吉田航の2023年度ゼミ論用レポジトリ
地球社会共生学部 地球社会共生学科 4年A組200番
学籍番号:1A120189 氏名:吉田航
指導教員:古橋 大地教授
©Furuhashi Laboratory/Wataru Yoshida, CC BY 4.0
本研究では、誰でも編集可能な地図OpenStreetMap (以下OSM)の3D建物データの量的・質的向上を目的として、国土交通省主導の日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を目指すプロジェクトPLATEAUのLOD1の建物データをOSMにインポートするという作業を行う。インポートを実施する地域はJA:MLIT PLATEAU/imports listを参考として埼玉県新座市とし、JA:MLIT PLATEAU/imports outline/manualに基づいて、PLATEAUデータのインポート作業を行う。加えてインポート作業の前段階に当たる「事前準備」の必要性及びその手順についても考察する。
近年、デジタルツインという概念が世界的な注目を集めている。
デジタルツインは、インターネットに接続した機器などを活用して現実空間の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間の環境を再現する技術である。(参考:総務省「デジタルツインって何?」https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_11.html, 2023年12月21日情報取得)
特に中国、米国、ドイツ、英国などの国々がデジタルツイン技術の先進国として力を入れており、産業界や学術界での注目度も高くなっている。(参照:国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター「デジタルツインに関する国内外の研究開発動向」https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2021/RR/CRDS-FY2021-RR-09.pdf, 2023年12月21日情報取得)
デジタルツインによって、現実世界のリアルタイムな監視やシミュレーションが可能になり、業務の効率化、コスト削減、開発時間の短縮といった多岐にわたるメリットをもたらす。これらのメリットを踏まえると、デジタルツインの導入と発展は今後の技術革新において欠かせないものと言えるであろう。
日本においても、デジタルツイン技術の重要性は認識されており、国土交通省都市局が主導するPLATEAUというプロジェクトがその一例だ。
このプロジェクトは、日本全国の3D都市モデルの整備およびオープンデータ化を目指している。PLATEAUは、地理空間情報に関する国際標準化団体であるOpen Geospatial Consortium(OGC)によって策定された、3次元都市空間を記述するためのデータ交換フォーマット「CityGML」を採用しており、これにより建物や道路など都市の構成要素が、形だけでなく用途や築年数、行政計画といった都市活動情報を含む形でデジタルツイン化される。(参照:PLATEAU by MLIT「CityGML仕様及び品質評価手法についての解説」https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001614666.pdf, 2023年12月21日情報取得)
一方で、OpenStreetMap(以下OSM)は、誰でも地図の編集が可能なオープンデータの共同作業プロジェクトである。OSMの特徴は、その地域に住む地元の人々が編集することで、ローカルエリアの詳細な情報が反映されている点にある。しかし、3D建物データが不足しているか、十分に拡充されていない地域が多く、課題の一つとなっている。
そこで注目されるのが、国土交通省都市局が主導し、高精度な3D建物データを提供しているPLATEAUのデータをOSMにインポートする動きだ。この取り組みにより、OSM上の3D建物データは量的にも質的にも大きく向上する可能性がある。重要な点は、PLATEAUがOSMと互換性のあるODbLを採用していることであり、これにより両プロジェクト間でのデータの共有と活用が容易になる。
本研究では、PLATEAUのLOD1建物データをOSMにインポートする作業及びその事前準備の方法を確立することを目指している。本研究の目的は、CityGML形式のデータをOSMに実践的にインポートし、OSMの3D建物データを量的にも質的にも向上させることだ。PLATEAUのデータを活用することで、OSMが提供するデジタル地図のリアリティと詳細性が高まり、より実用的で信頼性の高い地図情報の提供が可能になることが期待される。
インポートを実施する地域はJA:MLIT PLATEAU/imports listを参考として埼玉県新座市とし、JA:MLIT PLATEAU/imports outline/manualに基づいて、PLATEAUデータのインポート作業を行う。加えてインポート作業の前段階に当たる「事前準備」の必要性及びその手順についても考察する。
インポート時に使用するcitygml-osm
開発者である林優氏に助言をいただきながら、Javaのバージョンを変えながらpowershellでcitygml-osmを開き、java -Dfile.encoding=utf-8 -jar citygml-osm-jar-with-dependencies.jar 1st
のコマンドを実行
JA:MLIT PLATEAU/imports listを参考として妥当性検証を実施する地域は埼玉県新座市とした。
Tasking Managerでは以下の図のように新座市を16分割し、マッピングという名目で妥当性検証を行った。筆者の判断で修正できるエラー・警告は修正し、修正が難しい場合は事例収集としてスクリーンショットの撮影・緯度経度の記録を行った。
JOSMにおける妥当性検証では「ファイル」から「データをダウンロード」を選択し、Tasking Managerで分割したメッシュごとに妥当性検証を行い、エラー・警告の事例収集を行った。
検証の結果、citygml-osmで利用されている"apache camel v2.25.4"がJava8,Java11にしかサポートされていないため、Java8(LTS)やJava11(LTS)をインストールしている場合であると正しく動作するが、その他のJavaのバージョンだと動作しないということが判明した。
妥当性検証およびエラー・警告の修正完了
アカウント名をfuruhashilab4plateauimportからYoshida_plateauimportに変更
Powershell
コマンドプロンプト
***.osm
の妥当性検証)、2nd-validation(コンバーターで***.org.osm
に変更したファイルの妥当性検証)及びエラー・警告のリスト化City-gml
を***.osm
, ***.org.osm
, ***.mrg.osm
に変換したデータファイルがPLATEAU-BLDG import taskに格納されている。そこで公開されている新座市の**.org.osm
の一部が開けないものがあるoutlineを削除し、飛び出したノードを隣のノードと結合させる
現在は復旧しているため、問題なくアップロードが可能 https://uptime.openstreetmap.org/
@mapconcierge 先生によると、何の実績のないアカウントが急に大量のインポートを始めたので自動的にブロックされたとのこと
新しいアカウントでいきなり大量のアップロードを行ったことが原因で、自動破壊行為防止スクリプトによってインポートアカウントがブロックされた
OSMのインポート用アカウントのプロフィール説明のところに「私のメインアカウントはこちら」「こういう活動(インポートのWikiページ)に関わっているよ」などを書く
→これにより、アカウントの信用度が上がる可能性が高くなる
建物データが少ない地域からインポートしていくのも一つの手かもしれない
本研究を進めるにあたり地球社会共生学部の古橋大地教授をはじめ多くの方々より多大な助言を賜りました。厚く感謝を申し上げます
https://github.com/yuuhayashi/citygml-osm/issues/96#issue-1429854543
https://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:MLIT_PLATEAU/imports_outline/manual
https://qiita.com/nyampire/items/1c10afdd36750c87154d
https://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:JOSM/Validator
https://lists.openstreetmap.org/pipermail/talk-ja/
https://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:MLIT_PLATEAU/imports_outline/manual
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_11.html
https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2021/RR/CRDS-FY2021-RR-09.pdf