 校正:校閲・校正/簡易・本機/正規化/品質管理/検閲/禁止表現/原文同定/注釈/フィルタリング
  12. デザイン・組版:書体・フォント/字数・行数/余白/行間・字間/色指定/挿画/DTP/国際標準
  13. 造本・装幀:用紙/インク/綴じ方・折り方/あたま・けした・背・小口・のど/帯・カバー/花布/しおり/印刷法/製本
  14. 印刷:プリプレス/プレス/ポストプレス/原版・製版・刷版/印刷方式/表面加工/製本加工
  15. 流通・販売:店舗在庫/即売会/EC/電子書籍/ISBN/梱包・発送/納本・献本
  16. パブリシティ:広告/宣伝/販促/PR/SNS/検索/効果測定(★)
  17. 保管:文書管理/書誌/目録/カタログ/命名/分類/検索/データベース/アーカイヴ/アーキテクチャ
  18. 財務・会計:確定申告/貸借対照表/損益計算書/キャッシュフロー計算書/製造原価報告書(★)
  19. 経営:経営管理/生産管理/稼働管理/進行管理/設備管理/知財管理
  20. 時間管理術:やる気/元気/勇気/ルーティン/疲労回復/休暇・休養/レジデンシー/サバティカル

(★):準備号に記事掲載するか、勉強会の演目にしたい項目です。

チーム編成

編集長

笠井康平、小澤みゆき

笠井康平について

1988年生まれ。東京都在住。会社員。著書に『私的なものへの配慮No.3』(いぬのせなか座)。近著に「文化芸術の経済統計枠組みはいかにしてテキスト品質評価指標体系の開発計画に役立つのか」「文化と経済をめぐるブックリスト」「現代短歌のテキストマイニング――𠮷田恭大『光と私語』(いぬのせなか座)を題材に」。すきなものが、すきです。

小澤みゆきについて

1988年生まれ。東京都在住。会社員。編著に『かわいいウルフ』(亜紀書房)。近著に「ウルフ・チャット」「文芸という海――メジャーとインディペンデントの波間で」(「群像」掲載)、「若さの予感」(「しししし」掲載)。すきなおでんの具は「たまご」。

スタッフ

依頼・募集により決定します。準備号のスタッフは次のとおりです。(5/8)

執筆仕様と報酬

文字単価

報酬の考え方

執筆料について

制作スタッフの報酬について

勉強会について

追加報酬について

分量

執筆について

制作スタッフの稼働について

請求・支払

ライセンス表示(著作権の帰属)

関連リンク

造本

本体

版型

スマートフォン/PC

頁数

1GB(ギガバイト)以下(GitHub公式による推奨)

体裁

組方

組版・製本方式

印刷会社・製本会社

はがき

版型

頁数

体裁

組方

組版・製本方式

印刷会社・製本会社

価格

定価

3,000円(送料・税込)

予定部数

350部

出版条件

業務委託契約書および(または)執筆者規約に定めます。

備考

ゆるふわ進行

スケジュール

着想

2020/11/12 笠井康平がフレーズを思いついた日です。 「特集:原稿料」で同人誌作れそう https://twitter.com/kasaikouhei/status/1326734980077154304

企画・環境構築

2021/2/16-2021/3/28

事務書類

2021/04/04-2021/04/16

情報解禁

2021/4/18

依頼・募集

2021/4/18-2021/4/30

草稿

2021/5/1-2021/5/30

編集

2021/5/31-2021/7/10

初稿

2021/7/11-7/25

校閲・校正

2021/7/26-2021/8/14

刊行

2021/8/15-8/21

招待

2021/8/1-2021/8/7

先行体験

2021/8/7-8/20

勉強会

2021/8/21

清算

2021/8/22-2021/9/17

休養

2021/9/18-9/30

企画(vol.2)

2021/10/1-

終わりに

原稿料とは

かっこいい引用

すべての文化集団は,独自の言語,文字,書記システムを持つ.それゆえ,個々の書記システムをサイバースペースに移転することは,文化的資産の継承という意味で,情報通信技術にとって非常に重要な責務といえよう.日本語組版処理の要件(日本語版)

最後にひとこと

笠井康平

世の中に問いたいこと、同業者に呼びかけたいこと、詳しいひとに聴きたいことがある方は、ちょっと思いきって、草案をご応募ください。たったの100字です。予算には限りがあり、準備号に掲載できる原稿は絞られるものの、名案は次号で優先して採用します。草案集も作るつもりです。勉強会への出演もぜひ考えてみてください。1コマ20分。持ち込み企画も歓迎です。

小澤みゆき

たのしくて役に立つことをみんなでやろうぜ! 乞うご期待!